Netflixで話題！韓国ドラマ「サムダルリへようこそ」は何が面白い？
12月3日からNetflixで配信がスタートした韓国ドラマ「サムダルリへようこそ」が好調だ。配信早々トップ10を賑わし、週間グローバルトップ10（12月4日～10日）のテレビ・非英語部門でも5位にランクイン。話題作が並ぶなか人気を呼んでいる。「サムダルリへようこそ」の一体何が視聴者の心を引きつけているのだろうか？（文・前田かおり）※本文には一部内容に触れる部分があります。
「サムダルリへようこそ」とは？
舞台は済州島の架空の村“サムダルリ”。同じ年、同じ時刻に生まれ育った幼なじみで元恋人だった30代半ばを過ぎた男女が故郷・済州島で再会するところから始まるラブコメディーだ。甘いマスクでラブストーリー御用達俳優のチ・チャンウクと、最強コメディエンヌのシン・ヘソンという顔合わせで注目の話題作。演出は、「椿の花咲く頃」「気象庁の人々：社内恋愛は予測不能?!」などのチャ・ヨンフン、脚本は「ゴー・バック夫婦」「ハイバイ、ママ！」のクォン・ヘジュが手掛けている。
あらすじは？
済州島の田舎町“サムダルリ”で育ったチョ・サムダル（シン・ヘソン）とチョ・ヨンピル（チ・チャンウク）は幼なじみ同士。幼い頃から島を出たいと願っていたサムダルは、高校を卒業するとソウルへ。8年間のアシスタント時代を耐えて、チョ・ウネという名でフォトグラファーとして活躍、成功をつかむ。だが、あるスキャンダルに見舞われて全てを失い、共に暮らしていた姉妹たちと故郷の済州島に帰って来る。
一方、ヨンピルは済州島の気象庁で予報官として働いていた。気象誤報で海女だった母親を亡くした彼は故郷サムダルリの大切な人々を守るため、気象予報に関して頑固なまでにこだわり、上司も扱いに困る存在に。幼なじみから恋人同士になったサムダルとヨンピルはある事で別れ、長らく疎遠にかなっていたが、ヨンピルは傷ついて故郷に戻ってきたサムダルに寄り添い、再び彼女が立ち上がれるよう力を貸していく……。
見どころは、韓国ドラマ界きっての演技派2人のタッグ
チ・チャンウクとシン・ヘソンという魅力あふれる2人の顔合わせが興味をそそる本作。ヨンピルを演じるチ・チャンウクは1987年生まれ。2007年にミュージカルでデビューし、2009年「ソル薬局の息子たち」の末っ子役で注目される。2010年主演を務めたホームドラマ「笑ってトンヘ」で瞬間最高視聴率51.4%を記録し、時代劇「ペク・ドンス」もヒット。数々のラブストーリー作品や時代劇に出演するなか、「ヒーラー ～最高の恋人～」が中国をはじめアジア圏で大人気となり、“アジアの貴公子”と呼ばれるようになる。2022年、Netflix配信作「アンナラスマナラ －魔法の旋律－」ではミュージカル出身らしく、美しい歌声と舞台映えするビジュアルでファンタジックな世界を作り出し魅了している。また近作のディズニープラス配信のクライムアクション「最悪の悪」では今までのイメージを一変！ 麻薬犯罪組織で潜入捜査する刑事役で男臭さを炸裂させている。
高い演技力で、多彩なキャラクターをモノにしてきているチ・チャンウク。この「サムダルリへようこそ」では、生真面目で純粋、済州島を心から愛し、とくに故郷サムダルリの人を大切に思っているヨンピルをキラキラと輝くような笑顔で演じる。実年齢は30半ば過ぎているチ・チャンウクだが、未だ、爽やかな好青年というキャラクターに違和感がない。そして、30年も幼なじみとして育ち、恋人でもあり、別れてもなお、大切に思っているという純情男も似合う。
一方、サムダルを演じるシン・ヘソン。1989年生まれの彼女は、2012年ドラマ「ゆれながら咲く花」でデビュー、2016年「ドキドキ再婚ロマンス ～子どもが5人!?～」では主人公の妹を演じて一躍、注目の的に。2017年、大ヒットドラマ「秘密の森」で父親の冤罪を晴らそうとする新米検事を好演。次いで、初主演を務めた「黄金の私の人生」が最高視聴率47.5%を記録し、一気に認知度が高まる。2020年、現代の俺様シェフの魂が朝鮮時代の王妃の体に入ってしまう「哲仁王后（チョルインワンフ） ～俺がクイーン!?～」では時代劇に初挑戦。「愛の不時着」でブレイクしたキム・ジョンヒョンを相手に、超ガサツな王妃を演じて人気が爆上がりし、第57回百想芸術大賞のテレビ部門・女性最優秀演技賞を受賞した。アン・ボヒョンと共演、前世の記憶を持ったまま、何度も生まれかわるヒロインと初恋の女性を思い続ける男性とのラブストーリー「生まれ変わってもよろしく」（Netflix配信作）では、観る者の心を揺さぶった。
親しみあるキャラクターを演じてきたことから、“国民の娘”とも呼ばれるシン・ヘソン。そんな彼女が本作で演じるのは子供の頃から超負けず嫌いで、早く大人になって島を出るという夢を叶え、フォトグラファーとして成功したサムダル。だが、思わぬ事件の当事者になり、全てを失って島に逃げ隠れるようにして戻ってくるという役どころ。負けず嫌いだけに、島の人々には会いたくない。なかでも、ヨンピルや幼なじみたちには姿を見られたくない。シン・ヘソンはそんなサムダルの気の強さともろさを絶妙に体現している。しかも、華奢な身体で劇中の回想シーンでは、制服を着て可愛い女子高生姿までさらりと演じているのがまた凄いっ！
ドラマはこんな2人が演じるヨンピルとサムダルの今と、彼らの歴史を振り返りつつ、元恋人同士がどんなロマンスを紡いでいくかが見どころになっている。
強烈な家族＆わちゃわちゃした幼なじみたちも見逃せない！
主人公たちを取り巻く顔ぶれも個性的で、演じるキャスト陣は芸達者が揃っている。ヨンピルら三姉妹の母親で済州島に暮らし、サムダルリの海女たちを率いる会長、コ・ミジャ役にキム・ミギョン。「サイコだけど、大丈夫」など数々の作品で知られるベテラン女優の彼女が都会で傷ついて帰ってきた娘を叱咤激励する母親を好演する。そして父親役チョ・パンシクにはソ・ヒョンチョル。「気象庁の人々」や「ファースト・レスポンダーズ 緊急出動チーム」などに出演している彼が三姉妹の父で、済州島のバス運転手という役どころ。気の強い女ばかりの家族の中で、気の優しい家長を演じる。
サムダルと済州島に帰郷した三姉妹の長姉チョ・ジンダルを演じるのは、「青春の記録」「ヒョンジェは美しい ～ボクが結婚する理由（わけ）～」などで存在感を残してきたシン・ドンミ。財閥2世と結婚するも離婚してサムダルら妹たちとソウルで暮らしていたが、サムダルと共に済州島に帰郷する。さらにその財閥2世の元夫役が、「愛の不時着」の北朝鮮兵士役で人気を得たヤン・ギョンウォンだけに、この組み合わせは何かあるに違いない!? と期待値を上げてくれる。三姉妹の末っ子で、シングルマザーの未亡人チョ・ヘダルは、「美男堂の事件手帳」のカン・ミナが演じている。
さらに注目したいのは、故郷の仲間たち。母親が経営するコンビニでバイトしているギョンテに、「青春の記憶」「哲仁王后」など数々のドラマで主人公を支える名演を見せ人気のイ・ジェウォン、済州気象庁の観測官で、唯一の既婚者チャ・ウヌ（イケメン俳優と同姓同名というところでも笑いを取る）に、「最悪の悪」にも出演していたペ・ミョンジン、そして、ヨンピルに秘かな思いを抱き続けてきたサンドに、「100日の郎君様」「軍検事ドーベルマン」のカン・ヨンソクがふんしている。そのほか、ヨンピルの父親を映画『チング 永遠の絆』や「Sweet Home －俺と世界の絶望－」シーズン2のユ・オソンが演じているところも見ものだ。
舞台・済州島も注目！
自然豊かな舞台、済州島も本作の魅力の一つ。大ヒットした「私たちのブルース」をはじめ、近作「無人島のディーバ」にも登場するなど、青く美しい海に空、さわやかにそよぐ風が物語を彩る。幼なじみたちの母親たちが海女という設定で、海辺のシーンも満載だ。全16話、せわしない年末年始に、癒し効果抜群の韓流ドラマを楽しんではいかがだろうか。
