【ネタバレ】『アントマン3』徹底解説 ココが『アベンジャーズ』次回作に直結!
マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが『アベンジャーズ』次回作に直結すると宣言している、映画『アントマン』シリーズ第3弾『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(全国公開中)。本作のどこがリンクするのか、『アベンジャーズ』次回作へのヒントとなる直結ポイントをピックアップ!(文・構成:平沢薫)
※本記事はネタバレを含みます。映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
はじめに、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)における『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の位置を再確認しておきたい。MCUは複数のフェーズをまとめて一つのサーガ(大きな物語)を形成しており、フェーズ1~3をインフィニティ・サーガ、フェーズ4~6をマルチバース・サーガと総称する。本作は、マルチバース・サーガの第2章、フェーズ5の開幕作だ。
このサーガを締めくくるフェーズ6には、『アベンジャーズ』第5弾『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ(原題) / Avengers: The Kang Dynasty』(2025年5月2日全米公開)と第6弾『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題) / Avengers: Secret Wars』(2026年5月1日全米公開)が控えている。本作には、来たる『アベンジャーズ』新作映画に直結するポイントがいくつも盛り込まれている。
1:インカージョン
カーンのセリフに登場するインカージョンは、今後の作品に直結する可能性が高い。インカージョンとは、2つの宇宙の境界が侵食し合って衝突し、片方または両方の宇宙が壊滅すること。本作のカーンは、アントマンに自分が量子世界を脱出できなければ、インカージョンが起きるかもしれないと言う。そして、インカージョンは『アべンジャーズ』第6弾と同名のコミック「シークレット・ウォーズ」の重要要素。同コミックは、インカージョンによって宇宙が2つだけになってしまった状況を描いている。となると、カーンのセリフは『シークレット・ウォーズ(原題)』の展開を示唆している可能性がある。
インカージョンという単語は、すでにMCUにも登場している。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場したファンタスティック・フォーのリーダー、リード・リチャーズ(ジョン・クラシンスキー)が、ストレンジに向かって「彼の行動によって宇宙が不安定になり、インカージョンが起きる可能性がある」と言っていた。同作のポストクレジットシーンでは、シャーリーズ・セロンふんするクレアが、ストレンジに「インカージョンを修復しないと」と呼びかけており、この出来事もカーンと何か関係があるかもしれない。
2:1つ目のポストクレジットシーン
1つ目のポストクレジットシーンでは、無数のカーンの変異体たちが大集合。カーンたちは、アベンジャーズがマルチバースに影響を及ぼしているのをこのままにしてはおけないと声を上げ、すべての次元の変異体が集合していく。この宣言が『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』に直結し、カーンたちによるアベンジャーズへの攻撃が描かれるはず。
ちなみに、カーンの変異体たちが大集合して討論するカーン評議会(Council of Kangs)は原作コミックにも登場する。1988年刊行の「Avengers #292」で描かれており、映画は同コミックの構図を意識している。
3:カーンの変異体たち
カーン評議会には、原作コミックで有名なカーンの変異体たちが参加している。ドラマ「ロキ」にも変異体(在り続ける者)が登場しており、彼らがこのまま登場しないはずはなく、今後の『アベンジャーズ』映画に直結するに違いない。
コミックのカーンは、別の時代・宇宙に存在しており、それぞれ名前と格好も異なる。ポストクレジットシーンでまず目につく、ファラオのようなカーンは、古代エジプトを支配していた頃のカーン、ラマ・タトだ。円筒形の被り物と大きな円形のペンダントをしているのはイモータス(年齢を経た未来のカーン)。ハイテクなアーマーを身につけているのはアイアンラッド(未来からきたカーンにアーマーを与えられた若い頃の姿)もしくはスカーレット・センチュリオン(ラマ・タトがタイムトラベルして仮面とアーマーを装着した姿)だろう。
ちなみに、ラマ・タトは『アベンジャーズ』新作2本よりも前に公開される『ファンタスティック・フォー(原題)/Fantasutic Four』(2025年2月14日全米公開)に直結する可能性もある。ラマ・タトのコミック初登場は、1963年刊行の「Fantastic Four #19」。タイムトラベルしてきたファンタスティック・フォーと戦っている。人間だった時の名前ナサニエル・リチャーズは、ファンタスティック・フォーのリード・リチャーズの父親の名前と同じで、以前には彼の子孫だという設定も。何かとファンタスティック・フォーと縁のあるキャラクターである。
4:2つ目のポストクレジットシーン
2つ目のポストクレジットシーンでは、ドラマシリーズ「ロキ」からロキ(トム・ヒドルストン)と相棒のメビウス(オーウェン・ウィルソン)が登場。二人が見ているのは、ヴィクター・タイムリーという男の講演。この人物も原作コミックに登場するカーンの変異体だ。カーンが1901年のウィスコンシン州に時間移動して発明家を名乗った姿で、自身の会社タイムリー・インダストリーを設立している。このシーンは、今夏配信予定の「ロキ」シーズン2に直結し、その後のサーガにも影響を与えそうだ。
5:「カーンは帰ってくる」
2つ目のポストクレジット後に表示される文は、「カーンは帰ってくる(Kang Will Return)」。ヒーローの再登場ではなく、ヴィランの帰還が告知されるのは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の「サノスは帰ってくる」以来。この文が、サノスの『アベンジャーズ』2部作を連想させ、来たる『ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』『シークレット・ウォーズ(原題)』への期待を膨らませてくれる。
オマケ:映画に散りばめられた小ネタ
『アベンジャーズ』と直接のリンクではないが、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』には小ネタも盛りだくさん。量子世界のブヨブヨした生き物・ヴェブの声を担当したのは、『アントマン』前2作でスコットの友人カークを演じたデヴィッド・ダストマルチャン。彼はアメコミマニアで、ドラマ「GOTHAM /ゴッサム」や「THE FLASH/フラッシュ」にも出演。映画『ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結』ではポルカドットマンを演じていた。
『アントマン』の登場人物では、1作目でスコットを解雇したアイスクリーム店の店長が再登場。『アントマン&ザ・ワスプ』やドラマ「ワンダヴィジョン」に登場したFBI捜査官ジミー・ウーが、スコットと一緒にランチをしているのも楽しい。
名優ビル・マーレイが演じたクライラーは、コミックにも同名のキャラクターが存在する。1972年刊行の「Incredible Hulk #156」に1回だけ登場する敵キャラで、量子世界のある島で、顧客に武器や傭兵を手配する役目の人物だった。
いよいよ始まったフェーズ5。カーンの変異体たちは、どんな攻撃を仕掛けてくるのか。最初の標的は誰なのか。今から新たな『アベンジャーズ』映画が待ち遠しい。
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