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「ドラゴンボール」もここから?「八犬伝」の映画版がすごかった!

八犬伝

 日本のファンタジー小説の元祖と称えられる「南総里見八犬伝」の世界と、その作者である滝沢馬琴の世界が交錯する映画『八犬伝』が、情熱と興奮の湧き上がる一作として完成した。「南総里見八犬伝」は、鳥山明さんによる国民的コミック「ドラゴンボール」をはじめ、あらゆる漫画、アニメ、歌舞伎など現代のエンターテインメントに多大なる影響を与え続けている小説。そのファンタジーな世界をダイナミックなVFXを駆使して映し出し、馬琴の創作者としての葛藤にも触れられる本作は、日本人のDNAレベルでぶっ刺さるようなシーンが満載だ。まさに本作ならではの“たぎる”ポイントを紹介する。(文・成田おり枝)

「ドラゴンボール」 「鬼滅の刃」にも影響?世界観がすごい

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 江戸の人気作家・滝沢馬琴が友人の絵師・葛飾北斎に、構想中の新作「八犬伝」について語り始めることで幕を開ける本作。里見家にかけられた強力な呪いを解くため、運命によって引き寄せられた八人の剣士が過酷な戦いの旅に出るという、壮大にして奇怪な物語であり、そのファンタジックな世界も映画では存分に描かれる。

 八人の剣士に共通するのは、里見家領主の娘・伏姫が首にかけていた数珠からこぼれ出た、八つのきらめく珠(たま)を持っていること。非業の死を遂げた伏姫の「里見家を守りたい」という祈りが込められた珠が、八人をつないでいる。“地上に散らばった珠が集まってくる”という展開は、鳥山さんの漫画「ドラゴンボール」における、ドラゴンボールを集めると巨大な龍が現れ、どんな願いも一つだけ叶えてくれるという設定に影響を与えたと言われており、珠を持っている者が次第に集まっていく道のりからは高揚感が味わえる。珠が集まった時にどうなるのかというワクワク感もたまらない。

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 また、八人は珠とともに、体に牡丹の痣(あざ)を持っているのが特徴だが、大ヒット漫画「鬼滅の刃」では、登場人物の体に痣が現れると飛躍的に身体能力が向上するという設定があり、同じ印を持つ者が活躍するというのも大いに心をくすぐる。そのほか人間の言葉を理解する大きな動物の登場、ゾクゾクするような怨霊の放つ狂気、名刀でのアクションなど、現代の人気作にも通じる展開の連続となる「八犬伝」は、私たちにとってテンションのアガる王道ファンタジーの礎と言える。

朝ドラ「らんまん」ヒロインもドハマり!「尊い…」と悶絶の物語がすごい

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 マンガ、アニメ、映画、舞台、歌舞伎と多彩なジャンルで二次創作が行われていることを考えても、1842年に完結してから200年近くの時が経ちながら、「八犬伝」がいかに現代にわたるまでエンタメ界に刺激をもたらし続けているかがわかる。それはファンタジックな仕掛けだけではなく、続きが気になるような大胆なストーリー展開、そして繊細な人間描写が冴え渡っているからこそ。

 里見家の当主が、娘の伏姫の飼い犬・八房に「敵の大将の首を取ったら、姫を嫁にやろう」と戯言を口にしたことから、あれよあれよという間に物語が勢いづく。恨みや猜疑心が悪を生んでいく中、八剣士が集結。「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」という異なる文字が浮かび上がる珠を持つ八剣士のキャラクターは、力自慢の巨漢や火遁の術の使い手、美貌を誇る策士など個性や能力もバラバラで、誰しもが“推し”を見つけること間違いなし! また彼らが一つの目的のために全力で戦い抜いていく姿は熱血かつスカッとする清涼感があり、同志として絆を育んでいく人間ドラマも心に響く。

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 2023年に放送されたNHK連続テレビ小説「らんまん」では、主人公の妻で、浜辺美波演じる寿恵子が「八犬伝」の大ファンだった。あまりの面白さから読み進める手が止まらず、登場人物の関係性に「尊い……!」と身悶えたり、「馬琴先生!」と作者に向かって尊敬の思いを叫ぶ寿恵子の姿が記憶に残っている人も多いはずだろう。時代や性別、年齢を問わず、人々を夢中にさせる要素が詰まっているのが「八犬伝」なのだ。

「鬼滅の刃」を彷彿!アクション&映像がすごい

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 本作の監督・脚本を務めたのは、『ピンポン』『鋼の錬金術師』シリーズの曽利文彦。実写とVFXの融合に定評のある曽利監督が、革新的なビジュアルを駆使しながら、迫力あふれるアクションを生み出している。

 冒頭に登場する、伏姫を背中に乗せて走り出す妖犬・八房は、凛々しくイケメンながら、動きも表情も豊かで、毛1本1本まで感じられるほどモフモフ具合がたまらない。里見家に呪いをかける悪女・玉梓が高らかな笑い声を上げながら怨霊となって天にのぼる様子は禍々しい色で表現され、伏姫の数珠がポワッと美しく光り、八つの珠となって飛び散っていく映像も再現と、すぐさま「八犬伝」の世界へと誘われる。

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 一方、八剣士たちの壮絶な戦いは、「鬼滅の刃」を彷彿とさせるようなアクションがさく裂する。名場面の一つである信乃と現八が大屋根の上で激しく刀をぶつけ合う「芳流閣の決闘」は、スリリングかつスピード感あふれる展開が迫力満点。2人がガラガラと崩れる瓦と一緒に落下していくシークエンスは固唾を飲むこと必至だ。

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 また信乃が手にする、一振りすれば水がほとばしる特別な刀・名刀村雨も見どころの一つ。燃え盛る火の中、信乃が名刀村雨を振うシーンは、「鬼滅の刃」の水の呼吸を目の当たりにしたような感覚を味わえて最高にクールだ。玉梓がまさに鬼の形相で右腕のパワーを増幅させて襲いかかる一幕も、度々漫画やアニメ表現で描かれてきた恐怖のシーンを目の当たりにすることができる。「八犬伝」には欠かせないケレン味をたっぷりと加えて描かれた、斬新な映像&アクションに魅せられるのだ。

最旬キャストと実力派俳優の化学反応がすごい!

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 唯一無二の映画体験ができる本作だが、物語の世界とともに、馬琴がどのような思いで小説に向き合っていたのか、彼の生き様を描いた実話部分がまたすごい。およそ半々のボリュームで描かれる“虚”パートのアクションと“実”パートのドラマによって同時多面的に楽しむことができ、その交錯した世界が、大きなうねりを起こしながらクライマックスへと到達していくのだ。

 葛藤し、失明してもなお28年をかけて「八犬伝」を書き続けた馬琴に扮するのは、役所広司。馬琴の一番の理解者であった天才絵師の北斎を、内野聖陽が演じている。時には憎まれ口を叩きながらも、創作者としてお互いに認め合っている関係性を体現した役所と内野の息の合った掛け合いに、幾度となくシビれる。さらに馬琴の息子・宗伯に磯村勇斗、宗伯の妻・お路に黒木華、馬琴の妻・お百に寺島しのぶと、豪華主役級の実力派が並ぶ。

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 “虚”パートでは、伏姫に土屋太鳳、玉梓に栗山千明、八人の剣士に渡邊圭祐鈴木仁板垣李光人水上恒司松岡広大佳久創藤岡真威人上杉柊平、さらに重要な役柄を担う河合優実と、誰もが躍動感あふれる演技で「八犬伝」の世界を盛り上げている。

 “虚実”の二重構造となる本作から浮かび上がるのは、ままならぬことの多い世の中でも、常に人々を勇気づけるのは、正義や熱い意志を貫こうとするまっすぐな姿だということ。後年失明してもなお、諦めず、執念深く創作にその命を注ぎ込んだ馬琴の情熱はきっとあなたの心を震えさせるだろう。日本映画界を代表する顔ぶれと最旬の若手キャストが巻き起こしたすばらしい化学反応に浸りながら、怒涛のラストまで「八犬伝」が愛される理由を浴びるように感じてほしい。

映画『八犬伝』は10月25日より全国公開
公式サイトはこちら>>

映画『八犬伝』予告編

(C) 2024 『八犬伝』FILM PARTNERS.

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