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映画たて・よこ・ななめ見!

ウーマン村本、日本人が持つ差別意識に物申す!

映画たて・よこ・ななめ見!

 ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、村本大輔を追いかけたドキュメンタリー映画『アイアム・ア・コメディアン』の日向史有監督が、日本に住むクルド人の青年2人の姿を追いかけたドキュメンタリー作品『東京クルド』。2021年に公開された本作について、ウーマンの2人が感じた「差別」と「笑い」を真剣に語ります。(取材・文:森田真帆)

今回の映画は『東京クルド』(2021年7月10日公開)です。

 難民申請を続けながら日本で暮らすクルド人の若者たちにカメラを向けたドキュメンタリー。不安定な身分で在留を続けながらも夢を抱く二人の青年と、彼らの周囲の人々の日常をおよそ5年にわたりカメラが追いかける。監督を務めるのは、これまでドキュメンタリー製作に携わってきた日向史有。本作の短編版『TOKYO KURDS/東京クルド』が、Tokyo Docs 2017の「ショート・ドキュメンタリー・ショーケース」で優秀賞を受賞した。

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村本のドキュメンタリー映画の監督の過去作を観る!

ウーマンラッシュアワー
(C) 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

村本大輔(以下、村本):こちらは夜中の12時過ぎやでー。

中川パラダイス(以下、中川):どうなん? そっちの様子は(※村本は現在アメリカ留学中)?

村本:ライブ2本出てきたよ! 誰でも参加できるスタンダップショー。夜7時からカフェでお茶飲みながら見るやつが一つと、酒場で泥酔した客相手にやるやつ。全員集中させるために、大きい声で話すのが大変やった。

中川:でも楽しそう。毎日刺激的やん。

村本:昨日は久々に泣いたわ

中川:なんで?

村本:日本人のお客さんが来てくれてたのに、決勝に出られなくてな。滑りまくってたヤツらに負けたことが悔しくて、涙がポロポロ流れてきたわ。

中川:村本も今は外国に暮らすアジア人やもんな。今回、実は僕がこの映画を選んだんやけどさ、この作品って、村本のドキュメンタリー撮った監督の映画やからずっと観たかってん

村本:ええ作品選ぶやん! なんでこの作品なんやろって思ってたけど、今回は中川が選んだんやな! 実は前にイエール大学に行ってネタをやって、オレの映画を流してん。その後にみんなで飲みに行ったんやけど、1人の学生が日本のことを勉強していて、日本在住のクルド人の差別について論文を書いててん。そのときにこんな風にアメリカの人が、クルド人差別について勉強しているのに、なんで日本人は気にしてないんやろうって恥ずかしくてさ。だからこの映画にしてもらって、めっちゃうれしかったわ。

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実は日本人にもある差別問題

ウーマンラッシュアワー
(C) 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

中川:正直、僕はこの映画を観るまでクルド人のこと全く知らんかってんけど、村本はもともと知ってたん?

村本:うん。クルド人のことをめっちゃ悪く書いている有名なジャーナリストがいてさ、その人がクルド人は万引きしてるとか、いろんなデマをネットに書いて日本中に拡散してんねん

中川:なんでやねん、ひどいな。

村本:でも全部デマ。で、その人がそういうネットのデマを拡散するたびに、クルド人の支援団体の人がいちいちこれはデマですって証拠を出すんやけど、結局ネットには残るからな。ほんまにひどいねん。日本のSNSのコメントの方がまじでやばい。アメリカのネットより断然怖いし、恐怖を感じるって言うててん。

中川:えー、そんな投稿今まで全然知らんかったわ。そんなんあるんやな。ほんまにひどい話。

村本:そうやで、日本ってさ、日本人は自覚していないけど、実はめっちゃ外国への差別意識がある国やと思うねんな。この前、オレがスタンダップしたバーで黒人の男の人が日本に旅行に行って、日本人からめっちゃ差別を受けたっていうネタやっててさ。これって、日本に住んでるとあんまりわからんかもやけど、日本人って実は外国人に対して差別してることがめっちゃあんねん。

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中川が知ったクルド人の現実

ウーマンラッシュアワー
(C) 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

中川:映画を観て初めてクルド人の人たちが肩身の狭い思いをしながら生活してんねんなって知ったわ。なんでこんな差別されんねん。

村本:この映画にも出てきたように、日本人はクルドの文化を怖がってんねん。外国人が入ってきたから犯罪が増えるって勝手に信じたり、知らん音楽とかがでっかい音量でかかってるだけで怖くなったりするねん。この前、アウシュビッツに行ったんだけど、そのときにすごく忘れられなかった一言があってさ、「恐怖は人を非論理的にする」って。これはまさにこういうことなんじゃないかなって思う。

中川:なるほどな。たしかに全然知らん外国の人を警戒することはあるやろな

村本:昔さ、オレが在日韓国人の話をネタにしたときに、ある芸人が「国が乗っ取られるで」って言うててん。在日の人たちって別に普通に生活しているだけで、誰も日本と戦いたいわけちゃうねん。恐怖ばっかりや。それも勝手に抱いた恐怖やねん。在日の人たちに勝手に恐怖を抱いて、国を乗っ取られるとか思ってさ、それでどんどん非論理的になっていくねん。

笑いにもちゃんとボーダーラインを!

ウーマンラッシュアワー
(C) 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

中川:あの入管の人も怖かったわ。あんなに冷たいって、ほんまに恐しいよな。だって自分の国に帰ったら殺されるかもしれんから、こっちに逃げてきてるのにさ。

村本:せやねん。ラマザンもオザンもさ、普通の若者で、夢だってあるのに何一つ叶えられへん。あと、日本人の差別的なところが入管のシーンでも出てたな。入管の職員までもが「他の国に行ってくれ」ってさ。日本人は外国人に対して、意味わからん恐怖を感じて、勝手に排除しようとすんねん

中川:まぁな、村本も日本から追い出されて、ほぼ難民みたいなもんやし、気持ちわかるやろ!

村本:ちょっと待って。オレと一緒にしたら絶対あかん。難民とオレが同じ立場とか、そういうことは冗談でも言ったらあかんねん。これはさ、アメリカに来てからめっちゃ感じていることやねんけど、こっちでも越えちゃいけない線はちゃんと決めておくねん。いじっていいこと、笑いにしてもいいことと、笑いにしたところでなんもおもろくないことってあるから。だから、そこの線引きは大切

中川:なるほどな。それは反省するわ。ていうか村本も成長したな。

村本:そうやろ! オレもそう思うわ。ネタにしていいことと悪いこと、そういうのあるもんな。

※記事内容には個人の意見が含まれています。

『東京クルド』2021年7月10日公開
(C) 2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

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ウーマンラッシュアワー・プロフィール

2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。

村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。

村本大輔X(旧Twitter)

中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。

中川パラダイスX(旧Twitter)

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