【ネタバレ解説】「ロキ」シーズン2第5話:明かされるロキの本心、ラストの意味は?
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の実写ドラマシリーズ「ロキ」シーズン2第5話「サイエンス・フィクション」(ディズニープラスで配信中)は、まさにSF的なストーリー! 時間織り機の爆発で、世界はどう変わったのか?(文・平沢薫)
※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ロキ」シーズン2第5話をまだ見ていない方はご注意ください。
友達を取り戻したい…ロキの本心が明らかに
時間織り機の爆発後、ロキ(トム・ヒドルストン)が目を開けると世界は消えてなかったが、TVA(時間変異取締局)は無人だった。ロキが一人ぼっちだという状況を反映して、タイトル映像も変化。いつもはLOKIの4文字の書体がどんどん変わるだけだったが、今回は一瞬、文字が一つずつ消えてOだけになり、また4文字に戻る。
第5話の注目ポイントは、そんなロキが本心を明かすところだ。2022年のオハイオでドンという名のシングルファーザーになっているメビウス(オーウェン・ウィルソン)に、ロキが「お前は私の命を救った。私も知らない何かを、私の中に見たんだ」と彼への気持ちを語る。そして、シルヴィ(ソフィア・ディ・マルティーノ)に彼が時間織り機を修復しようとする理由を問い詰められ、ついに「友達を取り戻したいんだ」と本心を告白する。自分勝手なイタズラの神だったロキは、友人の尊さを知り、彼らと一緒にいたいと思うように変化していたのだ。
時間移動で見られたリンク
ロキが数秒前の自分に遭遇する冒頭から始まり、時間移動の楽しさも満載。前回と同じく、シリーズ内でのリンクも見られた。別の時間軸でのメビウスは、大好きな水上スキーを販売しているが、彼の水上スキー好きはシーズン1第2話から何度も登場していたもの。TVA職員ケイシー(ユージン・コルデロ)は、1962年でアルカトラズ脱獄犯フランク・モリスになっているが、実在の人物だと判明するのは、シーズン1第1話でロキが1971年の未解決ハイジャック事件の犯人D・B・クーパーだと判明したのを連想させる。
そして、ロキが1994年でSF作家兼物理学教授になっているO.B.(キー・ホイ・クァン)、時間移動は自分で制御できるはずだと言われ、それをやろうとポーズを取るが何も起きないシーン。シーズン1第1話でTVAに来たばかりのロキが、魔法を使おうとして使えなかったシーンにそっくりだ。
また、ロキとシルヴィが飲みに行くバーには、シーズン2第2話でTVA捜査官X5(ラファエル・カザル)が1977年で俳優ブラッド・ウルフとして主演した映画『ザニアック!』(Zaniac!)のゲーム機があり、「ザニアックは血を求める!」という音声を出す。ポストクレジットシーンでも「お前は死んだ、コインを入れろ」(英語セリフでは「Looser!(負け犬!)」も含まれる)とゲーム機の音声が流れるが、この言葉はロキの背中を押しているかのようだ。
監督コンビもカメオ出演
もちろん、MCUとのリンクも隠されている。TVA職員B-15(ウンミ・モサク)が医師ヴェリティ・ウィリスとして暮らす2012年のニューヨークでは、『アベンジャーズ』(2012)で描かれたニューヨーク決戦が起きた。
このヴェリティ・ウィリスという名のキャラクターは、コミック「Loki: Agent of Asgard #2」(2014)に登場するが、特殊能力を持つ人物なので同姓同名なだけだろう。また、2022年のメビウスの妻がずっと戻ってきていないのは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)のサノスの指パッチンで消えたからかもしれない。
細かいネタでは、シーズン2の監督コンビであるジャスティン・ベンソン&アラン・ムーアヘッドが、ケイシーと一緒にアルカトラズを脱獄する囚人役で出演している。シルヴィがレコード店で聴く曲は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの4枚目のアルバム「ローデッド」(1970)の最後に収録されている「オー・スウィート・ナッシン」で、「彼女は何も持っていない」という歌詞はシルヴィの気持ちにピッタリだ。
さて、ラストシーンでは、目の前で消えていく友人たちの姿を見たロキが、ついに自分で時間移動を制御できるようになる。ロキが「物語を書き換える」と宣言するのは、酒場でシルヴィに「みんな自分の物語を書いている。あなたもそうして」と言われたのを踏まえたセリフだが、コミック「Loki: Agent of Asgard」(2014-2015)も意識しているかもしれない。同コミックでは、キッド・ロキが成長して「私はストーリーの神だ」と宣言するのだ。これからロキはどんなストーリーを見せてくれるのか。いよいよ次回はシーズン2の最終話だ。
「ロキ」シーズン2はディズニープラスにて独占配信中
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