Netflixで2週連続世界1位!韓映画『バッドランド・ハンターズ』は何が面白い?
マ・ドンソクが主演とプロデュースを務めたNetflixオリジナル映画『バッドランド・ハンターズ』が大ヒット中だ。Netflixの週間グローバルトップ10映画・非英語部門では2週連続で第1位を獲得(1月22日~1月28日、1月29日~2月4日)。日本国内の「今日の映画TOP10」でも上位をキープし続けている。ファンから「こういうマ・ドンソクをずっと見ていたい」という声があがるほど、マ・ドンソクの魅力が爆発している本作の面白さをひもといてみたい。(文:大山くまお)
あらすじ
大地震によって崩壊し、無法の“荒野”(本作の原題でもある)と化してしまったソウルを舞台に、無敵のハンター・ナムサン(マ・ドンソク)の活躍を描く本作。
ハンターのナムサンと助手のジワン(イ・ジュニョン)は、親しくしていた少女スナ(ノ・ジョンウィ)が謎の組織にさらわれたことを知り、特殊部隊所属の女兵士ウノ(アン・ジヘ)と共に救出に向かう。たどり着いたのは、大地震で唯一無事だった巨大マンション。そこでは人体実験を繰り返す狂気の医者ヤン・ギス(イ・ヒジュン)が支配者として君臨しており、彼に薬物を投与されて怪物と化した兵士たちがナムサンたちを待ち受けていた。
※本作の「ハンター」とは賞金稼ぎなどではなく、動物を捕獲して肉を飢えた人たちに分け与える仕事のこと。
マ・ドンソクの魅力
『北斗の拳』や『マッドマックス2』の主役がマ・ドンソクになったところをイメージしてほしい。面白そうだと思う人なら、本作は十分堪能できるはずだ。『バイオハザード』の主役がマ・ドンソクになったところを想像してもいいだろう。
極太のボディを誇り、誰が相手でも(たとえ無機物でも)容赦なく鉄拳を叩き込むマ・ドンソクは、韓国映画のみならず世界的なアクション・アイコンになりつつある。『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)のゾンビと戦う強面の男役や『犯罪都市』(2017)のヤクザを1ミリも怖れない強面の刑事役などで人気が爆発し、『エターナルズ』(2021)でハリウッドにも進出した。アクションもコメディーもできて笑顔が愛嬌いっぱいだから、ついたあだ名は“マブリー”。
本作でもマ・ドンソクの剛腕ぶりは120%表現されている。次々と現れる敵をブン殴り、マチェーテで切り刻み、ショットガンで頭を吹き飛ばす。つまらないことでウジウジ悩まず、身内は助ける、邪魔者は排除する、という極めてシンプルな思想で行動するから爽快きわまりない。無愛想だが、なんだかんだと若い連中の面倒を見る、父親のような包容力もある。「膝が痛い」とボヤきながら銃を杖がわりにして階段を上る姿の愛らしさも見逃せない。
マ・ドンソクと監督の絆
脇を固める俳優たちも多様な顔ぶれが揃っている。ナムサンの助手を演じるイ・ジュニョンは、「マスクガール」(2023)でミソジニーまみれの極悪男性アイドルを演じて話題になった若手俳優(実際に元アイドルだった)。さらわれる少女スナを演じたノ・ジョンウィは子役時代から多数の映画・ドラマに出演してきた22歳にして芸歴14年のベテラン。
狂気の医師ヤン・ギス役のイ・ヒジュンは『KCIA 南山の部長たち』(2020)で大統領警護室長を演じた実力派(このときは25キロ増量していた)。特殊部隊の兵士を演じたアン・ジヘはほとんどのアクションを自分でこなしているという。キックのキレがいいが、ちょくちょくネックブリーカーを使っているところも見逃せない。
監督は初監督となるホ・ミョンヘン。武術監督として『犯罪都市』や『無双の鉄拳』(2018)などでマ・ドンソクとタッグを組んできた盟友である。本作はマ・ドンソク率いるビッグ・パンチ・ピクチャーズが制作しており、自らもプロデューサーを買って出ている。ホ・ミョンヘンのアクションに惚れ込んでいたマ・ドンソクは、演出家としてデビューするときは自分がひと肌脱ごうと考えていたのだという。『バッドランド・ハンターズ』は2人の絆が生んだ作品だと言えるだろう。
『コンクリート・ユートピア』との関係
本作の途中であっと驚いた人もいるかと思う。先月公開されたイ・ビョンホン、パク・ソジュン共演の映画『コンクリート・ユートピア』に登場した「皇宮(ファングン)アパート」が登場するからだ。「ああ、ここ知ってる!」となじみの場所がロケ地に選ばれたような錯覚に襲われるかもしれない。巨大地震で世界が崩壊したという設定も同じ。実は、本作は『コンクリート・ユートピア』の続編にあたる。
どちらもウェブトゥーン「愉快ないじめ(原題)」を原作としており、時系列としては『コンクリート・ユートピア』が先で、その数年後を描いたのが『バッドランド・ハンターズ』にあたる。ほかにソン・ユビン主演のテレビシリーズ「愉快ないじめ」、イ・ジェイン主演の『コンクリート・マーケット』が撮影に入っていると報じられている(いずれも放送・公開時期は未定)。
とはいえ、本作は単体でも十分楽しめる。マ・ドンソクにすべて身を委ねればいい。身勝手な理由で子どもたちを搾取しようとする大人たちを鉄拳制裁してくれるマ・ドンソクは、やっぱり世界のヒーローだ。
Netflix 映画『バッドランド・ハンターズ』独占配信中