世界的な児童文学「ぞうのホートン ひとだすけ」は日本とアメリカを表す?
7月12日に公開されるアニメーション映画『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』は児童文学界の巨匠、Dr.スースによる「ぞうのホートン ひとだすけ」を原作にした作品なのだが、実はこの原作、日本にとても深い関係がある。
本作はアメリカ公開時に2週連続1位を獲得し、全世界で興行成績2億5千万ドル(約250億円)を突破した大ヒットファンタジー・アニメーションだ。ジャングルヌールに住むぞうのホートンが、偶然ほこりの中にある小さなダレダーレの国を見付けることから起こる騒動や、ジャングルヌールとダレダーレの国という異なった世界の間に生まれる交流を描いていく。このイマジネーションあふれるストーリーは、Dr.スースと1人の日本人との出会いから生まれたものだという。
1950年代当時、アメリカでは日本の文化がブームになっていた。Dr.スースも日本に興味を持った一人で、友人から同志社女子大学英文学科の教授であった中村貢を紹介され、1953年の春に来日。Dr.スースは中村と出会い、日本のさまざまな文化に触れる中で、彼独自の感性を磨いていった。Dr.スースは帰国の後「ぞうのホートン ひとだすけ」を執筆。ジャングルヌールとダレダーレの国という2つの異なる世界は、まるで遠く離れた日本とアメリカを表しているようで、そこで育まれる友情や信頼、きずなはDr.スースと中村の間に生まれたものであると読み取ることができる。その後、Dr.スースは自身が絵本を執筆するたびに中村のもとへ送り、その友情関係は生涯変わることがなかったそうだ。
50年以上の時を経て映画化された本作だが、原作が誕生するに至った友情や信頼、きずなという色あせることのないテーマが最新のアニメーション技術とともに語られていく。本作は、日本人とアメリカ人との心温まる交流がなければ生まれることのなかった作品であるといえるだろう。
映画『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』は7月12日よりお台場シネマメディアージュほかにて全国公開