端正な顔立ちとカメレオンなふり幅 倉悠貴が『OUT』でヤンキーに挑戦!
激推しスター発掘調査隊
『OUT』倉悠貴(くら・ゆうき)【第9回:激推しスター発掘調査隊】
次世代スターとして活躍が期待される俳優の素顔に迫る本企画。今回は、品川ヒロシ監督が中学からの友人・井口達也の青年時代を描いた実録物語『OUT』で主演を務めた倉悠貴さんを徹底解剖します!
プロフィール
生年月日:1999年12月19日
出身地:大阪府
身長:173cm
血液型:A型
芸歴:2019年、ドラマ「トレース~科捜研の男~」で俳優デビュー。主な出演作は「his ~恋するつもりなんてなかった~」「おちょやん」等のドラマ、『街の上で』『樹海村』『窓辺にて』『禁じられた遊び』『こいびとのみつけかた』等の映画。映画『コーポ・ア・コーポ』『市子』が公開待機中。
PRIVATE 素顔に迫る一問一答
Q:家族構成を教えてください。
両親と、2歳上の兄がいます。兄とは、ぼちぼち仲が良いです(笑)。
Q:学生時代は、どんなキャラクターでしたか?
特にイケてるキャラクターでもなく、かといってイケてないわけでもなくて。ごく普通です。クラスのヒエラルキーでいうと、3番手4番手の中にいるくらい。目立たない人間でした。
Q:スポーツは?
野球をちょっとだけやってました。
Q:得意科目は?
めちゃくちゃ理系です。正解があるのがいい。
Q:演技にも決まった“正解”はありませんね。
そうなんです。でも理系だからこそ出来ることがあるかもしれないと、最近はポジティブに捉えています。
Q:古着屋さんでアルバイトをしていたそうですが、ファッションが好きなのですか?
ちょっと人と違うことをしてみたい。そんなところから始まり、服が好きになった感じです。
Q:今好きなファッションは?
今は基本、ダボダボのデニムに大きいTシャツを着てます。普通ですか? 確かに! もうすぐ24歳だし、ファッションでがんばるのは止めよう! と思って(笑)。
Q:デビューのきっかけはスカウトだったとか?
テレビや映画を観るのは好きでしたし、もちろん憧れはあって。俳優って格好いいなと思うことはたくさんありました。でも、自分がやってみるという考えはなかったんです。
Q:活動を始めてすぐ、演技の面白さに気づいたのでしょうか?
はじめのころは不安しかありませんでした。演技をするといっても、出来ないことばかりですし。出演した作品が公開されたり放送されたりすると、すげぇ! って感じで(笑)。その後もありがたいことにお仕事をいただき、お声がけいただけるうちは、ちゃんと自分に出来ることをしたい。作品づくりはたくさんの人が関わり、みんなの想いをこめるもの。そこに踏み込んだ以上は、真剣に向き合うしかないなと。
Q:「おちょやん」のころ、「演じることの楽しさが少しわかってきた」というようなことをおっしゃっていましたが?
面白いと思うことが増えてきましたし、楽しめていると思える瞬間もあります。でもやっぱりまだ不安だらけで。成長しなきゃ! という焦燥感みたいなものがずっとあります。
Q:ご自身の長所と短所を教えてください。
長所は、何に対してもフラットでいられるところ。それこそ映画の現場では対等な立場でモノづくりをしているのに、上下関係があるのはあまり好きではなくて。だから目上の方には、失礼だと思われることがあるかもしれませんけど。
Q:ひょっとして負けず嫌いですか?
そうなんでしょうか。『OUT』で演じた達也みたいですね!
Q:仕事以外でハマっていることは?
あまり趣味もなくて……。最近は、家をキレイにすることが好きで、冷蔵庫を買い替えました! 料理をするので、大きいのがほしくて。
Q:サウナがお好きとか?
週に5日行ったりします。水風呂に入ったあとも気持ちいいですが、熱さに耐えている時間が好きです。サウナをきっかけに仲良くなったプロデューサーさんもいて、“サウナフレンド”ですね。よく一緒に行ってます。そういえば『OUT』でもサウナに入りました。筋トレをしていて、体から湯気を出さなきゃいけないシーンがあって。現場に簡易サウナのテントを張ってみんなで12分くらい入り、それから筋トレシーンを撮影しました。
Q:役柄によって、印象が激変します。役へのアプローチはどのように?
どうやっているのか……。でも本当にその役をやる、だけなんですけど。
Q:自分との共通点を見出して、自分に寄せていく?
それでも限界はやっぱりあります。ビジュアルもそうですし、声も、身体的なものも、どうしても妥協点に着地するところがある。そのなかで、どこまで近づけるか? という作業なのかなと。でもひとつの役があって、こういうイメージだろうというのがあって、そこで選んでいただけたのなら、僕にしか出来ないことってなんだろう? ということも考えて。いわゆるキャラクターではなく、ちゃんと地に足のついた芝居を心掛けています。それでいて妥協点ではなく、てっぺんを探して。そうしていつかはそんなことも考えず、ただ生きているだけでいい。そんな俳優になりたいと思っています。
Q:では俳優としての野望は?
それ、難しいですよね。「ハリウッド映画に出ること」とかわかりやすい目標があればいいのですが。でも頂いた仕事、役と真摯に向き合い、粛々とやる。今はそれしか考えていません。
INTERVIEW インタビュー
Q:男子にとって、ヤンキー映画というのは特別感があるものでしょうか?
中高生のころはよく観ていましたし、格好いいな! という憧れは確かにあると思います。でも僕自身は殴り合いのケンカなんてしたことがないですし、どちらかというとクラスの隅にいるようなタイプで。ヤンキー役には縁がないと思っていました。まあ殴り合いのケンカをしたことがある人なんて少ないと思いますけど。
Q:では井口達也を演じるにあたって、まずは体づくりから?
準備期間が長くなかったのですが、品川監督がそこは丁寧に指導してくださって。一緒にジムに通ったりしました。品川さん自身がいちばん動けるので、撮影中に「こんな感じで動いて」と言われても、「え……こんな感じって!?」みたいなことがよくありました。
Q:ケンカシーンは何が大変なのでしょう?
殴ったり蹴ったりということ自体は動きを覚えてしまえばいいのですが、受ける方が難しいような気がします。アクションの中にも「ここでは相手の蹴りをくらってダメージが残っている状態」といったようなストーリーがあるので。時代劇の刀での殺陣なら斬られたら終わりですが、それとはまた違った難しさがあるように思いますね。カメラの画角、アングルによって実際に拳や蹴りが当たっているように見えるかどうかや、CGを使う場合もありますし。
Q:暴走族「斬人」の総長を演じた醍醐虎汰朗さんや副総長役の水上恒司さんら、同世代のキャストとの撮影は楽しめましたか?
まさに十人十色と言いますか、みんながみんな独特のキャラクターで。刺激を受けましたし、本当に魅力的な人ばっかりだなと思っていました。
Q:井口達也をどう演じようか、すぐにイメージできましたか?
すぐにはイメージできませんでした。これまでもいろいろな俳優さんが演じられてきて、そのなかで今回は僕が選ばれて。僕がやるからこそ、みたいな部分は意識しましたし、どういうアプローチにしようかはすごく考えました。
Q:アングラな世界に生きるが故に抱える生きづらさや弱さ、陰のようなものを意識して演じたそうですね。
そういうところでキャスティングされたのかも? と思ったので。実際にこういう感じなので(笑)、人間臭さみたいなものが描かれ、そのなかでの葛藤だったり成長……するかしないかわかりませんが、そういう部分を大切に演じたいなと。
Q:千鳥の大悟さんやシソンヌのじろうさんら、芸人さんも印象的でした。一緒にお芝居をしてみて、芸人さんならではの印象がありましたか?
お二人ともいわゆる演技力があるのはもちろんですが、間というのか、自分の見せ方をわかっていらっしゃるんだなと。それぞれのシーンでその役としての役回り、自分がするべきことをしっかり理解されているからこそ、その演技が、面白い! という風になる。どちらもいろいろなアプローチが出来る役だと思うのですが、あのお二人だからこそのキャラクターになっていて素晴らしいなと思いました。
Q:達也のシーンでもいくつかクスッと笑わせて頂きました。セリフのやりとりや間合いは相手の方と練習を?
僕は練習しますが、相手の方がどうくるかはやってみないとわかりません。癖の強いキャラクターばかりで、その中で達也はバランサーでもあって。柔軟に対応出来たらきっと面白くなるだろうと思っていました。
Q:品川監督は「撮影は遠足みたいなものだから、睡眠時間が短くても毎日楽しい」とおっしゃっていたそうですね。
あれだけ忙しくされている中で映画も撮るわけで、楽しむという感覚なのだと見ていてよく理解出来ました。現場でいちばん楽しそうでしたし、そうした向き合い方はステキだなと。
Q:共演者のおひとりが「倉くんは本番直前まで反復練習をひたすらしていた」とおっしゃっていました。
あまり自信がなく、直前まで練習しないと落ち着かなくて。カメラテストをやって本番をやる、基本的にチャンスは一度しかないと思っているので、そこでいちばんいいものが撮れないともったいないなと。やっぱり練習しちゃいます。
Q:クライマックスのアクションシーンの撮影はいかがでしたか?
いや~大変でした! 二日間かけて撮影したので、フル尺では本当に長いんです。アクションなのでカット数も多いし、リアルに疲労が溜まっていって、劇中の達也も後半は疲れているように見えるでしょうが、本当に疲れていました。そこは演技じゃないです(笑)。本当に泥臭くやっていて、だからこそ達也役でよかったと自分では思っています。器用に出来るタイプではなく、醍醐さんの演じたあっちゃんのように格好よくは出来ません。泥臭く、拳をぱんぱんに腫らしてやっているのが達也にも合っているなと。
Q:完成した映画を観た感想は?
作品として観るようにはしていますが、いかんせん自分がずっと出てくるもので……。どうしても反省に寄ってしまいます。不安もありますが、あのときに出来ることのすべてを出せたかなとは思っています。
取材・文:浅見祥子 撮影:高野広美
【インフォメーション MOVIE】
井口達也、みずたまことのコミック「OUT」を実写化した青春アクション。少年院から出所した元暴走族の青年が、更生を誓いながらも暴走族の抗争に巻き込まれていく。メガホンを取るのは、原作者・井口達也の中学時代の友人でもある『リスタート』などの品川ヒロシ。『衝動』などの倉悠貴、『野球部に花束を』などの醍醐虎汰朗、『死刑にいたる病』などの水上恒司らが出演する。
映画『OUT』は11月17日公開
(C) 2023『OUT』製作委員会