ウーマン村本、テレアポで働いた暗黒時代明かす
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ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、韓国で実際にあった事件を映画化して話題を呼んだ『あしたの少女』。ヒロインと同じ超ブラックなテレアポ会社に勤めていたという村本が暗黒時代を振り返る! (取材・文:森田真帆)
今回の映画は『あしたの少女』です。
2017年に韓国で実際に発生した事件を基にした、『ベイビー・ブローカー』などのペ・ドゥナ主演によるドラマ。コールセンターで実習生として働いていた女子高校生の自殺を捜査する女性刑事が、彼女が置かれていた過酷な状況を知る。監督は『私の少女』でもペ・ドゥナと組んだチョン・ジュリ。キム・シウン、チョン・フェリン、カン・ヒョンオ、パク・ウヨンらが共演する。
ブラックなテレアポ会社に勤めた過去
中川パラダイス(以下、中川):めちゃくちゃ面白かった。ショッキングやったし、単純に映画として面白かった!
村本大輔(以下、村本):韓国だけじゃなくて、世界中の問題って感じだよね。人を道具のように使っていく会社。でもそういう悲しい話を悲しく描かずに、ただ淡々と描いていることが逆に刺さったわ。
中川:たしかによくある、お涙ちょうだい系とは違ったよな。
村本:オレも若い頃、あの映画に出てくるようなテレアポしててさ。担当のエリアを渡されて時間内に電話回線契約のアポ取るバイトしてたんや。ほんまに同じような感じで常に成績発表されて、成績悪いと月イチで首切られんのよ。その顧客リストっていろんな人の情報が載ってるんやけど、断れないヤツとかさ、優柔不断なヤツとか、顧客の情報が載ってるんよ。それで必要ないものを買わされてく姿を見るわけやん。だから、良心があるヤツはみんな心病んでやめてくねん。
中川:映画の中の女の子が働いていたところと同じやん。
村本:せやで。やっぱり同じようにチーム長がいて、オレらの会話を常にモニタリングしててさアポが取れたらみんなから拍手もらってさ、首切られるヤツは上司に呼ばれて、そのまま帰ってこないねん。オレ、そのバイトを同期のみるきいしげおと一緒にやってたんやけど、みるきいがほんまに下手くそで上司のところに連れてかれたんや。その時、売られていく豚のような顔してたの覚えてるわ。
中川:村本はどうやったん?
村本:オレは社長から気に入られて、もう社員になってくれって、すきやき奢ってもらうくらいうまかってん。自分の心の善意を完全に殺さなあかんかったからつらかったけどな。そういう会社で働くと人間らしくなくなるのよ。人間らしく働くって大事なんよな。軍隊もそうよ。自分の人間らしさを忘れちゃう。
中川:さすがやな!
親は子供のSOSを見逃しがち
村本:日本でも歯を食いしばりながら必死にテレアポの仕事をしている人はめっちゃ多いで。テレアポってバイトの給料もいいし、奨学金返すために親に迷惑かけたくなくて働いてる若者もめっちゃ多い。だからあの映画に出てくる人は他人事じゃなくて、ほんとすぐ隣の人やねん。
中川:YouTubeで見たんやけどさ、パワハラやばすぎて、お母さんに相談したけど、頑張れって言われてやめれんくて、そのまま頑張りすぎて鬱になったって人おったわ。
村本:日本も韓国もさ、自由な生き方よりも会社で働いた方がいいっていう考え方をする人多いもんな。
中川:でも親って言いがちやん。オレも学校しんどいって息子が言うてても、ついつい「いかなあかん!」て言いがちやもんね。ちゃんと理由を聞かないとあかんな。聞いてないフリは一番罪深いと思うわ。
村本:真面目な子って期待に応えようと頑張るから、親は子供が期待に応えてくれることに慣れちゃうんよな。あの女の子も映画の中で、一生懸命親にSOS出してるのに、親が気付かないふりしたりするやん。
中川:いやー、期待しすぎはあかんわ。
一番のブラック企業は相方・村本
村本:これからインボイス制度の導入が始まって、個人事業主が組織に入らなあかんくなるやん。そしたらまた、言いたいことを言えずに、我慢し続ける人が増えると思ったら怖いわ。
中川:僕は組織で仕事するの向いているかもしれん。僕は指示さえもらえれば、完璧に遂行できる人間やから。そんで見てないところでサボれんねん。わざと苦しい顔して、実はめっちゃサボりながらやる。ていうか、村本とコンビ組んだら、ほんまめちゃくちゃ否定されるからな。
村本:たしかにせや。まず人格の否定から入るからな。村本というブラック企業を経たら、どんな会社でも働けるよな。会社入る前にぜひオレとコンビ組んでくれたらええわ。
中川:ほんまやわ。村本が漫才のダメ出し追い詰めてくる上司と同じような顔しとったで! おかげでどんなに悲しい時でも笑顔でいれるようになったわ。村本はめっちゃブラックやけど、ちゃんとギャラはもらえるからまだマシやわな!
※記事内容には個人の意見が含まれています。
『あしたの少女』8月25日公開
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ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。