韓ドラ「涙の女王」何が面白い?話題のこじらせ夫婦ラブコメに注目!
3月9日からNetflixで配信がスタートした韓国ドラマ「涙の女王」。話題作がひしめく中、「日本の週間トップ10」(テレビ部門)で2週連続1位を記録、週間グローバルトップ10(テレビ・非英語部門)にも3週連続でランクインし、配信が進むに従い、人気もヒートアップと、一大ブームを巻き起こしそうな勢いを見せている。何が、注目を集めているのか? その魅力や見どころについて考えてみよう。(文・前田かおり)※本文には一部内容に触れる部分があります。
「涙の女王」とは?
地元の名士の息子で頭脳明晰な弁護士と、財閥3世の令嬢という夫婦が結婚3年目にして見舞われた思わぬ危機と、それを機に再び始まる2人の恋を描くラブストーリー。「ある日~真実のベール」以来、3年ぶりのドラマ主演となるキム・スヒョンと、「愛の不時着」の脚本家として知られ、スヒョンとは「プロデューサー」「星から来たあなた」に続いて3度目のタッグとなるパク・ジウンの新作ドラマとあって、配信前から大注目の本作。ヒロインが「私の解放日誌」のキム・ジウォンということでも前評判が高かった。
また、脇を固める顔ぶれも豪華。「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」の悪役で知名度を上げたパク・ソンフンが恋敵役で登場するほか、「ヴィンチェンツォ」で財閥のダメ息子を好演したクァク・ドンヨンが本作でも再び愛すべきダメ弟を爆演。さらに、サプライズ出演もあるなど遊び心もたっぷり。演出は「ヴィンチェンツォ」や「シスターズ」などのキム・ヒウォンと、「アントラージュ」などのチャン・ヨンウが共同で務める。
あらすじは?
財閥クィーンズグループの3代目で、クィーンズデパートの社長ホン・ヘイン(キム・ジウォン)と結婚した、ソウル大学法学部出身の頭脳明晰な弁護士ペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)。財閥令嬢と平凡な社員のカップルは“世紀の結婚”と呼ばれ、財閥家の婿になりグループの法務理事の座に就いたヒョヌは、周りからは勝ち組と見られていたが、結婚して3年、執事のように扱き使われ、冷淡で自己中なヘインとの生活にうんざりしていた。ある夜、意を決して離婚を切り出そうとしたヒョヌは、先にヘインから余命3か月と告白されてしまう……。
離婚したくてたまらなかったヒョヌは、もはや憎しみしかなかった妻のまさかの余命宣告で、あわよくば遺産相続をと考えて方針転換。彼女を気遣う優しい夫のフリをしようとする行動をヘインがいい方向へと勘違いしていく。だが、ヒョヌも、ヘインの学生時代の元彼で、M&Aの専門家&投資家のユン・ウンソン(パク・ソンフン)が現れたことで、予期せぬ嫉妬心を掻き立てられる。こじれた夫婦の愛が再燃する一方で、ウンソンの狙いは財閥グループを奪うことだったことも明らかになっていき……。
“ラブコメキング”の名にふさわしい、キム・スヒョンの演技にハマる
「ある日~真実のベール」が、一夜にして殺人事件の容疑者になってしまった大学生を主人公に描いたシリアスなミステリーだったキム・スヒョン。3年ぶりのドラマ主演となる本作では、“ラブコメキング”の名にふさわしい彼の甘い魅力がさく裂する。
スヒョン演じるヒョヌは、デパート業界の女王と言われる妻ヘインにこき使われ振り回されてばかり。だが、実は頭脳明晰でスポーツ万能なデキる奴。愛がすっかり冷めてしまった今、ヘインはヒョヌが情けない男に成り下がっていると決めつけていたが、次々と遭遇するピンチから見事に救ってくれる姿に惚れ直していく。一見、ぼくとつとしていて、頼りなさそうにも見えても、いざという時はやる。そんなギャップあるキャラクターにスヒョンはハマる。
また、どこか少年っぽいのに、脱ぐとマッチョな姿がなんとも男っぽい。そこもスヒョンの魅力。本作でも彼の裸にヘインが焦るシーンや、優しく抱き寄せるシーンなどで釘付けにする。彼のラブコメを待ち望んでいたファンにはたまらないだろう。
加えて、泣きの演技に定評があるスヒョンならではの見せ場も満載の本作。序盤は大泣きシーンで笑いを誘うが、切ない展開では難病に苦悩するヘインの思いに寄り添い、温かな一筋の涙を流すシーンも。ドラマが進むに連れてさまざまな思惑に阻まれていきそうだが、2人の愛の行方はどうなるのか。スヒョンの泣きの演技に魅了されながら、毎回キュンキュンさせられそうだ。
心を閉ざしたヒロインを凛として演じるキム・ジウォン
冷淡で頭の中にあるのは自分の百貨店の業績だけというヘイン。演じているキム・ジウォンは、パク・ソジュンと共演したラブコメ「サム、マイウェイ ~恋の一発逆転!~」や「アスダル年代記」、「私の解放日誌」などで知られる女優。傲慢で強気なヒロインのヘインが、治療法もわからない難病にかかり死期が迫ったことで、思いがけず夫への愛情が再燃し、ときめきを思い出していく。
一方で、子供の頃に兄を亡くしたことで母と不仲になっていたり、ヒョヌとの間には流産の過去があるなど、物語が進むに連れて、彼女が心を閉ざし、家族の中でも疎外されている理由も見えてくる。数々の問題を抱えながら、誰にも弱音を吐けなかったヘイン。ヒョヌとの愛を取り戻していくなかで、女性として人間として変わっていく彼女を、ジウォンがどう演じて行くのかも注目したい。
そして、ヘインといえば、もう一つ。セレブ中のセレブ妻であるヘインだけに、ディオールにブルガリ、アレキサンダー・マックィーンなどのコスチュームやアクセサリーといった、彼女が身にまとうハイブランドファッションにも注目だ。
遊び心満載の演出と脇を固める人気韓ドラ常連俳優たち
第1話で描かれる主人公たちの結婚式は「愛の不時着」から誕生した世紀のカップル、ヒョンビン&ソン・イェジンが挙式した、グランドウォーカーヒルソウルホテルのアストンハウスがロケ地。ヒョンビンたちにオマージュを捧げているのをはじめ、本作では韓ドラファンが思わず嬉しくなるような演出が多数登場する。
たとえば、ヒョヌの実家のあるヨンドゥリ村の住人で、ヒョヌの父の友達ヨンソン役には、「愛の不時着」で“耳野郎”ことチョン・マンボクを演じたキム・ヨンミンが登場。ヘインの母ソンファが自宅で「愛の不時着」をテレビで見ているシーンも登場する。また、「愛の不時着」と「ヴィンチェンツォ」に出演していたイム・チョルスとコ・ギュピルが、ヒョヌのゴシップ対策の見張り役で登場しており、凸凹コンビの2人の様子が笑いを誘う。
さらに、「サイコだけど、大丈夫」でスヒョンの兄を演じるオ・ジョンセが、ヒョヌのカウンセラーを務める精神科医役で登場。ジウォンと「太陽の末裔 Love Under The Sun 」「アスダル年代記」で共演しているソン・ジュンギも、「ヴィンチェンツォ」つながりでカメオ出演が予定されており、どんな役で登場するのか楽しみだ。
そのほか、脇役には新旧のベテラン俳優たちが多数。中でも注目は、ホン家の執事グレイス・コ役のキム・ジュリョン。「イカゲーム」であくどいプレーヤーを演じていた彼女が、本作でも狡猾なキャラクターを怪演。また、ヒョヌの姉で美容院を営むミソンに、スーパーモデルから女優に転身し、「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」でナイロビを熱演したチャン・ユンジュがふんしている。
物語も中盤に入り波乱の予感の今週末。タイトルの「涙の女王」とはヘインのことなのか。ちりばめている伏線がどう回収されていくのか……今後の展開に注目していきたい。