意外なあの人も!マーベル作品に出演した日本人俳優たち

マーベル・スタジオ最新作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』がついに劇場公開です。本作で注目すべきポイントはいくつか(いや沢山ですね)ありますが、どうやら日本が重要な役割を担っているようです。予告等で明らかになっている通り、キャプテン・アメリカとレッドハルクは桜舞うワシントンDCで戦います。そして平岳大さん演じる尾崎首相というキャラクターが登場します。
物語にどう絡んでいくのか楽しみですが、ファンの間で話題になったのが、これで、あの「SHOGUN 将軍」の3人が、皆マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)俳優になったということです。(文:杉山すぴ豊)
映画に登場した日本人俳優

まず浅野忠信さんが『マイティ・ソー』シリーズ(2011~)でソーの盟友ホーガンを演じました。真田広之さんは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で闇落ちしたクリント・バートンに命を狙われる、日本の犯罪組織のボス・アキヒコ役で登場しています。
なお、真田さんはMCUではないマーベル映画(といっても昨今の設定ではMCU以外のマーベル映画とMCUはマルチバース関係なので、MCUと言えなくもないのですが……)『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)でウルヴァリンと刀で一戦を交える矢志田信玄役でした。
この『ウルヴァリン:SAMURAI』は日本を舞台にしているので、多くの日本人俳優が登場しています。ウルヴァリンが心を寄せるマリコ・ヤシダ役を岡本多緒さん(この時はTAO名義)、ウルヴァリンを助ける女戦士ユキオ役に福島リラさん、本作のヴィランであるヤシダに日本出身の俳優ハル・ヤマノウチさん、その若いころをを山村憲之介さんが演じています。またヤクザ役で小川直也さん、角田信朗さんが顔をみせています。

さらにチラっとですが、葬儀のシーン(増上寺だったかと思います)の参列者に関根麻里さんが参加しています。ウルヴァリン自体がコミックで、日本との関わりが強いので、これをベースにした本作に日本人キャストが多いのは当然(撮影も日本でしたから)。
なお『X-MEN2』(2003)には恐るべき爪を持つ、女ウルヴァリンともいうべきレディ・デスストライクが出てきます。コミックの設定では日本人ユリコですが、映画で演じていたのはケリー・ヒューさんという中国系の血をひくハワイの女優さんでした。

ちなみに岡本多緒さんは後に映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)でルーサーの秘書マーシー、福島リラさんはドラマ「ARROW/アロー」のシーズン3のカタナ役で、DC作品にも顔を見せています。
福島さんが演じたユキオは設定等を一新し、『デッドプール2』(2018)に登場。同作から、忽那汐里さんが演じています。福島さんのユキオはクールな暗殺者でしたが、忽那さん版は、デッドプールから日本のアニメから出てきたようだ、といわれるぐらい、キャピキャピした女性ミュータント。忽那さん演じるユキオは、シリーズ第3弾『デッドプール&ウルヴァリン』(2024)にも出てきます。
ドラマ作品にも日本人俳優が!

先ほど書いたようにマルチバース的発想で言えば、福島さん版と忽那さん版はヴァリアント(マルチバースごとの別バージョン)かもしれません。2人とも髪がピンクだし。極めてマニアックですがかつてコナン(未来少年でも名探偵でもなく、シュワちゃんが演じた古代の戦士)はマーベルでコミック化されていたし、またG.I.ジョーのマーベル版も有名です。なので、これらの映画をマーベル系とカウントすると『キング・オブ・デストロイヤー/コナン PART2』(1984)にはマコ岩松さんが、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(2021)には平岳大さんのほか、安部春香さん、石田えりさん、アンドリュー・小路さん(日系俳優)も出演しています。
ドラマに目を向けると、「エージェント・オブ・シールド」のシーズン2の8話「兄弟の再会」(The Things We Bury)に登場する囚人役を尾崎英二郎さんが演じました。尾崎さんはディズニープラスのマーベル・アニメ「マーベル ヒット・モンキー」で刑事ヒロシとカトウ将軍の二役の声もあてています。また、DCドラマ「レジェンド・オブ・トゥモロー」にも出演しており、同作では、ゴジラの生みの親の一人である本多猪四郎監督役です。
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」には、バッキーとの哀しい因縁をもつヨリ・ナカジマ役にケン・タケモトさん。バッキーとデートする寿司店の女性リー役を日系俳優・石川美紀さんが演じています。「デアデビル」のシーズン1&2にはノブ・ヨシオカというヤクザのボスが出てきますが、演じていたのはピーター・シンコダさんという日系カナダ人の俳優です。
日本人俳優のMCU参戦、今後も続く?

さて、この先のMCUに日本人役者の活躍する機会はあるのか? ですが、十分「ある」と思います。というのもマーベル・コミック自体に日本人の重要キャラクターが多いからです。
例えばアイアンマンことトニー・スタークにはルミコ・フジカワという日本人の恋人がいました。X-MENにはサンファイアという日本人のミュータントがいます。さらにアニメーション映画『ベイマックス』の原作「ビッグ・ヒーロー・シックス」はもともと日本のスーパーヒーロー・チームであり、もし原作に忠実なMCU版が作られたら、日本人キャストで固められるのでは?
さらにアニメーション映画『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース(原題)』には東映版スパイダーマンが出るとされています。もし将来、実写版のスパイダーバース映画が作られたら東映版スパイダーマンも登場してもらって、その時は日本人キャストで演じてほしいですね。究極のアイデアとしては、ゴジラがかつてマーベルでコミックになっており、今またゴジラとマーベルのヒーローが共演するコミックがリリースされています。
また、ウルトラマンもマーベルでコミック化されました。いろいろ権利関係がクリアになって、MCUにこの先ゴジラやウルトラマンが登場した場合、そこに日本人俳優の出番もあるのではないかと思います。その一方、浅野忠信さんのホーガンのように必ずしも日本人が演じるのは日本人役にこだわらなくてもいいのかもしれません。『エターナルズ』でのギルガメッシュ役のマ・ドンソクさんや『マーベルズ』でパク・ソジュンさんが演じたヤン王子は“韓国人役”ではありませんでした。こういう可能性もあるわけでこの先、日本の俳優さんたちがどんどんMCUでひと暴れしてほしいですね。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は全国公開中
杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)プロフィール
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画についての情報をさまざまなメディア、劇場パンフレット、東京コミコン等のイベントで発信。現在「スクリーン」等でアメコミ映画の連載あり。サンディエゴ・コミコンも毎年参加している。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に日本語吹替版の監修も担当。来日したエマ・ストーンに「あなた(日本の)スパイダーマンね」と言われたことが自慢。