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「デススト」小島秀夫監督、またも人生一変!“神”の最新作『マッドマックス:フュリオサ』を激賞!

 「メタルギア」「DEATH STRANDING」など、世界的大ヒットゲームの数々で熱狂的な支持を集めるゲームクリエイター・小島秀夫監督が「人生が変わった」と公言する『マッドマックス』シリーズ最新作マッドマックス:フュリオサ(5月31日全国公開)がついに公開される。

 待望の新作に「“マッドマックス”に上がった期待を超えてきた」「ガソリンを注入してもらった」と称賛がやまない小島監督が、自身の最新作「DEATH STRANDING 2」でタッグを組む、“神様”ジョージ・ミラー監督への思いと共にその魅力を激白。その言葉から、偉大なる監督の創作の秘密や小島作品に与えた影響も見えてきた。

『マッドマックス』の魅力全部乗せ!

 メジャースタジオ製作のエンタメ大作ながら、アート作品としても高く評価され、米アカデミー賞最多6部門で受賞した伝説の映画マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)では、荒野の支配者イモータン・ジョーに囚われた5人のワイブス(妻たち)を助けるため、決死の逃避行を繰り広げた義手の戦士・フュリオサ。

 最新作となる『マッドマックス:フュリオサ』では、そのフュリオサの復讐の物語が明かされる。

Q:待望の最新作だったと思いますが、小島監督は本作をどのように受け止められましたか?

評判が良いという噂は聞いていたので、まさに期待値“マッドマックス”(笑)な状態で観たんですが、それを超えてきましたね! 少し変に聞こえるかもしれませんが、安心しました。というのも、ミラー監督は現在79歳ですが、僕ももう60歳なんです。なので映画が傑作でも、自分にあの頃のようなアドレナリンを出せるのか……という不安があったんですけど、見事に裏切られて、また気力をもらいました。“フューリー・ロード”(『怒りのデス・ロード』)とは全く違うトーンで、前作を超えてきましたね。一言で言うと「“MAD(狂気)“を軽々と超え、”FURY(怒り)“をも超えた本作”FURIOSA“は、”MAX”(最高傑作)“だ!」という気分です。

Q:小島監督が一番ささったポイントはどこにありましたか?

今のエンタメ映画って、マルチバースものが主流ですよね。ヒーロー映画なんかもそこに逃げてしまいがちですが、『フィリオサ』はプリクエル(前日譚)として、ほぼ前作と同じキャラクターが登場して、ちゃんと整合性を取りつつ、全く新しい作品を生み出した点ですね。そもそも前日譚って、観客がその先に何が起こるか知っているので、前作を超えるのが難しいんです。ジョージさんはそこを超えてきたので、映画業界の人たちは衝撃を受けるんじゃないですかね。それでいて『マッドマックス』のいいとこ取りというか、僕的には最高の総集編ではないかなというくらい、ぜいたくな映画にもなっている。

まず、今回は故郷から連れ去られたフュリオサの復讐劇じゃないですか。これって『マッドマックス』のパート1なんですよね。バイカー集団も登場しますが、今回の(バイカー集団を率いる)ディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)なんて、完全に(2の悪役)ヒューマンガスですよね。僕は『マッドマックス2』の暴走族が大好きなんです。革ジャン着て、ちょっと人の好さそうな奴が混じってたりする感じが最高ですからね(笑)。

そういう意味で、キャラクターの衣装も一番好きでしたね。ちょうど『怒りのデス・ロード』と『マッドマックス2』の中間というか。少しだけ文明が残っている時代のコスチュームもめちゃくちゃカッコよかったです。

Q:シリーズファンが興奮する要素が随所に仕込まれているんですね。

『怒りのデス・ロード』でトム・ハーディ演じるマックスが埋もれた砂から出てくるカットをフュリオサでやっていたり、あらゆるショットに『マッドマックス』シリーズを重ねている感じがして最高でしたね。意図的なのかはわかりませんが、ファンなら、おお! となるカットが満載で、一本で3度ぐらい美味しい。誰が観てもわかりやすいプロットに仕掛けが山盛りで、単なるプリクエルではなかったですね。

しかもラストには、1でノコギリを渡す(※)以上の、究極の復讐の形であり、同時にバイオレンスを超えた哲学的な決着が用意されている。この先を作るつもりがないのではと思ってしまうくらい、ジョージさんの全力を感じました。観ていてちょっと不安になるくらいでした(笑)。

※『マッドマックス』(1979年)1作目は暴走族に妻子を殺された警官マックスの復讐の物語。爆発寸前の車に、一味の一人の足首を手錠でつないだマックスが、ノコギリを渡すラスト(自分の足を切って逃げろという意味)は伝説。

小島監督も絶賛!スピンオフ希望のキャラとは?

マッドマックス 怒りのデス・ロード』フュリオサ役のシャーリーズ・セロンと『マッドマックス:フュリオサ』で若きフュリオサを演じたアニャ・テイラー・ジョイ

Q:本作の主人公・フュリオサについて、小島監督はどう感じました?

義手に坊主頭で、エンジンオイルでおでこを真っ黒に塗ってるビジュアルも最高で、ものすごく影響を受けました。もともと『怒りのデス・ロード』もメインはフュリオサの物語でしたよね。あの映画は、女性の解放の映画でしたけど、自分の復讐の物語である『フュリオサ』の後に、他の女性を助ける『怒りのデス・ロード』につながるというのがいいんですよ。ここも『マッドマックス』シリーズを思わせるんです。1作目でマックスは殺された奥さんと子供の復讐を遂げて、2作目『マッドマックス2』(1981年)では犬とさまよっていて、最初こそ断るけど、最終的には人を助けようとしますからね。

Q:フュリオサ役を引き継いだアニャ・テイラー・ジョイはいかがでしたか?

目力もあって、おでこに黒いエンジンオイルを塗って似合うのはシャーリーズ・セロンしかいないと僕は思ってたんですけど。似合うじゃないか! と(笑)。ちょっと線が細いかなと思っていたんですけど、実際に観たらそれもあんまり気にならなくて、敵とばんばん殴り合っているシーンも最高でしたね。

Q:ディメンタス将軍もインパクトがありました。

(ディメンタス将軍役の)クリスはすごかったですね! どれだけ悪行を働く役を演じても、クリスだから痛くも痒くもないんですよ。「メタルギア」でいえばリキッド(・スネーク)みたいな、愛されるキャラクターになると思います。クリスは、この作品の後だともう(マーベル映画の)ソーには戻れないんじゃないですか(笑)。ズーズー弁みたいなセリフ回しも最高でしたね。

「愛されるキャラクターになる」と断言するディメンタス将軍

Q:そのほかにも印象に残ったキャラクターはいますか?

フュリオサのお母さん、めちゃくちゃカッコよかったですね。ジョージさんにはぜひ、彼女のスピンオフを作ってほしいです。それと(フュリオサのメンターとなる)プレトリアン・ジャック。彼はあの世紀末世界にいるのは珍しいくらい良いやつでしたね(笑)。フュリオサと親密になって、おでこをくっつけ合うでしょ。普通の映画だと、ああいう二人きりのシーンになると「俺には昔こんなことがあって……」とか語り出してしまうけど、ジョージさんはそんなことしません。

それに感染症の恐れがある世界では、キスで親愛の情を表したりしないですよ。僕も「DEATH STRANDING」なんかでやっていますが、ジョージさんは元医学生ですから、ああいう説得力のある描写ができるんです。

Q:シリーズ全般で言えることですが、ビジュアルや映像だけでキャラクターの魅力が十分に伝わってきます。

余計なセリフがなくて、衣装やちょっとした仕草とか、それだけで魅力が十分に伝わってくる。あれも普通の監督にはできません。『マッドマックス』のキャラクターなんて、名前(フルネーム)すらないでしょ? みんなあだ名みたいなもんじゃないですか。それでもキャラの魅力がしっかり伝わってくる。僕もそういうやり方をジョージさんに教わったので、自分のゲームでもやろうとしているんですが、それには一個一個、しっかりとしたアイデアを考えなくてはいけないので、やろうとしてもできないんですよ。

普通なら死んでる!まさに神なアクション

ウォー・タンクの壮絶なチェイスシーンにも注目!

Q:『怒りのデス・ロード』に匹敵するようなカーチェイスも登場します。

チェイスシーンは『駅馬車』(1939)が元ネタですけど、『マッドマックス』の場合は、それが車(ウォー・タンク)になりますよね。ここも、地面スレスレの車体下の戦いから、ガスタンクの上へ場面が移ったりと、戦いの場がどんどん変わって行くので全く飽きない。あれを何にも考えずに撮って、編集だけで成立させようとしても無理なんですよ。360度で戦闘してますから、位置関係がわからなくなってしまうし、数十秒に1個は(アクションの)アイデアがないと、間が持たないんです。

しかもそれを出し惜しみしませんからね。今回もグライダーみたいな装置で空を飛ぶ敵が出てきますが、ブワーっといきなりカメラに入ってくる。普通なら、その前に敵が陣地で実験するシーンなんかを入れますけど、ジョージさんはああいうアイデアをいきなりワンカットで出してくるんです。そういった工夫も、本人と奥さん(マーガレット・シクセル)の編集と、スタントマンの尽力があってこそでしょうね。並みの監督ではあんな風に撮れないし、普通は絶対に誰か死んでます(笑)

Q:小島監督でも撮るのは無理ですか?

そもそも砂漠でカーチェイスを撮るって、1番キツいでしょ。そこらに火薬を仕掛けて爆発させて。僕なんか、60歳でスタジオ撮影しててもキツイですからね。自分で映画を撮るなら、雪山ロケとか絶対やめとこって思ってます。もうね、山、砂漠、海関係は絶対にやったらダメだと。それをジョージさんは79歳でやっていて、もうどうなっているのかと(笑)。

Q:マッドな描写やアクションが満載ですが、ふと差し込まれる哲学的なセリフなど、ミラー監督のワードセンスにも惹かれます。

バイオレンスを撮っているけど、ミラー監督の背景はそこにはないんですよね。もっと哲学的で、アート寄りの考えを持っている人ですから。人によっては、なんか車に乗ってガチャガチャしてるだけやんけ! とか言う人もいますけど、実際に観たら、ちょっと違うと思ってもらえると思います。言えないですけど、やっぱりあのラストはすごいですよ。あそこに到達できる人はジョージ・ミラー監督だけだと思います。やっぱり“神”です。

『マッドマックス』が人生を変えた

ジョージさんは、僕の人生を何度も変えてくれた人です

Q:小島監督は以前から『マッドマックス』で“人生が変わった”と公言されています。

16歳の時に、メル・ギブソン主演の1作目『マッドマックス』(1979)を観たのが初めての出会いです。一緒に観に行ってくれる友達がいなくて一人で観たんですが、そこで人生が変わりました。『マッドマックス2』(1989)が公開された時は受験シーズンで、やっぱり友達みんなに映画なんか行けないって言われて(笑)。親にも映画館に行くなんて言ったら怒られるので、内緒で一人で観に行って衝撃を受けて、今でも年に2回は必ず観るくらい、一番好きな映画ですね。

Q:『マッドマックス』がなければ、今の小島監督はなかったかもしれないわけですね。

そうですね。『怒りのデス・ロード』が公開された時は、ちょうど僕も人生の転機を迎えていて、かなりテンションが低い時期だったんです。そんな時に観たので、まさにガソリンを注入してもらったというか。フュリオサが背中を刺されて叫びながらも進む姿に「俺も頑張ろう!」となって、あのころは、そのシーンの音楽を聞きながら乗り切っていました。ジョージさんは、僕の人生を何度も変えてくれた人です。

Q:『怒りのデス・ロード』で来日したミラー監督と初対面されてから、現在は「DEATH STRANDING 2」にミラー監督が出演されるほど交流が生まれました。

ご本人はものすごいインテリでジェントルマンなので、どこからあんなアイデアが出てくるのか、本当に不思議ですね。頭の回転もめちゃくちゃ早くて、言葉で伝えなくてもこちらの意図をわかってくれる。「DEATH STRANDING 2」のトレーラーを見せた時も、一回観ただけで、こちらの狙い通りの感想をくれたんです。「あぁ、この人はわかっているんだ」って、ものすごく感動しましたね。

Q:お話をうかがっていると、小島監督とミラー監督には近いものを感じてしまいますが、そんなミラー監督が、79歳で『フュリオサ』を撮ったことは勇気づけられたのでは?

本当に希望をもらっています。さっきも言いましたが、自分が60歳になったことがけっこうショックだったんですよ。僕、今シニア料金で映画館に入れますから(笑)。ずっと若いつもりで、寿命なんて考えたこともなかったけど、コロナがあって周りの人もたくさん亡くなって、僕自身も少し病気をしたので『人間って死ぬんだ』ってことを意識しだしたんです。実際のところ(ものづくりができるのも)、頑張って10年くらいじゃないですか。映画も作りたいですけど、今撮ったら会社が潰れるので、どうしようかって(ギレルモ・)デル・トロに相談したりして(笑)。でも『フュリオサ』を観たら、まだまだだ! まだ頑張れる! ってなりました。

もちろん80代や90代でも映画を撮っている人はいます。けど、どうしてもいろいろと落ちていくじゃないですか。けどジョージさんは、規模もバジェットも興行収入も上がっていってますからね。いくら経験があるといったって、普通はそんな人いませんよ(笑)。 ただでさえものづくりって、ものすごくエネルギーを消費するのに、それを僕らにも分けてくれるっていう。もう本当に心臓が8つぐらいあるんじゃないですか(笑)。あの人こそV8ですよ!

 世界的ゲームクリエイターとして知らぬ者のない小島監督だが、『マッドマックス』の魅力を熱弁する姿は、かつての映画青年そのままという印象。自身が語るように、『マッドマックス:フュリオサ』から大量のガソリンをもらったようで、創作への情熱がチャージできた様子。本作が、娯楽に満ちたエンタメ大作でありながら、人生に大切なものを与えてくれる一本であることが伝わってくる。新旧のファンを問わず、全ての観客にとって、忘れがたい映画体験を約束する、マッドな映画であることは間違いない。(編集部・入倉功一/写真・高野広美)

映画『マッドマックス:フュリオサ』は5月31日より全国公開

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【初回限定生産】マッドマックス 怒りのデス・ロード コレクターズ・エディション <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(3枚組/豪華封入特典付)
5月24日発売 8,580円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
(C)2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

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