日本人のアイデンティティを刺激する!殺陣が痛い
映画たて・よこ・ななめ見!
スタジオジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回のテーマは、白石和彌監督が山田孝之、仲野太賀のダブル主演で撮り上げた映画『十一人の賊軍』。ウーマンの2人が久しぶりの活劇ものに大興奮!(取材・文:森田真帆)
今回の映画は『十一人の賊軍』(11月1日公開)です。
1868年、鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と、旧幕府軍による戊辰戦争が勃発する。そんな中、新政府に対抗するため、奥羽越列藩同盟が結成される。その同盟にやむなく加わった新発田藩では、藩に捕らえられていた11人の罪人たちが、決死隊としてとりでを守る任に就く。
刀で斬られたら絶対痛いというリアル
村本大輔(以下、村本):今回はテキサスからこんばんは!
中川パラダイス(以下、中川):ほんまに村本と話すのは、この取材のときだけになってもーたわ。我々に唯一残された仕事、シネマトゥデイさんありがとう!
村本:ほんまやな! アメリカにいるのに日本の映画観られるのもうれしいわ!
中川:しかもこの『十一人の賊軍』はサイコーに面白かったな! 久しぶりにこんな面白いん観たわ! いや、今までのも面白いんやけどさ、なんか真面目なドキュメンタリーとかさ、アート系の多かったやん!
村本:たしかになー。ひさびさのチャンバラや。
中川:そうそう。久しぶりのやつ。
村本:日本人のアイデンティティを刺激されるやつな。やっぱり海外にいるとこういうチャンバラ観ると、日本人やなって再認識するわ。なんか血が興奮するというかさ。あるやん?
中川:うん、わかるよ。殺陣のシーンめっちゃかっこよかった。あれは興奮するやつやで。なんかさ、ただの時代劇というよりももっとエンターテインメントな気がするというか。なんかハリウッド映画みたいな感覚で観た気がする。
村本:たしかに、めっちゃ派手やったよな。
中川:せやねん。白石和彌監督はNetflixシリーズ「極悪女王」(世界独占配信中)や『孤狼の血』の監督やからさ、めっちゃグロい描写も出てきたりしたやん? 手切られてもーて、ちぎれてしまうとかさ。なんかほんまはそうやと思うねん。刀なんてちょっと斬れただけでめっちゃ痛いやろし、昔なんてそれこそ死に直結すると思うねんな。そういう描写がちゃんとあって、生々しいのもよかったよな。僕の大好きなシーンは阿部サダヲさんが処刑するシーンで、顔に返り血浴びていくんだけど、浴びれば浴びるほど顔が凶悪になってく感じのとこ? あれ最高やったな!
村本:お前はほんまにそういうフェチやからな。人が血まみれになるの。オレはああいう血とか苦手やけど、今回はそこまできつくなかったな!
芸人の出演について芸人が思うこと
中川:正直、めっちゃ芸人出てきたやん! 自分も芸人やから芸人出てくるといきなり現実に引き戻されるというか、役者さんはええねんけど、身内出てるの現実感出たわー。村本どやった?
村本:たしかに出てたな。でもこの映画、ちょっと漫画ちっくやったやん? 若者だって観られるような感じというかさ。だから芸人入れることによって、若い人たちも観に来れるようにしてたんちゃう? 重い時代劇やったら、今の時代あんまり観にこないやろうし。パラダイスが言うほどは気にならへんかった。誰やったっけ? 千原せいじさんやろ、あとナダル?
中川:せやで。あとゆりやんレトリィバァも出てたやん。
村本:え? ゆりやんでてた!? 気づかれへんかったわ!
中川:うん、めっちゃちょこっとやったけど、おにぎり配ってた。
村本:うわ、あのシーンか! 全然気づかなかったわー。ゆりやんはちゃんと馴染んでたんちゃう? オレはわからへんかった。ナダルはやっぱり『孤浪の血』からのコロウコロウチキチキペッパーズやろ?
中川:いやだれがコロウコロウや(笑)。上手いこと言うたみたいになるなって!
村本:しょうもないこと言うてもうたわ。
中川:あいつもファニーやから、つい笑ってしまうんよ。それは監督の意図したことだったんかな? ってちょっと気になるな。なんか残酷な話やし、オモろいなってとこで救いにしてるんかなって。
村本:せいじさんの坊さんが一番似合ってたけどな。似合っているというか、そのままやし! こういう時に坊さん使うんかいっていうのはあったわ(笑)あんな自分の僧侶ネタ出してええんか(笑)?
ラストシーンの山田孝之と仲野太賀に大興奮
中川:ラストシーン、カッコよかったなあ。この映画って、山田さんと仲野さん両方主役なんやろ? それがほんまに納得するくらい2人ともめっちゃかっこよかった。
村本:たしかになー。あれはちょっと憧れるやつよな! これどこまで言っていいかわからんから、もしかしたら塗りつぶされるかもしれんけど、ラストがめっちゃかっこよかった! 2人とも。
中川:村本も時代劇そういえば出てたもんな。あんとき殺陣はしたんやっけ?
村本:オレはしてない! 町人に変装してスパイするみたいな役やったからな。
中川:時代劇に出たら、ああいう刀で戦うシーンとかやりたいとか思うんちゃう?
村本:うーん。でもみんなめっちゃ稽古とか行ったりしてるの観てたからな(笑)。大変そうやなって思ってたから、絶対嫌ややわ!
中川:出てくる人たちがみんなよかったよな。あとみんながみんな悪じゃないというか。阿部サダヲさんの役だって、別に完全な悪でもないやん。いろいろと考えて行動しているというかさ。現代の日本人が観ても共感できると思うわ。
村本:賊軍って言ったら、全員悪いやつって思うけど、実際にこうして映画になるとちゃんと見えてくるというかさ。歴史の中でそういう人たちはいるかもしれないけど、実はそうではないこともあるんよな。でも、パラダイスも世が世なら色男すぎて賊軍にされてたかもしれんやん。
中川:まぁ、色男として死ねるなら本望や!
※記事内容には個人の意見が含まれています。
『十一人の賊軍』11月1日公開
(C) 2024「十一人の賊軍」製作委員会
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。