スタローン、シュワちゃん筋肉俳優勢揃い『エクスペンダブルズ』が2週連続全米1位! -8月23日版
全米ボックスオフィス考
先週から51.3パーセント下降したとはいえ1,697万ドル(約15億2,730万円)をたたき出してシルヴェスター・スタローン主演のアクション大作映画『エクスペンダブルズ』が2週連続ナンバーワンに輝いた。デビューから10日間で6,536万ドル(約58億8,240万円)を稼ぎ出した同作品は、スタローンの前作映画『ランボー 最後の戦場』よりも成績が良く、映画『ロッキー』シリーズ最後の作品となった映画『ロッキー・ザ・ファイナル』の興行収入にあと一歩まで迫っている。(1ドル90円計算)
ただ今週はチャート全体を見ると、新作が5本もトップ10にランクインしたというのに、そのどれもが不発に終わっており最高でも第2位で、興行収入も1,000万ドル(約9億円)台が中心と寂しい限り。クリスマスに次いで夏が稼ぎ時のハリウッドだが、今夏は全般的に見てパンチに欠ける新作が目立ち、今週に似たパターンが繰り返されており、ボックスオフィスは冷夏気味の大作シーズンという印象が強い。
今週の第2位は、映画『バンパイアーズ・サックス / Vampires Suck』(原題)で1,220万ドル(約10億9,800万円)の成績。『エクスペンダブルズ』の2週連続第1位を阻止できなかった新作の1本だが、映画『トワイライト』シリーズをはじめ最近流行のバンパイア映画をパロディー化したお笑い作品。配給会社20世紀フォックスの観客調査によると、週末映画を観に来ていた72パーセントの観客が21歳以下で55パーセントが女性客だったという結果だった。
第3位は、先週の第2位から47.6パーセント転落したジュリア・ロバーツの話題作映画『食べて、祈って、恋をして』で1,211万ドル(約10億8,990万円)の成績。去年夏に公開された類似ジャンル作品で、デビュー2週目の降下率を39.8パーセントにとどめたメリル・ストリープ主演映画『ジュリー&ジュリア』に比べると少々残念な結果といえる。
第4位は、初登場でこちらもコメディー映画『ロータリー・チケット / Lottery Ticket』(原題)で1,065万ドル(約9億5,850万円)の売り上げ。黒人キャスト中心のコメディー作品で、1,973館での上映という規模にしてはまずまずの成績といえる。
第3位から2ランク後退した今週の第5位は、映画『ジ・アザー・ガイズ / The Other Guys』(原題)で1,016万ドル(約9億1,440万円)。ウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグの刑事コメディーは、公開後17日目にして総計8,830万ドル(約79億4,700万円)という興行成績を上げて、現在も更新中である。
とにもかくにも今回のボックスオフィスは、トップ5に入っている新作もあるとはいえデビュー作品が見込み外れでほぼ総崩れという情けない状況。特に大々的にPRが行われていたジェニファー・アニストン主演のラブコメ映画『ザ・スイッチ / The Switch』(原題)、1970年代B級パニックホラー映画『ピラニア』の3D版、そして人気上々だった前作から一転して今回はコケてしまった現代版メリー・ポピンズ映画『ナニー・マクフィー・リターンズ / Nanny McPhee Returns』(原題)がどれもトップ5圏外というのは、スタジオにとってはかなり痛い結果といえる。
さて次回のチャート予想だが、まずは背筋が寒くなりそうな話題作が1本。映画『ホステル』では監督として、また映画『イングロリアス・バスターズ』では俳優としてもその名を知らしめたイーライ・ロスが製作・監修を務めた映画『ザ・ラスト・エクソシズム / The Last Exorcism』(原題)がチャート上位入りする可能性大。監督を務めるのは、スタジオ資本の劇場映画で監督を務めるのは初めてのダニエル・スタム。新人監督の手腕が楽しみだ。
そして、本来の大作シーズンだったらまずトップ5入りはしないであろう作品だが、来週のラインナップから見て、ひょっとすると上位入りしそうなのが映画『テイカーズ / Takers』(原題)。マット・ディロンが主役を務め、アナキン・スカイウォーカー役で有名なヘイデン・クリステンセン、映画『ワイルド・スピード』シリーズでおなじみのポール・ウォーカーが共演する銀行強盗もの。マット演じる刑事がヘイデンとポールらがふんする銀行強盗ギャングと対決するという筋書きだ。
果たして来週のハリウッドは、冷夏に終止符を打てるか!? (文・取材:アケミ・トスト/Akemi Tosto)