「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」第1話:新種のウォーカー登場!ダリルの新たな旅が始まる
今週のウォーキング・デッド
いつか日本でも観られる日が来るに違いない……そう信じて待っていた「ウォーキング・デッド」待望の新スピンオフ「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」がついに配信スタート! やっぱりダリルは裏切らない。待っていてよかった第1話「失われた魂」の見どころを振り返る。(文・平沢薫)
※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」第1話をまだ見ていない方はご注意ください。
舞台はフランスへ、ガラッと変わった風景が新鮮
本作はアメリカで9月10日(現地時間)に放送&配信がスタート、シーズン1はすでに全話オンエア済みだ。しかし、いつか日本で観られると信じて、その時にドラマを100%楽しむために、なるべく情報を入れないようにしていた筆者のようなファンは多いはず。それでも、米映画情報サイトで本作の視聴率が好調だという記事が目に入り、無意識のうちに期待値が上がってしまっていたが、その状態で第1話を見ても大満足。これまでのスピンオフの中でも、かなりファンの期待に応える内容になっている。
なにしろ、主人公は本家シリーズの人気キャラクター、ダリル・ディクソン(ノーマン・リーダス)。しかも、このキャラクターを11年にわたって演じてきたノーマン自身が製作総指揮に参加していることもあり、ダリルのキャラクターがまったくブレない。
助けた相手に逆に襲われるという非情さや、「開けるな」と書かれたドアを開けてしまうとやっぱりウォーカーが出てくるというお約束はこれまで通りだが、世界の風景はまったく違う。本家シリーズと違って、世界の色調は青っぽく、肌寒い気候なので、いつもはノースリーブのダリルが、長袖セーターを着ている。そのうえ、第1話の舞台は尼僧たちが暮らす古い修道院。このドラマが、本家シリーズとは違う世界を描くことを明確にするためにも、フランスでのロケは大正解だった。
新種のウォーカー登場
第1話が序章ではなく、最初からストーリーが大きく動くのも嬉しいところ。冒頭から、さっそく新種のウォーカーが登場。ウォーカーがダリルの腕を掴むと、そこが爛れたようになり、疾患が広がるのを防ぐためには、その部分を焼く必要があるようだ。ダリルを治療した修道女イザベル(クレマンス・ポエジー)は、ウォーカーを「飢えし者」と呼び、ダリルを襲ったウォーカーは、その中の「バーナー」と呼ばれる種類だという。ということは、他にも新種がいるということだろう。どんな性質の新種がいるのか楽しみになる。
また、ドラマもサクサク展開する。ダリルは修道女イザベルに帰国のための港に案内してもらう代わりに、彼女とその同僚の修道女シルヴィ(ライカ・ブラン=フランカール)が世界を再生すると信じている少年ローラン(ルイ・ピュエシュ・シグリウッツ)を、彼女たちが属する希望連合の本部に連れて行く旅の護衛を務めることになる。この連合がどんな組織なのかは、これから描かれていくだろう。
無愛想な男が子供を守って旅をするという設定は、ペドロ・パスカルふんする主人公がベラ・ラムジー演じる少女を護衛する人気ドラマ「THE LAST OF US」を連想させるが、本作が「THE LAST OF US」と違うのは、この旅に修道女2人が同行し、しかもダリルが2種類の敵に追われているところ。1人目の敵は、弟の復讐のためダリルを追う、武装集団生者の力の一員コドロン(ロメイン・リーバイ)。2人目の敵は、ダリルが逃げ出した船を持つ謎の組織のリーダーらしいマダム・ジュネ(アンヌ・カリエール)。彼らとの攻防戦も期待大。
マダム・ジュネの船に関連して、新たな謎も登場した。博士と呼ばれる男が「使える被験者はわずかだ」と発言するが、それは何の実験なのか? ダリルはその被験者だったのか? また、この実験はスピンオフ「ウォーキング・デッド:ワールド・ビヨンド」シーズン2最終話のポスト・クレジットシーンで、フランスの研究所で起きた出来事と関係があるのだろうか? この謎が明かされていくのも楽しみだ。
制作陣も新顔ぞろい
本家シリーズとはまた別の魅力を発揮してくれそうな本作は、スタッフも新顔が勢ぞろい。といっても「ウォーキング・デッド」全体のコンテンツ・オフィサーを務めるスコット・M・ギンプルは続投し、製作総指揮には、本家同様、原作者ロバート・カークマンやVFX出身のグレッグ・ニコテロらが参加している。
そこに、本作のクリエイターとして「ウォーキング・デッド」の世界に初参加するのがデヴィッド・ザベル。人気シリーズ「ER 緊急救命室」のシーズン9~15の製作・脚本に参加してきた人間ドラマ系クリエイターの彼が、どんなドラマを見せてくれるのか期待したい。
新鮮さをたっぷりと盛り込みながら、本家シリーズとのリンクがあるのも嬉しいところ。冒頭から、漂流中のダリルは朦朧とした意識の中でリック(アンドリュー・リンカーン)の幼い娘ジュディス(ケイリー・フレミング)が、旅立つダリルに言った「幸せになってね」の声を聞き、ドラマの中盤で少年ローランに同じ「幸せになってね」と言われた時に、ハッとした顔をする。すると、これまで見てきたファンは、ダリルとジュディスの交流や、ダリルがいつも幼い子供には優しかったことを思い出さずにはいられない。これから始まるダリルの新たな旅の道中にも、また、ファンにこれまでの出来事を思い出させる瞬間があるのではないだろうか。
「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」U-NEXTにて独占配信中
(c)2023 Stalwart Productions LLC.