K-POPアーティストたちはなぜ日本に進出する? その秘密をBoA、東方神起の仕掛人が激白!!
第24回東京国際映画祭
26日、現在開催中の第24回東京国際映画祭と並行して開催されている「ユニジャパン エンタテインメントフォーラム2011」内で、セミナー「K-POPの目指す世界戦略」が行われ、BoA、東方神起を育てたとされるプロデューサー・キム・キョンウク氏らが、韓国の国策とも言われているK-POPアーティストたちの海外進出におけるビジネスモデルについて語った。
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BoAをはじめBIGBANG、T-ARA、KARAや少女時代など、韓国のアーティストが日本のヒットチャートをにぎわすようになってから久しい。そんなK-POPアーティストたちの日本進出の背景には、最初からアジアを中心とした世界マーケットを目標にして、長期間にわたって行われる「人材育成」、さらに周到に行われる「マーケティング戦略」という両面を組み合わせたビジネスモデルがあると言われている。キム氏によると、世界で2番目に大きな音楽市場を持つという日本は、韓国にとっても大きなマーケットであると意識しているそうで、「日本と韓国、中国を合わせた人口は15億人くらい、インド、インドネシアなどを合わせると27億人くらい」と日本を含めたアジアマーケットの広さと開拓の必要性を強調した。
そして、かつて東方神起などを発掘してきたというキム氏は、「韓国でもっとも大きな問題だったのが、芸能人との専属契約でした」と切り出した。続けて「アーティストを育てるのは時間がかかります。彼らも最初はマネージャーやプロデューサーの言うことを聞いて練習を頑張るし、努力もします。しかし次第に有名になると、お酒を飲んだり、たばこを吸ったり、いろんなスキャンダルに巻き込まれる人も出てきます。アーティストが力を持つようになると、自分のカラーを出したいと反発するようになるんです」と指摘。その結果、事務所から独立したいアーティストと、彼らのレッスンなどに投資した資金を回収したいと考える事務所側とが対立するようになり、世間を騒がせる。「事務所を辞めたいという理由が、いわゆる奴隷契約のせいなのか、それとも単なる芸能人の(わがままによる)心変わりのせいなのか、という点がもっとも大きな問題でした」と振り返るキム氏だが、現在ではそんな状況を変えるべく、韓国政府の公正取引委員会が、芸能人の契約書のひな形を提示したのだという。これによって、国際的なビジネス展開を行う上で信頼度の高い、健全な契約を結べるようになり、海外進出がスムーズにいくようになったとキム氏は語る。
一方、日本のレコード会社はどのようにしてK-POPを売り出したのか。KARA、少女時代などを手掛けたユニバーサル ミュージック合同会社 ユニバーサルシグマ 制作本部第1制作部 部長の中村卓氏は、彼女たちが日本で受け入れられた理由として、「音楽自体に迷いがなく、パンチ力が強かったこと。そしてダンスのキャッチーさ。クオリティーが高いのと同時に、頑張れば一般の人でも真似できるのも理由だと思います」と独自の分析を披露。「あとは韓国の方たちが日本語を話すと、じぇんじぇんとか、あちゅいとか、とても響きがかわいくなる。それが異性にとってグッとくる大きなポイントだったのではないかと思います」と付け加えた。
K-POPアーティストたちの日本進出に対しては、ときとして賛否両論の声があがることもある。今回のセミナーでは、そんな彼らの世界戦略の一端が当事者たちの口から明かされるということもあって、参加者たちは貴重な話に熱心に耳を傾けていた。(取材・文:壬生智裕)
第24回東京国際映画祭は10月30日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内の各劇場などで開催中