全米夏の大作シーズン開幕!浅野忠信出演の『マイティ・ソー』がナンバーワン! -5月9日版
全米ボックスオフィス考
アメリカでは通常、5月末にあるメモリアル・デー(戦没者追悼記念日)の連休を皮切りに夏の大作シーズンが幕開けとなるのだが、今年はマーベル・コミックの大作映画『マイティー・ソー』が公開され、週末ボックスオフィスで6,572万ドル(約52億5,760万円)をたたき出し全米第1位の座に輝いた。(1ドル80円計算)
5月6日(金)より3,955館にて全米ロードショーを開始したこの作品は、映画『ワイルド・スピードMEGA MAX』が先週打ち立てたデビュー収益記録8,620万ドル(約68億9,600万円)には及ばなかったものの、強敵の2週連続ナンバーワンは阻止することができた。
『マイティ・ソー』は、マーベル・コミックのヒーローの中でもスパイダーマンやハルクなどに比べると少々知名度に欠けている。だが、ソーも含むマーベル・ヒーローたちが一堂に会する2012年公開予定の大作映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』の存在を観客に印象付けるという意味では、今回十分にその役割を果たしたといえる。
同作品は2,737館という記録的な館数にて3D上映されており、60パーセントの興収が3D上映からのものであると報告されている。また、配給のパラマウント・ピクチャーズが発表した観客調査によると、作品を観に来ていた63パーセントが男性、そして72パーセントが25歳以上の観客だったという結果が発表されている。
映画『ワイルド・スピードMEGA MAX』は、先週のトップから62.4パーセント減で今週第2位に転落し、売り上げは3,245万ドル(約25億9,600万円)。先週244館で行われていた3D上映館が今週はたったの20館と、『マイティ・ソー』に大半の3D館を持っていかれてしまったことがかなりの痛手となっている。
ちなみに『ワイルド・スピードMEGA MAX』は、それまで2011年の興収キングだったアニメ映画『ランゴ』を追い抜き、日曜日時点では1億4,000万ドル(約112億円)という総合収益に達しており、今週は『マイティ・ソー』に一本取られたものの、最終的に国内総合収益の部分で勝つ可能性がかなり高い。
初登場第3位は、ラブコメ映画『ジャンピング・ザ・ブルーム(原題)/Jumping the Broom』で1,522万ドル(約12億1,760万円)の成績。地味なPR作戦に加えて女優アンジェラ・バセットを除いてはほとんどが一般映画ファンには知られていない顔ぶれというキャストから見ても、デビュー週末で第3位というのはアッパレである。
今週の全米チャートは第4位もラブコメ初登場で1,395万ドル(約11億1,600万円)の興収を上げた映画『サムシング・ボロウド(原題)/Something Borrowed』。第3位のラブコメ『ジャンピング・ザ・ブルーム(原題)/Jumping the Broom』が2,035館で公開され1,522万ドル(約12億1,760万円)を上げたのに対して、映画『サムシング・ボロウド(原題)/Something Borrowed』は公開館数が2,904なのに収益は下という残念な結果となっている。
トップ5の最後は映画『ブルー/初めての空へ』で850万ドル(約6億8,000万円)。先週から42.5パーセントの下降率だが公開から24日で1億1,520万ドル(約92億1,600万円)の収益を上げており健闘中である。
今週トップ5圏外の作品になるが前回チャート予想メル・ギブソン久々の主演作でジョディ・フォスター監督&共演の映画『ザ・ビーバー(原題)/The Beaver』をご紹介したが22館の限定公開にしても収益が10万7,600ドル(約860万8,000円)というかなり悲惨な成績となってしまった。今週末から限定公開を一般公開に切り替えるとのことだが大きな興収アップはありえないだろうというのが大方の予測である。世間を騒がせたメルのDV事件は、ただでさえ宗教や人種差別の問題発言で落ち目になっていた彼の人気にとどめを刺した形となっており、これからメルが元通りの人気を取り戻すのは難しいと見られている。
さて来週トップ5に登場しそうな新作だが、今週末封切られるウエディング・コメディー映画『ブライズメイズ(原題)/Bridesmaids』がトップ5入りする可能性ありだ。日本では無名だが、アメリカの人気お笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ」の人気のコメディエンヌたちが出演しており、女性客の入りが期待されている。
ウエディング・コメディーなんか見たくないというアクション・ファンには、映画『プリースト』が控えている。映画『レギオン』で主演を務めたポール・ベタニー演じる神父が、彼のめいをさらったバンパイアたち相手に壮絶な戦いを繰り広げるアクション・ホラーである。何も考えずにポップコーンをおいしく食べられる映画を観たい方におすすめだ。(文・取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)