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2024年 第37回東京国際映画祭コンペティション部門15作品紹介

第37回東京国際映画祭

第37回東京国際映画祭ポスター
第37回東京国際映画祭ポスター -(C)Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.

 2024年10月28日から11月6日までの10日間、日比谷・有楽町・銀座・丸の内地区で開催される第37回東京国際映画祭。110の国や地域から集まった2,023作品から、コンペティション部門に選ばれた15作品を紹介。3作品ずつが選出された日本と中国をはじめとするアジアを中心に、ヨーロッパや南米など、さまざまな歴史や文化、社会、世代を描いた、いずれも個性豊かな作品が一堂に会する。審査委員長は、『花様年華(かようねんか)』などの名優トニー・レオンが務める。(文:岩永めぐみ)

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『アディオス・アミーゴ』

アディオス・アミーゴ

製作国:コロンビア
監督:イバン・D・ガオナ
キャスト:ウィリントン・ゴルディジョ・ドゥアルテクリスティアン・エルナンデスマリナ・オラルテ

【ストーリー】
1902年、千日戦争終戦後のコロンビアの山岳地帯。革命軍兵士のアルフレドは、内戦に加わって消息を絶っている兄ロドリゴに、子どもができたことを伝えるため、偶然出会った、父親を殺した人物を捜しているというアマチュア写真家の男と共に旅にでる。

【ここに注目】
コロンビアで1899年から1902年まで続いた千日戦争と呼ばれる内戦を背景に、革命軍兵士と写真家の奇妙な友情をマカロニウエスタン風の演出で描いたドラマ。イバン・D・ガオナ監督はデビュー作の『ギルティー・メン(英題) / Guilty Men』がベネチア国際映画祭のベニスデイズ部門で上映、本作が長編3作目となる。『ギルティー・メン(英題)』にも出演しているウィリントン・ゴルディジョ・ドゥアルテやクリスティアン・エルナンデスらが出演する。

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『小さな私』

小さな私

製作国:中国
監督:ヤン・リーナー
キャスト:イー・ヤンチェンシーダイアナ・リンジアン・チンチン

【ストーリー】
脳性麻痺を患う青年リウ・チュンフーは、大学受験を控えるなか、祖母の夢を実現させるため、祖母が力を注いでいる舞台を手伝う。不安を隠せない母だが、彼は自分自身の人生の座標を見つけようと奮闘する。

【ここに注目】
ドキュメンタリー出身で、『春夢』『春潮』などを手掛けてきた中国のヤン・リーナー監督が、『少年の君』や『満江紅(マンジャンホン)』などのイー・ヤンチェンシーを主演に迎えて撮ったヒューマンドラマ。主人公と母や祖母との関係を軸に、障害のある青年が力強く生きる姿を描く。共演は『フェアウェル』などのダイアナ・リンや『西湖畔(せいこはん)に生きる』などのジアン・チンチンなど。

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『死体を埋めろ』

死体を埋めろ

製作国:ブラジル
監督:マルコ・ドゥトラ
キャスト:セルトン・メロマルジョリー・エスチアーノダニーロ・グランゲイア

【ストーリー】
ブラジルの片田舎で、車にひかれた動物を回収する仕事をしているエジガルは、常に暴力的で異様な悪夢に悩まされており、恋人ネッチと今の生活から抜け出したいと夢見ていた。だが、彼女がカルト教団に入信してしまい、取り戻すため、エジガルは友人と旅に出る。

【ここに注目】
ロカルノ映画祭で審査員特別賞を受賞した『狼チャイルド』のマルコ・ドゥトラ監督が、奇妙な出来事に遭遇する主人公を描いたホラー。ドゥトラ監督は『狼チャイルド』のほか、ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選ばれた『トドス・オス・モルトス(原題) / Todos os Mortos』(共に共同監督)で知られるブラジルの鬼才。主人公のエドガー・ウィルソンをドラマシリーズ「メカニズム」や、先ごろのベネチア国際映画祭で評価を集めた『アイム・スティル・ヒア(英題) / I’m Still Here』のセルトン・メロが演じる。

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『士官候補生』

士官候補生

製作国:カザフスタン
監督:アディルハン・イェルジャノフ
キャスト:アンナ・スタルチェンコシャリプ・セリックラトミール・ユスプジャノフ

【ストーリー】
シングルマザーのアリーナは息子のセリックをエリート士官学校に入学させようとするが、その風貌からいじめを受け、学校からも不適格と判断される。コネを使って復学させたアリーナだったが、ある母親から警告を受ける。

【ここに注目】
カザフスタンの士官学校に入学した新入生の視点で、いじめや暴力といった暗部をあぶり出すホラー。監督は、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門や、東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門で上映された『世界の優しき無関心』などのアディルハン・イェルジャノフ。イェルジャノフ監督の前作『ステッペンウルフ(英題) / Steppenwolf』にも出演したアンナ・スタルチェンコや、シャリプ・セリック、ラトミール・ユスプジャノフなどが出演する。

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『娘の娘』

製作国:台湾
監督:ホァン・シー
キャスト:シルヴィア・チャンカリーナ・ラムリュウ・イーアー

【ストーリー】
台北に暮らすジン・アイシャは、同性のパートナーとの体外受精の治療のため渡米した娘ズーアルが、交通事故で亡くなったという報せを受け、アメリカに向かう。残された受精卵を引き受けて代理母を探すのか、放棄するかという選択を迫られるが、実はニューヨークには若い頃に里子に出したもう1人の娘エマがいた。

【ここに注目】
妻の愛、娘の時』などの台湾の女優・監督のシルヴィア・チャンが主演を務め、『百日告別』などのカリーナ・ラムなどが共演するヒューマンドラマ。母と娘の物語を通して、親の責任や人生の選択、体外受精などについて問う。監督は『台北暮色』で初監督を務め、本作が2作目となるホァン・シー。エグゼクティブプロデューサーを、主演のシルヴィア・チャンとシー監督の師であるホウ・シャオシェンが担当している。

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『英国人の手紙』

製作国:ポルトガル
監督:セルジオ・グラシアーノ
キャスト:ジョアン・ペドロ・ヴァズデイビット・カラコルミゲウ・ボルジェス

【ストーリー】
詩人で小説家、映画監督の男ルイ・ドゥアルテ・デ・カルヴァーリョは、父が、1923年に起きた出来事の謎に迫る文書「英国人の手紙」をアフリカ南部のナミブ砂漠に残していたことを知り、その文書を捜し出す旅に出る。

【ここに注目】
かつてポルトガルの植民地だったアフリカ南西部アンゴラ付近の広大な砂漠を舞台に、植民地主義について描いた社会派ドラマ。ポルトガル系アンゴラ人の詩人・小説家・映画監督のルイ・ドゥアルテ・デ・カルヴァーリョの小説にインスパイアされた物語だという。監督は『絶海9000m』などのセルジオ・グラシアーノ。主人公をカンヌ国際映画祭のスペシャルスクリーニングで上映された『リメインズ・オブ・ザ・ウィンド(英題) / Remains of the Wind』などのジョアン・ペドロ・ヴァズが演じる。

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『彼のイメージ』

製作国:フランス
監督:ティエリー・ド・ペレッティ
キャスト:クララ=マリア・ラレドマルク・アントヌ・モッツィコナッチルイ・スタラース

【ストーリー】
1980年代から2000年代初頭のフランス・コルシカ島。地元の新聞社でカメラマンとして働いている18歳のアントニアは、コルシカの独立運動にのめり込む「コルシカ民族解放戦線」の若者パスカルと恋愛関係になる。やがて、運動の過激化に伴い、パスカルは投獄と釈放を繰り返すようになる。

【ここに注目】
コルシカ民族解放戦線の分裂をはじめとする、1980年代から2000年代初めにコルシカ島を揺るがせたさまざまな事件や出来事を背景にした若者たちの群像劇。ゴンクール賞受賞作家のジェローム・フェラーリの同名小説を、俳優兼監督のティエリー・ド・ペレッティが映画化し、カンヌ国際映画祭の監督週間でも上映された。出演はクララ=マリア・ラレドやマルク・アントヌ・モッツィコナッチ、ルイ・スタラースなど。

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『雨の中の慾情』

製作国:日本、台湾
監督:片山慎三
キャスト:成田凌中村映里子森田剛

【ストーリー】
漫画家の義男は自称小説家の伊守とともに福子の引越を手伝い、彼女の魅力に心を奪われる。しかし離婚したばかりの福子には、すでに恋人がいるようだった。やがて、義男の家に福子と伊守が転がり込み、奇妙な共同生活が始まる。

【ここに注目】
つげ義春の短編漫画を、『岬の兄妹』やドラマ「ガンニバル」などの片山慎三監督が『ドライブ・マイ・カー』などの脚本を手掛けた大江崇允と共に脚色し映画化。『窮鼠はチーズの夢を見る』などの成田凌と、『裏切りの街』などの中村映里子、『前科者』などの森田剛が、性愛に翻弄(ほんろう)される男女を熱演し、シュールかつ濃密な恋愛模様を展開。台湾中部の都市で主に撮影された、昭和のノスタルジーを感じさせる風景も見どころとなっている。

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『わが友アンドレ』

わが友アンドレ

製作国:中国
監督:ドン・ズージェン
キャスト:リウ・ハオラン、ドン・ズージェン、チー・シンカイ

【ストーリー】
父親の死の報せを受け、中国東北部にある故郷に向かったリーは、同じ飛行機で中学卒業以来会っていなかった友人アンドレと再会する。アンドレは彼を知らないと言い張るが、それには理由があった。リーは、この奇妙な再会をきっかけに、少年時代の記憶をよみがえらせるが……。

【ここに注目】
山河ノスタルジア』などに出演する俳優ドン・ズージェンの監督デビュー作。ズージェンが出演した『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』の原作者シュアン・シュエタオの小説の映画化作品で、物語が進むにつれ、かつて親友だった2人の男性の過去と2人の人生に影響を及ぼしたある出来事が明らかになっていく。この2人の人物を、監督自身と『唐人街探偵』シリーズなどのリウ・ハオランが演じる。

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『お父さん』

製作国:香港
監督:フィリップ・ユン
キャスト:ラウ・チンワンジョー・クークディラン・ソウ

【ストーリー】
香港のツェンワンで母親と娘が惨殺される事件が発生し、15歳の息子が犯人であることが判明する。父のユンは、事件を起こした息子を憎むことも、亡くなった妻と娘を忘れることも出来ず、この悲劇を招いた原因は何だったのか、収監中の息子との対話を試みる。

【ここに注目】
2010年に香港で起きた、15歳の少年が母親と妹を殺害した事件から着想を得て、家族が加害者と被害者になった父親の葛藤を描いたドラマ。台湾の映画賞・金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞した『奪命金』や、アジアフィルムアワードで主演男優賞にノミネートされた『インターセプション 盗聴戦』などのラウ・チンワンが主人公を演じる。『九龍猟奇殺人事件』でも実際に起きた事件を題材にしたフィリップ・ユン監督の手腕にも注目。

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『大丈夫と約束して』

大丈夫と約束して

製作国:チェコ、スロバキア
監督:カタリナ・グラマトヴァ
キャスト:ミハエル・ザチェンスキーヤナ・オローヴァエヴァ・モーレス

【ストーリー】
スロバキアの小さな村にある祖母の家で夏休みを過ごす15歳の少年エニョ。彼は遠く離れた場所で仕事をしながら暮らす母親との暮らしを望みつつ、友人たちとの田舎暮らしを楽しんでいた。だが、村民たちから自分が知らなかった母の一面を知らされ、思っていたような人物でなかったことに傷つく。

【ここに注目】
スロバキアの田舎を舞台に、夏休みを過ごす思春期の少年が母親に自分の信じていたものとは違う側面があることを知る姿を瑞々しく映し出した青春ドラマ。監督のカタリナ・グラマトヴァは、2023年にブラチスラバの舞台芸術アカデミーを卒業した新鋭。本作は長編デビュー作となる。本作ではアマチュア俳優たちのグループとコラボレーションし、彼らのリアルな表現や生活を取り入れた大胆な演出に挑んだ。

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『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は

製作国:日本
監督:大九明子
キャスト:萩原利久河合優実

【ストーリー】
さえない毎日を送っていた大学生の小西徹は、ある日、髪をお団子に結った桜田花に目を奪われ、勇気を出して声をかける。すぐに意気投合した2人は交流を重ねていくが、ある出来事が2人の運命を動かす。

【ここに注目】
勝手にふるえてろ』と『私をくいとめて』で観客賞を受賞するなど、東京国際映画祭の常連でもある大九明子監督が、お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が作家として発表した恋愛小説を映画化したボーイミーツガールな物語。地味な男子大学生が大好きだった亡き祖母と同じ言葉を口にした女の子と親しくなる様子を通して、青春のきらめきや命の尊さなどが描き出される。主人公の男女を演じるのは、『美しい彼』シリーズなどの萩原利久と『あんのこと』などの河合優実。

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『敵』

製作国:日本
監督:吉田大八
キャスト:長塚京三瀧内公美、河合優実

【ストーリー】
退官して10年になる77歳の元大学教授・渡辺儀助は、妻を亡くして以来、自分で料理を作り、晩酌を楽しみ、時には友人や教え子と過ごすこともあった。平穏に暮らしていたある日、儀助のパソコンの画面に「敵がやって来る」というメッセージが流れる。

【ここに注目】
筒井康隆の小説を『桐島、部活やめるってよ』や『紙の月』などの吉田大八監督が映画化。『ひまわり ~沖縄は忘れない、あの日の空を~』から12年ぶりの主演となった長塚京三を迎え、77歳の元大学教授に迫る老いや死をユーモアや切なさを交えて描く。亡き妻を『親密な他人』などの黒沢あすか、魅力的な教え子を『由宇子の天秤』などの瀧内公美、バーで出会うミステリアスな大学生を本年のコンペティション作品『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』にも出演している河合優実が演じる。

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『トラフィック』

トラフィック

製作国:ルーマニア、ベルギー、オランダ
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
キャスト:アナマリア・ヴァルトロメイイオヌツ・ニクラエラレシュ・アンドリッチ

【ストーリー】
若いルーマニア人夫婦のナタリアとジネルは、より良い生活を求め、西欧の大都市に移住し働き始める。しかし、移民への偏見や差別という厳しい現実を前に、困窮生活の中、2人は強盗になっていた友人によって、美術館の絵画を強盗する企みに加担することになる。

【ここに注目】
母の聖戦』が東京国際映画祭審査委員特別賞を受賞したテオドラ・アナ・ミハイ監督の新作。2012年にオランダの美術館からモネやピカソなどの絵画が盗まれた事件を題材に、東側諸国と西側諸国の対立や貧富の格差などを浮かび上がらせる。プロデューサーとして『母の聖戦』と同じく、『4ヶ月、3週と2日』などのクリスティアン・ムンジウ監督と『ある子供』などのジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ兄弟が参加。ムンジウ監督は脚本も担当している。

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『チャオ・イェンの思い』

チャオ・イェンの思い

製作国:中国
監督:ミディ・ジー
キャスト:チャオ・リーインシン・ジーレイホアン・ジュエ

【ストーリー】
中国西南部の国境の町で生まれ、努力の末にスターの座を手に入れた人気女優のチャオ・イェン。ある日、彼女のもとに匿名の脅迫状が届き、時を同じくして、長年疎遠になっていた姉が現れる。そして、それによって、これまでひた隠しにしてきた過去に脅かされることになる。

【ここに注目】
ベネチア国際映画祭のベニスデイズ部門で上映された『マンダレーへの道』や、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に選出された『ニーナ・ウー』などのミディ・ジー監督によるクライムスリラー。原作は中国の「80後(1980年代生まれ)」世代の女性作家ジャン・ユエランの小説で、『西遊記 女人国の戦い』などのチャオ・リーインや『長江 愛の詩』などのシン・ジーレイが出演。ミャンマー生まれで台湾を拠点に活動するミディ・ジー監督が初めて中国で撮影を行った。

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