アカデミー賞の行方を占うゴールデン・グローブ賞候補 アカデミー賞候補との相違は?
第84回アカデミー賞
「アカデミー賞の一般ピープル向け版」などという、いささか軽んじられた異名をとっているゴールデン・グローブ賞だが、アカデミー賞を占う重要なカギとなることは周知の事実だ。第69回ゴールデン・グローブ賞は12月15日(現地時間)にノミネートが発表され、新年1月15日(現地時間)に受賞作品・人物が発表される。それにともなって米著名映画関係サイトが候補作品の予想をしはじめた。老舗のロサンゼルス・タイムズ紙の映画専門家グレン・ウィップ氏の選んだ候補予想を作品賞を中心にかいつまんで紹介すると、『戦火の馬』『ファミリー・ツリー』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』『ジ・アイズ・オブ・マーチ(原題)/ The Ides Of March』『ドラゴン・タトゥーの女』『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ(原題)/Tinker Tailor Soldier Spy』『J・エドガー』『ヒューゴの不思議な発明』『マネーボール』の10本だ。
この10本の予想リストは、ほかのサイトの予想リストと比較してみても共通点も多く、渋めどころの白黒サイレント映画『ジ・アーティスト(原題)/ The Artist』やテレンス・マリック監督作品『ツリー・オブ・ライフ』などは入っておらず、アカデミー予想と比べるとやはりメジャー路線を行っている。『ジ・アーティスト(原題)/ The Artist』は白黒作品で登場人物がまったくしゃべらないという実験的な映画だ。フランスのミシェル・アザナヴィシウス監督がメガホンをとっており、ニューヨーク批評家協会賞では同作品で監督賞を受賞しており、アカデミー賞に一番近い作品とも言われている。『ツリー・オブ・ライフ』はテレンス・マリック監督が、ブラッド・ピットとショーン・ペンというハリウッドの2大スターを迎えて描いた家族の物語だが、人生の根源的な意味への問い掛けが、やがて人類への問いかけにまで及び恐竜や人類の進化まで描かれ始めるという展開は、人によっては完全においてきぼりを食う実験的映画だ。
興味深いのは、ほかのサイトが行ったゴールデン・グローブ賞候補予想でも映画『ジ・アーティスト』の名前が見つからないことだ。この作品はアメリカで撮影されたとはいえフランス資本の映画である。『ジ・アーティスト』は大穴となるのか? ノミネーションの発表が待たれる。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)