「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」第3話: “救世主”にまつわる驚がくの事実判明
今週のウォーキング・デッド
海外ドラマ「ウォーキング・デッド」の新スピンオフ「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」第3話では、主人公・ダリル(ノーマン・リーダス)一行が早くもパリに到着。新しいコミュニティーやキャラクターも登場し、 救世主ローラン少年についても新たな事実が明らかに。注目ポイント満載の第3話「パリはパリ」の見どころを再確認する。(文・平沢薫)
※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」第3話をまだ見ていない方はご注意ください。
戦慄…不気味なウォーカーのオーケストラ
第3話を観て、スピンオフのポイントは、本家シリーズにはなかった異国の景観、フランスらしい光景を見せることにあると確信した。なにしろ、ダリル一行がパリに着いた途端に流れ出すのが、1971年にパリで死んだアメリカのロックスター、ジム・モリソンが所属したバンド、ドアーズの名曲「まぼろしの世界」のフランス語版だ。フランスのミュージシャン、フィロニコ(Philonico)による曲はYoutubeにもアップされている。本編でもジム・モリソンの墓が登場し、ダリルが彼について語るが、この曲歌詞は「あなたが異邦人だと 人々は奇妙に見える あなたが孤独だと 人々は醜く見える」という、自国ではない場所にいる人物の気持ちを歌ったもの。これは、異国フランスを彷徨うダリルの気持ちそのものだろう。
そんなダリルが目撃するのが、心を病んだフランスの音楽家によって結成された不気味なウォーカーのオーケストラ。ラヴェルの「ボレロ」のレコードに合わせ、ウォーカーたちが楽器を演奏しているかのように、呻き声をあげながら動くグロテスクな光景は衝撃的である。
また、性別不明の派手なメイクのパフォーマーたちが華麗に踊って歌う、地下のナイトクラブ・デミモンドも登場。ウォーカー出現後の世界にもこんな場所があるとは、さすがパリ。文化の香りも高く、壁にはモネの「睡蓮」があり、その隣にはマックス・ベックマンの画「バーデン=バーデンのダンス」も飾られている。
そのクラブに行くために通るのが、実際にパリにある地下納骨堂・カタコンベ。この頭蓋骨が積み重ねられた回廊にも圧倒される。案内人が、ここには中世ヨーロッパを席巻した黒死病の遺骨もあり、パリは何度も終末を生き延びてきたと自慢するのも納得。このスピンオフはこうした、本家にはなかった光景をたっぷり堪能させてくれる。
驚がくの事実も…新たなコミュニティー&登場人物
ストーリー展開も快速である。ダリルたちは、修道女イザベル(クレマンス・ポエジー)同様、ローラン少年(ルイ・ピュエシュ・シグリウッツ)を救世主だと信じるコミュニティーと接触する。ローランはここで、夫を失ったばかりの女性の心を癒す。前話では、ローランが特別なのはウォーカーの感染者から生まれたという特殊性のせいと思ったが、これを見ると、ローランはそれとは別の何かの力を持っているのかもしれない。
初登場となるコミュニティーのリーダー・ファロウを演じるのは、『トランスポーター3』『ラスト・ミッション』のフランス俳優エリック・エブアニー。彼らの組織の本部“ネスト(巣)”へ、ダリルの帰郷のための情報を求めて伝書バトを送ったが、果たして返事はいつ届くのか。伝書バト係のアントワーヌ役は、『ロスト・チルドレン』『アメリ』などジャン=ピエール・ジュネ監督作の常連、ドミニク・ピノンだ。
また、第2話に登場したイザベルの元恋人の名前がクインと判明。彼はナイトクラブのやり手オーナーになっていて、しかもローラン少年の父親という驚愕の事実が判明。今度のドラマにも絡みそうだ。演じるのは『トレイン・ミッション』やドラマ「チェルノブイリ」の英国俳優アダム・ナガイティス。
そして、ダリルを弟の仇と狙うコドロン(ロメイン・リーバイ)は、ダリルが逃げ出した船のオーナー・ジュネ(アンヌ・カリエール)が率いる組織「生者の力」の一員になる。さっそく彼はダリルを見つけて激闘するが、今回は決着がつかず、今後に持ち越しになった。
生者の力で気になるのは、彼らが行なっている実験。彼らの実験台ウォーカーは、鉄の鎖を壁から引き剥がす怪力を発揮したが、18秒で頭部が破裂した。彼らが行なっているのは、ウォーカーのパワーを強化する実験なのだろうか?
ローランは救世主なのか、ウォーカーの実験の目的は何なのか? そして、ダリルはどうやってアメリカに帰るのか? まだまだ多くの謎を残しつつ、次の第4話は早くもこのシーズンの折り返し地点。何が起きるのか、気が抜けない。
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