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「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン」シーズン2最終話:さらばフランス…予想を覆す2つの展開

今週のウォーキング・デッド

 「ウォーキング・デッド」の人気キャラクター、ダリル(ノーマン・リーダス)とキャロル(メリッサ・マクブライド)のその後を描くスピンオフ「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン シーズン2 -キャロルの書-」。シーズン最終話となる第6話「さようなら 子供たち」では、最後の最後まで意外な展開が詰まっていた。(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン シーズン2 -キャロルの書-」第6話をまだ観ていない方はご注意ください。

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予想を覆す2つの展開

 シーズン2最終話は、冒頭からラストまで出来事がギッシリ。まず、エピソードタイトルの原題「Au Revoir les Enfants」は、『死刑台のエレベーター』(1958)や『地下鉄のザジ』(1960)で知られるフランスの名監督ルイ・マルの自伝的映画『さよなら子供たち』(1987)と同じ。映画はナチス占領下のフランスの少年を描くもので、最後にさよならを告げるシーンがあること以外、内容に直接的な関係はないが、ダリルがこのエピソードで、フランスにもローラン少年(ルイ・ビュエシュ・シグリウッツ)にも別れを告げることを踏まえての引用だろう。

 そして本編には、予想を覆す展開が2つもある。まず一つは、飛行機で飛び立つ人物の人選。飛行機に乗れるのは3人なので、操縦士アッシュ(マニーシュ・ダヤール)かローラン少年に何かが起きて3人になるのかと思ったら、飛行機で飛ぶのはこの2人だった。キャロルは、離陸を妨害する敵を倒すため、自ら飛行機を降りる。アッシュはかつて息子を亡くしているし、今回、ローランと親しくなりつつある描写があったので、2人には明るい未来が待っていそうだ。

 もう一つは、ラストが飛行機の離陸になるかと思いきや、それは物語前半で完了し、後半でまた別の物語が描かれたこと。ダリルとキャロルは、英仏海峡トンネルで英国へ渡ることになる。なるほど、飛行機や船が無くてもその手があった。しかも、トンネルの中で案内人たちが裏切るというのも「ウォーキング・デッド」の世界らしい。

 さらに、ここで彼らの前に立ちはだかるのが過去の亡霊たち。彼らはコウモリのフンの成分で幻覚を見るようになり、ダリルはイザベル(クレマンス・ポエジー)と戦時中にフランスで死んだ祖父と、キャロルは死んだ娘と自分自身と、2人に同行する元「生者の力」のコドロン(ロメイン・リーバイ)は死んだ弟と、それぞれ向き合うことになる。その中でも、キャロルが、自分そっくりなウォーカーに襲われ、何度もためらいながらもそれを倒すというシーンが印象的。彼女は、昔とはかなり違う人間になり、娘の顔を思い出せなくなった現在の自分を、全面的に肯定しているわけではないということか。しかしキャロルは、そんな自分を倒して前に進む。

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人間ドラマを盛り込みつつ、ウォーカーの斬新な光景も

 最終話では、そうした人間ドラマの要素が他にも見られた。希望連合にダリルたちの居場所へ案内を強要されたナイトクラブ「デミモンド」のオーナー・アナ(ルケリヤ・イリヤシェンコ)は、ローラン少年との交流を思い出して、自己犠牲を選ぶ。ローランに同行するファロウ(エリック・エブアニー)は、過去の体験を語り、新たな恋を得てフランスに留まる選択をする。

 また、コドロンもウォーカーと化した弟を倒した時の心境を語る。ここでダリルが「分かるよ」と言いながらも、自分も同じようにウォーカーと化した兄メルル(マイケル・ルーカー)を倒したことを話さないのは、たやすく心の内を語ったりしないダリルの性格に合致している。

 また、ウォーカーの斬新な光景も印象的。かつて精神病院だった建物を訪ねたファロウとコドロンは、病室に何台も並べられているベッドの上で、ベルトのようなもので固定されたまま蠢いているウォーカーたちを目撃する。この情景は衝撃的だ。

 そして、ラスト、ダリルとキャロルが2人になり、英仏海峡トンネルを進み始めると、そこで流れる曲がローリング・ストーンズの1969年のヒット曲「無常の世界(You Can't Always Get What You Want)」。この曲は今回の冒頭で、ローランが1970年代の曲が好きだった神父に習ったと言ってギターを弾きながら歌い、ダリルも一緒に歌う曲。シーズン1の最終話ラストではU2の「Seconds」が流れたが、本作はシーズンの最後に印象的な曲が流れるのが定番になるのかもしれない。

 こうして、ダリルとキャロル以外の登場人物が一新され、新たな物語をスタートさせる準備は完了。2人はどのようにしてアメリカに帰るのか。何が彼らを阻むのか。今から気になるシーズン3の撮影は、本年7月からスペインで行われており、ティーザー予告編も公開された。シーズン3では、暑く乾いた土地で、まったく違うタイプのドラマが描かれそうで、今から待ち遠しい。

「ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン シーズン2 -キャロルの書-」全6話はU-NEXTで独占配信中

(c)2024 Stalwart Productions LLC.

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