早くも『アバター』超え!『アリス・イン・ワンダーランド』が記録を更新!勝因は女性客 -3月9日版
全米ボックスオフィス考
日曜日にアカデミー賞授賞式が放映され、映画館の観客動員数に多少影響が出るかと思いきや、そんなことはまったくなく、ティム・バートン監督の待望作映画『アリス・イン・ワンダーランド』が封切り週末3日間で今年の週末記録を塗り替える1億1,610万ドル(約104億4,900万円)をたたき出して全米ナンバーワン映画に輝いた。(1ドル90円計算)
『アリス・イン・ワンダーランド』は3,728館・7,400スクリーンという超大型公開。そのおかげもありバートン監督過去の作品と比べてもダントツの売り上げを示しており、監督の歴代記録である2001年の映画『PLANET OF THE APES 猿の惑星』の封切り週末興行収入6,850万ドル(約61億6,500万円)をはるかにしのぐ成績となっている。そして興行収入の約70パーセント、売り上げにして8,000万ドル(約72億円)超が3D上映からの収入となっており、『アバター』が保持していた封切り週末の3D興行収入記録であった5,500万ドル(約49億5,000万円)をあっという間に更新する形となった(ちなみに、『アリス・イン・ワンダーランド』は3D上映館が2,251館であるところ、『アバター』はやや少な目の2,038館だったという上映館数の差がある)。
また、『アリス・イン・ワンダーランド』は、IMAXの上映でも新記録を打ち立てており、188館のIMAX上映で1,190万ドル(約10億7,100万円、興行収入トータルに込み)という興行成績を上げている。
ディズニーが取った統計によれば、映画を観に来ていた39パーセントは親子連れで、36パーセントはカップルだった。性別で見ると、女性の方がちょっと多く55パーセント、そして54パーセントは25歳以下の観客だったという結果が出ている。
今週の第2位は、犯罪サスペンス映画『ブルックリンズ・ファイネスト』(原題)で1,335万ドル(約12億150万円)の売り上げ。1,936館・2,300スクリーンにて公開された本作は、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプスというやり手の黒人男優が出演しているだけあり、配給会社オーヴァチャー・フィルムスの調べによると60パーセントは黒人客で、52パーセントは女性であるという統計が出た。
第3位は、2週連続ナンバーワンから転落してしまった『シャッター アイランド』の1,323万ドル(約11億9,070万円)で41.6パーセントの降下率。とはいうものの、公開17日目にしてすでに9,580万ドル(約86億2,200万円)を稼ぎ出しており、1億ドル(約90億円)超えも時間の問題となっている。
第4位は、先週の第2位から2ランク落ちた映画『コップ・アウト』(原題)で929万ドル(約8億3,610万円)。そして今週の第5位は、已然(いぜん)踏ん張る『アバター』で812万ドル(約7億3,080万円)。公開後3か月目にしてまだトップ5に入っている上に、この成績である……今週末『アリス・イン・ワンダーランド』に3D上映館を譲らずに済んでいたら、恐らくもっと稼ぎ出していたであろうから、とにかくスゴイ映画だ。
次回のランキング予想だが、まず有望株のトップを飾るのがマット・デイモン主演のアクション映画『グリーン・ゾーン』だ。映画『ボーン・アイデンティティー』以来、すっかりアクション・スターが板についた感のあるマットだが、この作品でも政府の陰謀をかぎつけて策略に巻き込まれて行く、勇敢な兵隊をカッコよく演じている。
もう1作は、トップ3入りは難しいかもしれないもののいい線行きそうな映画『リメンバー・ミー』(原題)。日本では人気がイマイチだが、映画『トワイライト』シリーズでバンパイアのエドワードを演じてアメリカでは大人気のロバート・パティンソンが主演のラブストーリーで、エドワード・ファンがどれだけ映画館に足を運ぶかでこの映画の興行収入が決まってくると思われる。
最後に、トップ5に入るかどうか際どいところだがティーン・ラブコメ映画『シーズ・アウト・オブ・マイ・リーグ』(原題)。ほとんど無名の若手俳優が出演しているヤング向けの映画だが、この手の軽い映画が意外に受けてしまうアメリカ市場なので、一応紹介の中に加えておく。(取材・文:神津明美 / Akemi Kohzu)