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DC『ザ・フラッシュ』徹底予習 映画の原点「フラッシュポイント」とは

 地上最速のDCヒーロー・フラッシュが主人公の映画『ザ・フラッシュ』が、6月16日に日米同時公開。映画をとことん楽しむために、その原点となったコミック「フラッシュポイント」や、映画の基本情報をまとめて紹介する。(文・平沢薫)

原点はコミック「フラッシュポイント」

 映画は、一種のタイムトラベルもの。フラッシュが“過去”に遡り、子供時代に死んだ母親を死から救うが、そのために“現在”が変化してしまい、バットマンは別人、スーパーマンは存在しなくなっている、というあらすじが公表されている。このストーリーの原点が、2011年全米刊行の人気コミックシリーズ「フラッシュポイント」。同コミックは、日本でも2012年にヴィレッジブックスから翻訳が刊行された人気タイトルだ。

~以下、原作漫画「フラッシュポイント」のネタバレを含みます~

 今回の映画と原作コミックは、ストーリーの大筋が共通している。どちらも、フラッシュが過去で母親を救ったために、ヒーローや世界の状況が大きく変化してしまう。原作で出現するのは、DCヒーローたちが激変した世界で、バットマンはブルース・ウェインではなく父親トーマス・ウェインになっている。ヒーローたちのリーダー的な存在は、スーパーマンではなくサイボーグ。アクアマンが統治するアトランティスと、ワンダーウーマン率いるアマゾン軍団は、人類に与える被害には目もくれず、全面戦争に突入しようとする。また、ヒーローの変貌意外にも、今回の映画と共通する要素が含まれている。

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 実は、このコミックが映画のカギになることは2017年から予測されていた。同年開催のサンディエゴ・コミコンで、ワーナーがフラッシュ主役の新作映画を『フラッシュポイント(原題) / Flashpoint』として発表。この時点で、同名コミックの映画化に違いないとファンの期待値が爆上がりした。

 その後、2018年4月に The Hollywood Reporter が、脚本家ダン・マゾーについて「フラッシュ映画が『フラッシュポイント』というタイトルだった時に関わっていた」と書いたため、映画のタイトルが『フラッシュポイント』ではなくなったことが判明したが、同記事を書いた記者がTwitterで「僕は『フラッシュポイント』の映画化じゃないとは言ってない。そのタイトルにならないだろうと言っただけ。でも言い過ぎたかも」とツイートしたことが拡散し、その後も「フラッシュポイント」の映画化になるというのがファンの共通認識になった。

 また、ホラー映画『IT/イット』2作品を大ヒットさせて、本作に抜てきされたアンディ・ムスキエティ監督も、製作中からこのコミックの影響を認めている。2020年の That Hashtag Show の取材で「フラッシュポイント」の影響を認めつつ、そのままの映画化ではなく、「君が予測しているのとは違うバージョンの『フラッシュポイント』になる」と語っている。

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主人公フラッシュとは 登場するDCヒーローは?

 主人公フラッシュは、これまでのDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)と同じ。現実世界では、2022年に今後のDCコミックの映像作品を統括する「DCスタジオ」が新設されたが、本作はその前に撮影済みだった。ポストクレジットシーンは差し替えられたとの噂だが、本編はそのままだ。

 主人公フラッシュ/バリー・アレン(エズラ・ミラー)は、カメオやゲスト出演を除けば、過去の主要な登場作品は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)、『ジャスティス・リーグ』(2017)、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021)のみ。『ジャスティス・リーグ』(できればスナイダーカット)を観ておけば、経歴や性格はわかる。本作のための必要知識はごくわずかだ。子供の頃に母親が殺され、父親が容疑者として刑務所に収監されていること、父親の無実を証明するためにバイトを複数掛け持ちしつつ勉強し、科学捜査官になったことを押さえておこう。

 DCEU直結の本作には、ザック・スナイダー版バットマン(ベン・アフレック)と、ティム・バートン版バットマン(マイケル・キートン)が登場することが、すでに予告編で判明している。となると、これまでの他のDC映画でおなじみのキャラクターが登場する可能性もありそう? 

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新DCユニバースとの関連は? ジェームズ・ガンが気になる発言

 ジェームズ・ガン監督による新DCユニバース(DCU)の構想が始まった今、気になるのは、本作と今後のDCUとの関係だ。ガン監督が、本作を「これまでのスーパーヒーロー映画の中で、もっとも優れた作品の一つだと言える」と絶賛しているのは既報の通りだが、もう一つ気になる発言がある。この発言と同じくVarietyのインタビュー記事で、今後のDCUについて、『シャザム!~神々の怒り~』がセットアップして、『ザ・フラッシュ』がすべてをリセットするとも発言しているのだ。さらに記事には、ガン監督がその意味について詳しく言えないのは、『ザ・フラッシュ』がプロット重視の作品で、それを言うとネタバレになりかねないからだ、とも書かれている。リセットとはどういう意味なのか。その意味は劇場で確認するしかない。

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