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【完全ネタバレ】『デッドプール&ウルヴァリン』徹底解説 驚きのカメオ出演&サプライズ、もっと楽しくなるトリビア集

『デッドプール&ウルヴァリン』はサプライズ&小ネタの宝庫!

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作デッドプール&ウルヴァリンには、数え切れないほどのイースターエッグ(小ネタ)はもちろん、アッと驚くサプライズが山盛り! ここでは、知っていると映画がもっと楽しくなるネタの数々を紹介する。(文・平沢薫)

※本記事はネタバレを含みます。映画『デッドプール&ウルヴァリン』鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。

1:デッドプール&ウルヴァリンと共闘する驚きのヒーローたち

虚無で出会ったのはまさかの顔ぶれだった!

 デッドプール(ライアン・レイノルズ)とウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)が虚無(ヴォイド)と呼ばれる場所で出会うのは、旧20世紀フォックス製作のマーベル映画で活躍したヒーローや、映画化が検討されていた幻のヒーローたち。彼らを演じた俳優も驚きのメンバーばかりだ。

ヒューマン・トーチ

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フレイム・オン! - 画像は『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』でのクリス・エヴァンス - Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

 いまではキャプテン・アメリカとしておなじみのクリス・エヴァンスが、かつて『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005)と『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)で演じたファンタスティック・フォーの一員、ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチとしてMCUに帰ってきた。クリスは本作の出演について、「ライアンだからこそ受け入れた」と Entertainment Weekly に語っており、登場シーンは2~3日ほどで撮影したと明かしている。

エレクトラ

画像は『エレクトラ』でのジェニファー・ガーナー版エレクトラ - 20th Century-Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

 『デアデビル』(2003)やスピンオフ『エレクトラ』(2005)でジェニファー・ガーナーが演じた女性暗殺者エレクトラも復活を果たした。デアデビルの恋人だが、本作でデアデビルが死んだと聞いたデッドプールが「気の毒に」と言うと、彼女が「全然」と答えるのは、デッドプールのお得意な現実を踏まえたメタなギャグ。ジェニファーは『デアデビル』でデアデビルを演じたベン・アフレックと2005年に結婚し、子供を3人授かったが、2018年に離婚している(ちなみに、アフレックは2022年にジェニファー・ロペスと再婚した)。

ブレイド

映画『ブレイド3』でのウェズリー・スナイプス版ブレイド - New Line Cinema / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ヴァンパイアと人間の間に生まれたヴァンパイアハンター。演じたのは、『ブレイド』(1988)、『ブレイド2』(2002)、『ブレイド3』(2004)と同じくウェズリー・スナイプスだ。劇中、デッドプールとブレイドが初めて会った時に「またモメるのか」「モメるのはイヤだ」「前からだろ」という妙な会話を交わすのは、ライアンとウェズリーが『ブレイド3』で共演したことと、ウェズリーが『ブレイド3』で監督とモメたという噂があったことを踏まえたメタなギャグだろう。

 ちなみに『ブレイド3』は、ライアンが初めてマーベルコミックのキャラを演じた作品。同作でブレイドの仲間であるハンニバル・キングを演じたのは、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)や『グリーン・ランタン』(2011)より前なのだ。『ブレイド』シリーズは旧20世紀フォックス映画ではなく、ワーナー・ブラザース傘下のニュー・ライン・シネマ製作だが、本作に登場するのは、ライアン自身のマーベルでの歴史を踏まえたものだろう。

 また、ブレイドが「ブレイドは、過去も未来も俺だけだ」と宣言すると、デッドプールが一瞬、カメラの方を向いて何か言いたそうな顔をするのもメタなギャグ。MCUは、2019年にマハーシャラ・アリ主演の新たなブレイド映画の製作を発表したが、その後、監督が2人も降板し、現在も監督が未定なことを踏まえた際どい内容だ。

ローラ/X-23

画像は『LOGAN/ローガン』でのローラ - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ローラことX-23は、『LOGAN/ローガン』(2017)に登場した幼い少女のミュータント。当時11歳だったダフネ・キーンが、19歳になって同キャラクターを再演した。ローガン/ウルヴァリンの遺伝子により生み出され、同じ能力を持っている。彼女が戦闘の前にかけるサングラスは、『LOGAN/ローガン』で彼女がコンビニで買ったサングラスと同じものだ。

 ダフネは本作公開の直前まで、ドラマ「スター・ウォーズ:アコライト」(2024)で優秀なジェダイを演じていた。同作の取材で、メディアからローラ再演の可能性について何度も聞かれたダフネは、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にサプライズ登場したことを隠し続けたアンドリュー・ガーフィールドを参考に、嘘をつき続けていたと Entertainment Weekly で振り返っている。

ガンビット

企画お蔵入りから奇跡の復活!ガンビット役のチャニング・テイタム - Stuart Wilson / Getty Images

 最大のサプライズは、『マジック・マイク』シリーズのチャニング・テイタムが演じたガンビット。チャニングはかつて『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のガンビット役候補になっていたが実現せず、同作ではテイラー・キッチュが演じていた。2014年には、チャニング主演によるガンビットのスピンオフ映画企画が始動し、一時は『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のルパート・ワイアットが監督に就任していたが、監督は降板し、企画自体もお蔵入りになっていた。幻のヒーローが活躍する姿は、DC映画『ザ・フラッシュ』で、やはり実現しなかったニコラス・ケイジが演じるスーパーマンを見たときと同じような感動を与えてくれる。

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2:カサンドラ・ノヴァの手下たち

カサンドラ・ノヴァの手下も懐かしい顔ぶればかり

 本作のラスボス、カサンドラ・ノヴァ(エマ・コリン)の手下たちは、20世紀フォックス製作の『X-MEN』シリーズに登場した歴代ヴィランだ。

 炎を操るパイロ(アーロン・スタンフォードは、『X-MEN2』(2003)、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)に登場。ウルヴァリンの兄弟セイバートゥース(タイラー・メインは、『X-メン』(2000)に登場したバージョン。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)ではリーヴ・シュレイバーが演じた。このセイバートゥースは『X-メン』でウルヴァリンと戦って決着がつかなかったが、今回は決着が付く。

 他にも映画でおなじみのミュータントたちがズラリ。『X-メン』のトード、『X-MEN2』のレディ・デスストライク、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のサイロックカリストジャガーノート(『デッドプール2』ではCGIキャラで登場)、『X-MEN ファースト・ジェネレーション』(2011)のアザゼル、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のブロブの姿が見える。『X-MEN』シリーズ以外では『パニッシャー』(2004)の怪力男ザ・ロシアンがいる。

 また、カサンドラの基地には気になるアイテムも。まず、基地自体が巨大化したアントマンの遺体。デッドプールが「ポール・ラッドもついに老けたな」と言うのは、アントマンを演じたポール・ラッドが実年齢より若く見えることを踏まえたメタなギャグだ。この基地の内部には、サノスの王座や、彼女の兄弟チャールズ・エグゼビアの車椅子があり、彼女はドクター・ストレンジの指輪スリングリングを持っている。

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3:意外な出演者が隠れているデッドプール軍団

 終盤に登場するデッドプール軍団は、コミックが元ネタとなっている。レディプールや、デッドプール・キッドことカウボーイプールは、コミック「Deadpool: Merc with a Mouth」(2010)で初登場。それに続くコミック「Deadpool Corps」(2010)は多数のデッドプールが集合するストーリーで、ドッグプール、レディプール、キッドプール、ヘッドプールたちが登場する。

 これらのデッドプールたちは、ライアンの家族や友人が演じているのもポイント。顔が見えるナイスプールは映画オリジナルキャラで、演じるのはライアン自身。レディプール役は、ライアンの妻ブレイク・ライヴリー、キッドプール役は次女イネスちゃん、ベビープール役は長男オリンくんが演じた。首だけのヘッドプールは、ジェームズ・ガン監督が手がけたDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結』でT.D.K.を演じたネイサン・フィリオン。カウボーイプールは『ジェントルメン』のマシュー・マコノヒーが演じている。

4:驚きのゲストも!変異体ウルヴァリン

 デッドプールが他のタイムラインで出会う変異体ウルヴァリンも、コミックが元ネタ。黄色と青のコスチュームは、1980年代の初期コミックと同じ。身長が低いウルヴァリンは、コミックの設定を踏まえたもの。

 片腕の手首から先がない黒&赤のコスチューム姿のウルヴァリンは、コミック「X-Men: Alpha」(1995)のウェポン・オメガ。予告編にも登場した白いタキシードのウルヴァリン=パッチは、コミック「Wolverine: Patch」(2022)から。老いたウルヴァリンは、「Wolvaline Old Man Logan」(2009)のオールドマン・ローガン。頭蓋骨の山で十字架に架けられている情景は「Uncanny X-Men #251」(1989)の表紙にそっくり。ハルクと戦うのは「Incredible Hulk #181」(1974)など何度もあったが、実写化は初めて。ウルヴァリンの爪にハルクが映るという情景は、コミック「The Incredible Hulk #340」(1987)の表紙にそっくりだ。

スーパーマンからウルヴァリンに! - DC映画『マン・オブ・スティール』でのヘンリー・カヴィル - Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 また、ここにもビックリなカメオ出演があった。デッドプールが「ヘンリー・カヴィル!」と呼ぶ、顔の違うウルヴァリンを演じているのは、セリフの通り、DC映画でスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィル。DCを代表するヒーローを演じたカヴィルに、デッドプールが「他の映画会社(=ワーナー)よりいい条件でどうだ」と彼を勧誘するのもメタなギャグだ。

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5:虚無に落ちていた意外なアイテム

虚無のいろんな場所に隠しアイテムが!

 映画の主な舞台となる虚無には、TVA(時間変異取締局)が除去した人物やアイテムが送られる。劇中には、どこかで見たことのあるアイテムがあちこちに散らばっている。メタなものでは、旧20世紀フォックスの企業ロゴの残骸。ヒーローの愛用アイテムでは、マイティ・ソーが昔のコミックで被っていた羽根つき兜や、第二次世界大戦時代のキャプテン・アメリカのシールドがある。

 乗り物系では、S.H.I.E.L.D.のヘリキャリア、レッドスカルの自動車、コミック版ファンタスティック・フォーの自家用車ファンタスティカー、ドラマ「ムーンナイト」のアイスクリーム販売車、サノスのQシップ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの宇宙船ミラノ号など。大きなものでは、チタウリの巨大飛行生物リヴァイアサン、ソーの故郷アスガルドの巨大な建造物、スカーレット・ウィッチの故郷ワンダゴア山らしいものも見える。

6:偉大なスタン・リーも!その他のカメオ出演者たち

店の看板に注目!

 映画冒頭、アベンジャーズに入りたいデッドプールの面接相手として登場したのは、『アイアンマン』シリーズなどで活躍したトニー・スタークの用心棒ハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー。デッドプールの世界とアベンジャーズの世界がイッキに直結する重要シーンとなった。

 実は、この部屋にはMCU関連の気になるアイテムが多数飾られている。アイアンマン関連では、マーク2のヘルメット、最初のアーク・リアクター、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアイアンマンのマスクなど。また、ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)が表紙の経済誌「フォーブス」、1943年のスターク・エキスポのポスターも確認できる。アベンジャーズ関連では、キャプテン・アメリカのシールドのプロトタイプ、コールソン捜査官(クラーク・グレッグ)が持っていたキャプテン・アメリカのヒーローカードも登場する。

 終盤では、ドラマシリーズ「ロキ」に登場したTVAのハンターB-15(ウンミ・モサクも登場。本作では上級職員になっており、どうやら出世したみたいだ。ちなみに、彼女はカサンドラ・ノヴァを「オメガレベルのミュータント」と言うが、この用語はコミックにも登場する。

また、クリエイター陣にも敬意を込めて、劇中には彼らの名前が登場する。まず、マーベル・コミックの生みの親スタン・リーは、デッドプールとウルヴァリンがデッドプール軍団と戦う時に登場するバスの側面に、「親愛なる清掃業者スタンリー・スチーマー」と彼の肖像画付きで登場する。デッドプールの生みの親ロブ・ライフェルドは、デッドプールとウルヴァリンがカサンドラ・ノヴァによって吹き飛ばされた際に衝突する店の名前「ライフェルドのジャスト・フィート(Liefeld's Just Feet)」になっている。これは、ライフェルドは足を描くのが苦手だという通説を踏まえたジョークにもなっている。そして、マーベル・スタジオ社長ケヴィン・ファイギの名前も、ラストのパーティーシーンに登場するピザの箱に「ファイギの有名なピザ(Feige's Famous Pizza)」として刻まれている。

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7:他社イジりも健在!キレのあるジョークまとめ

俺ちゃん、ディズニー映画になっても通常運転!

 アメコミ関連以外のジョークも、劇中には多数登場した。中でも、ライアンの愛妻ジョークは3つもある。デッドプールがウルヴァリンの亡骸で戦うオープニングシーンでは、デッドプールが「人間の骨は206本あるが『ゴシップ・ガール』を見ている時(字幕では「ムラムラした時」)は207本」と観客に語りかけるが、「ゴシップ・ガール」はライアンの妻であるブレイクが主演した人気ドラマのこと。別のシーンで、2人が一緒に地面に落ちて体が重なった時、デッドプールが「エロいことを考えるな、ブレイクに言うぞ」と言うが、これもブレイクのことだ。また、デッドプール軍団が登場した時、ナイスプール(ライアン)が「レディプールは出産したばかりなのに」と言ってお腹が平らだと仕草で示すが、レディプールを演じたブレイクは、実際にライアンとの第4子を出産したばかりだった。

 もちろん、デッドプールお決まりのヒュー・ジャックマンいじりもある。デッドプールはカサンドラ・ノヴァを威嚇する時に、ウルヴァリンに「リハーサルなしで『ミュージック・マン』を全曲歌わせるぞ」と言うが、「ミュージック・マン」はヒュー・ジャックマンがブロードウェイで演じたヒット舞台のタイトルだ。また、デッドプールは「ローガンは離婚して筋トレをやめていい体になってる」と言うが、ヒューは実際に2023年9月に離婚を発表している。

 デッドプールはラスト付近で自ら犠牲になる際、ガラス越しで『スター・トレック』のバルカン人流挨拶(片手の中指と薬指の間を開けた形)を披露し、「スポックかも」と放つ。これは、スター・トレック2/カーンの逆襲』(1982)のスポックが死ぬシーンをマネたものだ。

 また、他社イジりとしてワーナー製作の『マッドマックス』ネタも登場。初めて虚無に行ったデッドプールが『マッドマックス』のようだと言い、後からセーバートゥースの首を掲げて「見るがいい、フュリオサの首だ」とふざけるが、これは最新作『マッドマックス:フュリオサ』のことを指している。

 また、ガンビットのニューオリンズ訛りを聞いて、デッドプールが「お前の方言指導はミニオンか」と言うが、これはユニバーサル制作の人気アニメ『怪盗グルー』シリーズの奇妙な言葉を話すミニオンたちをネタにしたものだ。

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8:話題の“ダンスプール”&感動的なエンディング

OPのダンスプールは世界中で大バズり中

 まさにネタの宝庫である本作は、冒頭からポストクレジット・シーンまでネタが凝縮されている。冒頭では、男性アイドルグループ「イン・シンク('N SYNC)」の楽曲「Bye Bye Bye」のダンスを完コピして踊るデッドプール(通称:ダンスプール)が登場。ダンスプールを演じるのはライアンではなく、プロダンサーのニック・ポーリーだ。約24年前の楽曲である「Bye Bye Bye」は、本作の効果でSpotifyのグローバルランキングに再びチャートインするなど、再注目されている。

 本編ラスト直前では、素顔になったデッドプールが「シャワルマ(アラブ風の半円形のパンに具を挟んだもの)はアベンジャーズの好物だ」と言ってウルヴァリンと一緒にそれを食べている。これは『アベンジャーズ』(2012)のポスト・クレジットシーンで、テーブルに集まったアベンジャーズの面々がシャワルマを食べていたことを踏まえたもの。

 そして、エンドクレジットと共に流れるのは、旧20世紀フォックスが製作したスーパーヒーロー映画のメイキングシーン。MCUと旧20世紀フォックス、双方の歴史への敬意が胸を熱くしてくれる。しかし、感動的なシーンでは終わらないのがデッドプール。その後のポスト・クレジットシーンでは、再びジョニー・ストーム絡みのしょうもないギャグが炸裂。MCUのように、ポスクレがこの後の作品の予告になっていないところも含め、シッポの先まできっちりデッドプール流が貫かれている。

映画『デッドプール&ウルヴァリン』は全国公開中

(c) 2024 20th Century Studios / (c) and TM 2024 MARVEL.

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