宮崎吾朗、『ゲド戦記』で拍手喝さい!父の後を追う決意固める
第63回ヴェネチア国際映画祭
3日、宮崎吾朗監督のアニメ『ゲド戦記』が映画祭のメーン会場サラ・グランデで招待上映された。約5分間のスタンディングオベーションを受けた宮崎監督は上映後、満面に笑みを浮かべながら「みなさんに喜んでいただいていて良かった。今はウチのパパ(宮崎駿監督)が作っているので、私の次作があるとすれば4年後。次のワールドカップ開催の年に公開出来るよう頑張ります」と監督続投宣言をした。
映画初監督作ながら、同映画祭に招待上映されるのは異例。出品が決定したとき、吾朗監督は「親父(駿監督)と間違えているんじゃないか」と苦笑いを浮かべていたが、それも杞憂(きゆう)に終わった。この日の公式上映のチケット1078席分はソールドアウト。取材もイタリア・仏など世界各国から40社を越える媒体から申し込みがあったという。吾朗監督も「皆さん、GOROと呼んでくれているので、間違いじゃないんだと思いました(笑)」とホッとした様子。
取材では、どうしても駿監督の話題に触れられるが「それは仕方のないこと。こんなに言われるんだとは、映画を作ってから思ったけど、それは避けて通れない。ぼくが受け入れるべき運命だと思ってます」と胸を張った。
同日行われた記者会見でも、次回作についての話が出て、具体的な内容は避けたが「僕は宮崎駿のように直感と感性で素晴らしいものを作る人間ではない。0から作るより、ある題材を与えられて、それをどう理解して表現するか。それが自分のパーソナリティに合っていると思う。アニメに限らず、この仕事に非常に大きな魔力があることは理解しました」と語った。
同行した鈴木敏夫プロデューサーにも「せっかくヴェネチアまで呼んでもらったんだから、次も作らないと」とけしかけられていた。なお、同作品は新人監督に与えられる「ルイージ・デ・ラウレンティス賞」の対象となっており、受賞作品には10万ユーロとコダック社から2万メートルのフィルムが贈呈される。受賞結果はコンペ部門と同じ9日に発表。
またこの日は、黒沢清監督『叫(さけび)』(来年公開)が招待上映され、黒沢監督と幽霊役を演じた葉月里緒奈が現地入りした。