ウーマン村本、理想的な小学校見つける
映画たて・よこ・ななめ見！
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、「哲学」が主要科目となっている北アイルランドの男子小学校で実施している哲学の授業を2年に渡って追ったドキュメンタリー映画『ぼくたちの哲学教室』。ウーマンの2人が、哲学を学ぶ男子小学生たちの姿に大感動！ （取材・文：森田真帆）
今回の映画は『ぼくたちの哲学教室』です。
イギリス、北アイルランドのベルファストにあるホーリークロス男子小学校で行われている哲学の授業を題材にしたドキュメンタリー。校長が哲学の授業を通じて、子供たちに対話すること、不安や怒りをコントロールする大切さなどを伝える。監督はナーサ・ニ・キアナン、デクラン・マッグラ。NHKが主催する国際コンクール、第49回日本賞の一般向け部門最優秀賞を受賞している。
授業中にどんどん手を挙げる子供たち
村本大輔（以下、村本）：いやー、めっちゃいい映画やったー！ オレにとってはほんっまに理想な小学校やった。男の子たちの顔がみんなキラキラしてたなぁ。
中川パラダイス（以下、中川）：ほんまに。授業を受けてるときの子たちがめっちゃうれしそうだった。意見とかもどんどん手挙げて意見言っててさ。あの子らは自分の意見を言うことが恥ずかしくないんやろな。ああいう雰囲気がほんまに良かったわ。
村本：子供の頃から議論に慣れてるというか。それがすごいなって思う。自分が言ったことに対して反論されたりするのって嫌だったりするけど、そんなことは全然なくて、むしろそれが普通でさ。みんな哲学の授業で討論しているとき楽しそうだったな。
中川：そうやな。僕もあの学校に自分の子供を入れたいってめっちゃ思ったわ。ほんまに子供たちがみんな自主性を持っているっていうかさ、頭良さそうだった。
村本：先生たちも子供たちの話し合いに参加してたやん。あんな感じで、日本の先生たちもこの映画観てもらって、子供たちとの会話の参考にしたらええと思うわ。
決していい子ばかりじゃない…それがリアル
村本：出てくる子たちがさ、みんな優等生ではないのもよかったな。みんなで1人をいじめてるシーンが映ってたやん、しっかりと。ああいうシーンもちゃんと入れるっていうのはすごいと思った。
中川：あれって男子小学校やん。男子小学生って感じしたよな。最初はたぶんふざけているだけで、気づいたら収拾つかんくらいケンカしてることやるやん。あー、あんなことあったなぁって思い出した。
村本：子供のケンカの範囲内やったけど、ガチでぶん殴ってたやん。本人同士はけっこうガチやってさ。
中川：ええなぁって思ったのはさ、ケンカをしたときに子供たちに対して「ケンカをするな！」とか怒るんじゃなくて、すごく落ち着いて対話をしてくれるところ。ちゃんと向き合ってくれることで落ち着いて話ができるよな。
村本：オレなんてこれまでコンビ10人解散してきててさ、解散するたびにめっちゃ悪口ばっかり言うててん。でもふと、こんだけ解散してんのは、オレの問題ちゃうかって思ってん。この映画でも先生がケンカした子供たちと話すときに、なんで自分が悪いと思う？ って聞くやん。あんな風になぜあなたが悪いのかって聞かれたら自分の問題にも気づけると思うねん。
校長先生がいい！
村本：オレって最初はモテんねん。漫才や生き様を見てすごく好きになってくれるんやけど、結局はフラれてまうねん。ある女の子なんかはオレのこと嫌いになりそうになった時に必ず漫才しているオレを見て少し心を落ち着かせてたらしいねん。あの学校で授業を受けていたら、こんな風にはならんかったんかなってめっちゃ思った。オレは人のことを大事にでけへんダメなヤツやから。
中川：どうしたんや（笑）。自分のことをそこまでちゃんと考えて理解してるんやから、ええんやない？
村本：いやぁ、オレには哲学の夜間学校が必要だよ。あの校長先生に会いたいもん。昔は荒れていたっていう、校長先生のヒストリーも聞きたかったよな。
中川：このドキュメンタリーは、あの校長先生がいいねんな。昔は暴力野郎だったって言うてたやん。結局お前みたいな人の方が、過去に傷持っていたりして、ああいう先生になれるんちゃうかなって思うで。自分と同じ轍を踏ませたくないって、心に強い何かを持っている方がいい先生になれるんやと思う。
村本：大人にも観てほしい。みんながみんな、この小学校の子たちみたいにきちんと議論できたら、きっといざこざなんて生まれないと思うからな。
※記事内容には個人の意見が含まれています。
『ぼくたちの哲学教室』5月27日公開
映画『ぼくたちの哲学教室』公式サイト
(C) Soilsiu Films, Aisling Productions, Clin d’oeil films, Zadig Productions,MMXXI
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です！」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため（中退）、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。