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韓国ドラマ「ヒーローではないけれど」は何が面白い?NetflixでTOP10入りの話題作

ヒーローではないけれど
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」は独占配信中

 5月5日からNetflixで配信がスタートし、「日本の週間トップ10」(テレビ部門)にランクインし続ける注目の韓国ドラマ「ヒーローではないけれど」。全12話のリミテッドシリーズとあり、早くも物語は佳境に突入し、面白さも右肩上がりの本作の見どころを紹介する。(文・前田かおり)※本文には一部内容に触れる部分があります。

「ヒーローではないけれど」とは?

 うつ病や不眠症など現代人にありがちな病にかかり、代々受け継いできた超能力を失った一家の前に、謎めいた女性が現れたことから思いも寄らぬ出来事が起きていくファンタジーロマンス。韓国ドラマで超能力を持った家族といえば、昨年、世界中を沸かせ、先ごろ発表された百想芸術大賞で大賞をはじめ3冠受賞した「ムービング」が記憶に新しいが、本作は一風変わった超能力ヒーローものに、ラブストーリーが加わっている。

 「九尾の狐とキケンな同居」や「今、別れの途中です」などで注目されたチャン・ギヨンが、除隊後初のドラマ復帰作として主演を務め、映画『サニー 永遠の仲間たち』や韓国版『スマホを落としただけなのに』、また現在Netflixで配信中の「The 8 Show ~極限のマネーショー~」でも大活躍のチョン・ウヒがヒロインを担う。演出を、韓国で社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ「SKYキャッスル ~上流階級の妻たち~」のチョ・ヒョンタク、脚本を「おかえり ~ただいまのキスは屋根の上で!?~」のチュ・ファミ。さらに、「浪漫ドクター キム・サブ」「京城クリーチャー」などの人気作の脚本家として知られるカン・ウンギョンがクリエイターとして参加している。

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あらすじは?

ヒーローではないけれど
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」は独占配信中

 家族それぞれが超能力を持つポク一家。だが、過去に戻る力を持っていた長男のギジュ(チャン・ギヨン)はある事故をきっかけにうつ病になり、能力も喪失して酒浸りに。予知夢を見ることができた母のマヌム(コ・ドゥシム)はその能力で株投資や宝くじを買い、財産を築いてきたが、不眠症になり、能力を発揮できず。長女でギジュの姉ドンヒ(スヒョン)は飛行能力を持っていたが、過食症で肥満になり飛べない。スマホ依存症のせいでド近眼のギジュの娘イナ(パク・ソイー)は、能力が遺伝するはずだが中学生になってもその力が現れない。そんなある日、一家で出かけた海で溺れたギジュを1人の女性が救う。後日、エステサロンで働くその女性、ト・ダヘ(チョン・ウヒ)と再会したマヌムは彼女を気に入り、一家とダヘは奇妙な同居生活を始めることになる。

 だが、天涯孤独と言うダヘは、“王宮サウナ”の看板を掲げるサウナの女主人イルホン(キム・クムスン)を母と呼び、怪しげな男女と共に暮らしていた。彼らの正体は詐欺師。ダヘは亡き父の借金返済のために彼らの家族になり、これまで2度結婚しては計画的な離婚で夫たちから慰謝料をせしめていた。ポク一家に近づいたのも、ギジュと結婚して資産を騙し取るのが目的だったが、ギジュをはじめとするポク家の人々はダヘと出会って以来、それぞれ超能力を取り戻し始めていて……。

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3年ぶりのドラマ復帰で魅せるチャン・ギヨン

 本作が、兵役除隊後、3年ぶりの復帰作になった主演のチャン・ギヨン。1992年生まれの彼は、2012年にモデルデビューを果たし、ファッションモデルとして活躍しながら俳優に転身。「ゴー・バック夫婦」のクールな学生役で注目され、「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」ではIU演じるヒロインを脅す借金取りというダーティな役どころながら高い演技力が買われ、初主演ドラマ「ここに来て抱きしめて」では百想芸術大賞男性新人賞を受賞した。以後、「恋愛ワードを入力してください ~Search WWW~」、ソン・ヘギョと共演した「今、別れの途中です」などのラブストーリー作品でファンの心をつかんできた。

ヒーローではないけれど
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」は独占配信中

 そんな彼が演じるのは、「幸せな時間に戻ることができる」という能力を持っていたポク・ギジュ。消防士だったが、娘のイナが産まれた日に起きた不運な事故にこだわり過ぎてうつ病を発症。妻も亡くし、超能力も失って自暴自棄になり、毎日酒浸りになったというキャラクターだ。序盤は「マイ・ディア・ミスター」でも見せたやさぐれっぷりを彷彿させ、ギジュを痛々しく演じているが、ダヘと会い、やがて彼女がいる過去に戻れることに気づいて以来、彼の止まっていた時間が動き出す。果たして、ダヘとの間にどんな因縁があるのかないのか……。過去と現在を行きつ戻りつしていく中で、2人の関係が紡がれていく。映像の色使いや音楽も相まったロマンチックな演出にも注目だ。

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千の顔を持つ演技派チョン・ウヒ

 一方、謎めいたストーリーに引き込むト・ダヘを演じるのはチョン・ウヒ。1987年生まれの彼女は、2004年クォン・サンウ主演の映画『恋する神父』でデビューし、『サニー 永遠の仲間たち』で注目される。実際に起きた女子中学生集団暴行事件『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』では心身共に深い傷を負った被害者役で主演し、青龍映画賞の主演女優賞を受賞。ジャンルを問わず、映画・ドラマで活躍し、毎回異なる演技を見せることから千の顔を持つとも言われている。全8話が一挙配信されたばかりのNetflixシリーズ「The 8 Show ~極限のマネーショー~」では、巨額の賞金を得るために8人の男女が繰り広げるショーに参加する1人として登場。セクシーなコスチュームの強烈なキャラクターは本作とは全く異なり、その演技力に驚かされる。

 もっとも本作でも、演じるダヘは一見、気配りができる心優しい女性のようでいて、その実、結婚詐欺師として人を簡単にたぶらかす。かと思えば、暗い過去を抱え、どこか人生を諦めてもいるようなところもあるなど、ダヘの複雑な内面を緩急巧みな演技で披露しており、まさに千の顔の見せどころ。187cmもの高身長のチャン・ギヨンに対して、華奢で小柄なウヒは対照的で、相乗効果も抜群だ。

ヒーローではないけれど
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」は独占配信中

 回を重ねていく中で、ダヘとの出会いに意味を感じたギジュが、境遇を知るにつれて運命の彼女を救わなければと奔走。一方、ダヘはギジュやポク家の人間たちが養母イルホンの悪辣な罠に引き込まれないようにと距離を置き、ひと波乱ふた波乱と起きていく。誰かを守りたいと思いながら誰も守れなかった男性 VS 誰かに守られたいと思いながら誰にも守られず愛に飢えてきた女性、2人のロマンスがどう紡がれていくのか、そして彼らがパーソナルな問題とどう向き合い、乗り越えていくのかが見どころだ。

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超能力一家 VS 詐欺師一族、脇キャラを演じるキャストも芸達者揃い

 超能力一家の長であり、母マヌムを演じるのは、“国民の母”とも呼ばれる大ベテランのコ・ドゥシム。「椿の花咲く頃」や「カーテンコール」「私たちのブルース」といった話題作の母親役などで感動の涙を誘ってきたが、今回は家族から超能力が失われたことに危機感を持ち、予知夢を見させてくれたダヘをギジュと結び付けようと画策する猛女を演じている。肥満のために飛べなくなったドンヒ役には、マーベル映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や「京城クリーチャー」などアクション作品で活躍するスヒョン。特殊メイクで作った巨体になっているが、果たして、終盤にはどんな変貌を遂げるのかも見ものだ。またギジュの娘イナ役には「シスターズ」や「生まれ変わってもよろしく」などで知られる名子役のパク・ソイー。さらに、彼女のクラスメイトのハン・ジュヌ役に、「無人島のディーバ」でヒロインの中学時代の同級生を演じたムン・ウジンが登場しているのも注目だ。クラスで誰からも相手にされないイナに声をかけるジュヌとの間に、淡い恋が芽生えるかも気になるところだ。

ヒーローではないけれど
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」は独占配信中

 誰もが飛びつくほどの人気スターが出演している作品ではないが、ツウ好みな演技巧者たちを集めた斬新なファンタジーロマンス。1話見たら、2話、3話と引き込まれてしまう没入感、そして散りばめられている伏線が終盤に向かってどうまとめられていくのか。全12話のリミテッドシリーズとあり、テンポも良く、一気に楽しむこともできそうだ。

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