【完全ネタバレ】『マーベルズ』のアレって?小ネタ&おまけシーン徹底解説
アベンジャーズ最強のヒーロー、キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)率いる新チームが活躍するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『マーベルズ』。MCU映画恒例のイースターエッグはもちろん、本作はエンディング&おまけシーンも衝撃的! 劇中に散りばめられた、つい見落としがちな小ネタと合わせて解説していく。(文・平沢薫)
※本記事はネタバレを含みます。映画『マーベルズ』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
MCU過去作に関連したカメオ&小ネタ&アイテム
まず、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でキャプテン・マーベルらと共に戦った、アスガルドの戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)がカメオ出演している。彼女は『ソー:ラブ&サンダー』(2022)で、地球にニューアスガルドを築いており、『マーベルズ』でヴァルキリーが受け入れたスクラルの難民たちは、そこで暮らすことになるのだろう。
MCU全体に関しては、ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が指揮を執る宇宙ステーションS.A.B.E.R.が登場。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)でもフューリーがいた場所で、「ワンダヴィジョン」(2020)や「シークレット・インベージョン」(2023)にもわずかだが映っている。S.A.B.E.R.は宇宙からの外敵を監視する組織で、モニカ・ランボー(テヨナ・パリス)はこの組織のエージェントになっている。
ちなみに、モニカがミズ・マーベル/カマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)にヒーロー名として、ヴィジョン、ノヴァ、プロフェッサー・マーベルといくつもの名前を提案されるのは、彼女がコミックでたくさんのヒーロー名を持っていることを踏まえているのかもしれない。原作における彼女のヒーロー名は、これらの候補の中にはなく、キャプテン・マーベル、フォトン、パルサー、スペクトラムと作品によって呼び方が異なる。
また、モニカがキャロルに借りて着るナイン・インチ・ネイルズのロゴTシャツは、キャロルが『キャプテン・マーベル』(2019)で着ていたTシャツだ。そして、本編のラストでキャロルとカマラの一家が引っ越す家は、『キャプテン・マーベル』でモニカが母と暮らしていた場所。モニカはフューリーの宇宙ステーションにいたので、彼女たちが借りることになったのだろう。
ヤン王子の惑星も!コミック由来のネタ
本作の敵ダー・ベン(ゾウイ・アシュトン)にも、コミック由来の小ネタがある。彼女の回想でキャプテン・マーベルを倒すクリー帝国のスプリーム・インテリジェンスは、今回のような全身像を見せるのは初めてだが、『キャプテン・マーベル』にも登場していた。モンスターのような姿は、コミックを踏まえたものだ。
ダー・ベンが持っているハンマー状の武器は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の元クリー帝国の軍人ロナン(リー・ペイス)が持っていた武器と同じ。本編でキャロルは、これをユニバーサル・ウェポンと呼ぶが、これはコミックでも使われている名称だ。
クリー人の宿敵、スクラル人関係にも既出アイテムがある。本編でダー・ベンが訪問するスクラル人の王の名前・ドロージは「シークレット・インベーション」第2話に登場。スクラル人のタロス(ベン・メンデソーン)が、列車の中でニック・フューリーと話す会話で「ドロージ皇帝の居住地」に言及する。この名前はコミックにも登場しており、超人的能力を持つスーパースクラルの研究をするスクラル人科学者の名前がドロージだ。彼らが住む惑星ターナックスも、スクラルが統治する惑星の名前としてコミックに登場する。
MCU初登場のヤン王子(パク・ソジュン)と彼の惑星アラドナは、コミックにも存在し、アラドナでは女性が結婚相手を選べるという設定も同じだ。原作でも映画同様、キャロルはヤン王子を望まない結婚から救うため、一時的に結婚したことがある。この惑星の人々が歌と踊りで会話するのは、コミックにおける人々が韻を踏んで会話することを踏まえたものだろう。
また、本編でキャロルがミズ・マーベルのバングル(腕輪)をクァンタム・バンドと呼ぶが、コミックにも同名のアイテムが存在する。原作では「Fantastic Four #164」(1975)に初登場し、宇宙的存在であるセレスティアルズの一員・イーオンが設計した、宇宙のエネルギーを操る強力なアイテム。本編を見るとMCUのクァンタム・バンドはクリー帝国の伝説に登場しているようだ。
今後のMCUを左右するエンディング&おまけシーン
そして、なんといっても本作のビッグサプライズは本編のエンディングとおまけシーンで、今後のMCUにつながる大事件が2つも起きたことだ。
一つ目は、ヤング・アベンジャーズの始動。若いヒーローたちのチーム、ヤング・アベンジャーズの結成はかなり前から噂になっていたが、『マーベルズ』でついに始まりの瞬間を目撃することになった。カマラがまず誘ったのは、「ホークアイ」(2021)で活躍した若き弓の名手ケイト・ビショップ(ヘイリー・スタインフェルド)。カマラはアントマンの娘にも声をかけると言うが、これは『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2023)ですでにヒーロースーツを着こなしていた、スコット・ラングの娘キャシー・ラング(キャスリン・ニュートン)のことだ。
このヤング・アベンジャーズには、すでにMCUに登場しているキャラクターが参加するとの噂がある。その候補には『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)でMCUデビューしたアイアンハートこと理系天才少女リリ・ウィリアムズ(ドミニク・ソーン)、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)で活躍したアメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス)の名前があがっている。
男性陣にもメンバー候補がいる。「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)にちらっと登場したアフリカ系の超人兵士計画被験者の孫エリ・ブラッドリー(イライジャ・リチャードソン)は、コミックではパトリオットというヒーローになるので、メンバー入りの可能性がある。また、「ワンダヴィジョン」に幼い少年の姿で登場したスカーレット・ウィッチの双生児トミー(ジェット・クライン)とビリー(ジュリアン・ヒリアード)は、コミックでは成長後にそれぞれウィッカンとスピードを名乗る。「ロキ」に登場したロキの変異体キッド・ロキ(ジャック・ヴィール)も、もう少し成長したら仲間になれそうだ。
そして、二つ目のビッグサプライズはX-MENのMCU合流。旧20世紀フォックスで映画シリーズが製作されていたX-MENは、すでに合流が可能になっていたものの、なかなか具体的な動きがなかった。ポストクレジットシーンでは、X-MENに所属する青い体毛のミュータント・ビーストが登場した。
このシーンでは、キャスティングも注目ポイント。ビーストを演じるケルシー・グラマーは、これまでブレット・ラトナー監督の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)でビーストを演じ、ブライアン・シンガー監督の『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)で老年期ビーストを演じた俳優だ。となると、MCU版『X-MEN』が、これまで描かれてきた『X-MEN』シリーズを踏まえたものになるということを示唆しているのかもしれない。このシーンには、これまでの『X-MEN』映画に何度も出てきた「X」の文字が大きく記されたドアも登場しており、過去シリーズとのリンクをますます期待させる。
ポストクレジットシーンは、本編でモニカが取り残された別世界の出来事として描かれるところもポイント。それを強調するかのように、『キャプテン・マーベル』に続いて本編の追想シーンに登場したモニカの母親マリア・ランボー(ラシャーナ・リンチ)は、モニカのことを知らない。さらに、マリアのコスチュームは、バイナリーと呼ばれるヒーローのもの。バイナリーは、コミックではキャプテン・マーベルことキャロルが自身のエネルギー体によって生み出した、彼女の複製的な存在だ。しかし、こちらの世界ではマリア・ランボーがバイナリーになるのだとしたら、これはMCU版『X-MEN』がこれまでのMCUの設定をそのまま踏襲するわけではないということを示唆しているのかもしれない?
このように、おまけシーンにも今後のMCUを考察させるヒントが盛り込まれている。MCUはどの方向に向かっていくのか。マーベルの次の一手を予測するためにも、このシーンは見逃せない。
映画『マーベルズ』は全国公開中
(C) Marvel Studios 2023