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「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」第5話:何かがおかしい…異教集団ホラーx謎解きの異色作

今週のウォーキング・デッド

 海外ドラマ「ウォーキング・デッド」1話完結型のスピンオフシリーズ「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」。第5話「デヴォン」は本シリーズとのリンクを盛り込みながらも、かなりの異色ストーリーに仕上がっていた!(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」第5話をまだ観ていない方はご注意ください。

この集落、何かがおかしい…村人に追われる主人公

 今回の主人公は、頭部を強打した影響で、記憶を断片的にしか思い出せない男・デヴォン。村人たちに殺人者として追われているが、一体彼の身に何が起きたのか。その真相が少しずつ明らかになっていく謎解きミステリー仕立てのストーリーが展開する。

 デヴォンが救助された村は、かつてはフランスの植民地で、今も英語と一緒にフランス語が話され、人々が境界線の外に出ていかない閉鎖的な集落。人々は懐中電灯ではなく、松明を持ち、服装も行動も現代社会とは少し様子が違う。この状況は、ロビン・ハーディ監督のカルト映画『ウィッカーマン』(1973)を筆頭に、近年ではアリ・アスター監督の映画『ミッドサマー』(2019)、ジュード・ロウ主演のドラマ「サード・デイ 祝祭の孤島」(2020)などでも描かれた、社会から隔絶された閉鎖集団が異文化に沿って行動する恐怖を描くホラー作品の系譜。今回のエピソードは、謎解きミステリーに異教集団ホラーを掛け合わせた、かなりの異色作になっている。

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 主人公・デヴォンを演じたのは、異色のスーパーヒーロードラマ「ザ・ボーイズ」のAトレイン役や、映画『SMILE/スマイル』(2022)などで知られるジェシー・T・アッシャー。アマンダ役のエンベス・デイヴィッツは、『キャプテン・スーパーマーケット』(1993)、『アンドリューNDR114』(1999)、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(2012~2014)のメアリー・パーカー役でもおなじみ。直近では、M・ナイト・シャマラン監督の『オールド』(2021)にも出演している。

タラが見つけたカードが!本家シリーズとのつながり

 今回のエピソードには、「ウォーキング・デッド」本シリーズとのリンクがある。かなり前のシーズン7第6話「浜辺の村」に登場したアイテムが出てくるのだ。それは、「PPP」と書かれたキーカード。物資調達に出かけたタラ(アラナ・マスターソン)とヒース(コーリー・ホーキンス)は、ウォーカーの群に襲われて離れ離れになり、タラは後から最後にヒースを見た場所に戻るが、ヒースの姿はなく、自動車のタイヤの跡とこのカードが残されていた。

 同シーンについては、ファンの間でさまざまな仮説が生まれたが、全米放送から2年後の2018年に「ウォーキング・デッド」のショウランナー、アンジェラ・カンが、この番組の舞台裏トーク番組「トーキング・デッド」にて、ヒースはCRM(Civic Republic Military/市民共同体軍)に連れていかれたもので、キーカードはCRMのものだと認めている。

 今回のエピソードでは、村人に救助されて目覚めたダヴォンが、自分のブーツはどこかと聞くと「靴はダメになったけど。これが」と言って渡されるのが、写真とその下に重ねられた「PPP」のキーカード。ということは、ダヴォンはかつてCRMで働いていたのではないだろうか。彼が、かつては人を殺したがもう殺さないと話すのも、元CRMらしい発言だ。こんなところに、サラリとかなり前のアイテムを出してくるとは、このエピソード、なかなか芸が細かい。

 スタッフを見るとさらに納得がいく。監督と脚本は、第3話「ディー」で、囁く者のリーダー・アルファの過去を描いたマイケル・E・サトラゼミス(監督)チャニング・パウエル(脚本)。2人とも「ウォーキング・デッド」にはシーズン4から参加しているベテランで、サトラゼミス監督は「PPP」カードが登場したシーズン7第6話「浜辺の村」も監督していた。本シリーズとのリンクは、彼のアイデアなのかもしれない。

 また、「ウォーキング・デッド」全体のチーフ・クリエイティブ・オフィサーで、リックとミショーンのスピンオフ「ウォーキング・デッド:ワンズ・フー・リブ」のクリエイターを務めるスコット・M・ギンプルも、つい先日 comicbook.com のインタビューでこのカードについて聞かれ、気になる発言をしている。ギンプルによれば、このカードはCRM全体についての神話の一部なので、今後、このカードについて描かれることがあるかもしれないとのこと。ただし、すぐにではなく、その時期が来たら描くようだ。「ウォーキング・デッド:ワンズ・フー・リブ」にはCRMが登場するが、このカードは出てくるのかどうか、そこにも注目したい。

 さて、毎回タイプの違うストーリーで楽しませてくれるこのシリーズも、あと1話で終了。ラストは、どんな意外性たっぷりの物語が待っているのか楽しみだ。

「テイルズ・オブ・ザ・ウォーキング・デッド」はU-NEXTで独占配信中

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