新『スター・トレック』が全米堂々第1位!IMAXの興収では『ダークナイト』破る-5月11日版
全米ボックスオフィス考
アメリカの3,849の映画館で、スクリーン数にして7,400という規模で超大型公開されたJ・J・エイブラムス監督の映画『スター・トレック』が、7,520万ドル(約75億2,000万円)という巨額の興行成績を上げて、今週のチャートでアメリカナンバーワンの映画となった。この成績は、今までに公開された『スター・トレック』の作品の中でもトップとなる額で、映画『ファースト・コンタクト/STAR TREK』の3,070万ドル(現代の5,000万ドル(約50億円)に相当)をはるかに超える数字をたたき出した。(1ドル100円計算)
新『スター・トレック』の興行収入は、今回の全米ボックスオフィス総額を1億4,900万ドル(約149億円)以上にまで押し上げる形となり、去年の同時期と比べても興行総成績は19パーセントもアップし、歴代の5月第2週ウイークエンドと比べても最高の興行総収入を記録した。
また『スター・トレック』は、アメリカの138館のIMAXシアターでも公開されており、こちらでも映画『ダークナイト』が打ち立てた630万ドル(約6億3,000万円、封切り後の初週末のみ)の記録を軽々と打ち破り、850万ドル(約8億5,000万円)というIMAX歴代最高の興収をたたき出している。
興味深いのは、『スター・トレック』を観に来ていた客層だ。いくらクリス・パインがカッコいいとはいえ、やはり客層は圧倒的に男性が多かった。配給のパラマウント・ピクチャーズの統計によれば、作品を観に来ていた60パーセントが男性と判明。また、そのうち65パーセントが25歳以上の年齢層ということもわかった。やはり往年の『スター・トレック』シリーズのファン強し……といったところだろう。
さて、今回のランキングは『スター・トレック』以外は、すべてかすんでしまっているように見えるが、その中でもモロに影響を受けたのが、先週公開されたばかりの映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』である。第2位とはいえ、先週末と比べると69パーセントも売り上げが下降して、2,640万ドル(約26億4,000万円)の売り上げにとどまった。
第3位は、マシュー・マコノヒー主演のコメディー映画『ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト』(原題)で1,025万ドル(約10億2,500万円)。先週デビューで、その出足は不調だったものの公開2週目の今週は33パーセントのみの下降ということで、土砂崩れ的な落下は免れている。
第4位は、ビヨンセ主演のサスペンス映画『オブセスト』(原題)で656万ドル(約6億5,600万円)、第5位は依然ガンバリ中のザック・エフロン主演映画『セブンティーン・アゲイン』で423万ドル(約4億2,300万円)を売り上げた。
さて、次回ランクインが予想される夏の超大作を見てみよう。まず現在ナンバーワンの『スター・トレック』と一騎打ちになりそうな、5月15日に全世界同時公開される、ロン・ハワード監督の映画『天使と悪魔』だ。ダン・ブラウン著の世界的ベストセラーを映画化した作品で、大ヒット映画『ダ・ヴィンチ・コード』に続く第2弾となるこの作品では、トム・ハンクス演じるロバート・ラングドン教授が再び大活躍。科学vs.宗教という永遠の論争をめぐって、息が詰まるようなサスペンス劇が幕を開ける。
すでに現時点で『スター・トレック』が君臨しており、これ以上のチャート争いは避けるが勝ちと大手スタジオは考えたようで、今週末の大型封切り作は『天使と悪魔』以外だと皆無だ。唯一、小粒だがスターの出ている作品は、ジェニファー・アニストンといつもイイ味を出しているスティーヴ・ザーン主演のロマンチック・コメディー映画『マネージメント』(原題)だ。この作品はトップ5入りは無理だとしても、殊勲賞でさりげなくトップ10に食い込みそうな予感はある。(取材・文:神津明美 / Addie Akemi Kohzu)