日本の映画業界、来年以降は洋画が盛り返すか?カンヌマーケットで日本バイヤーの買い動きが爆発!
第65回カンヌ国際映画祭
現地時間25日、約10日間にわたる第65回カンヌ国際映画祭のマーケットが終了する。今年のカンヌは例年にない大雨、強風、寒さに襲われ、映画を売買する業界人は、かつてない疲労を味わったうことになったようだが、マーケットでは日本人バイヤーたちの動きが活発だった。
ジョニー・トー製作の刑事アクション『モーターウェイ(英題) / Motorway』を株式会社クロック・ワークス、西田敏行ら豪華日本人キャストが出演する、太平洋戦争終結後の日本が舞台のハリウッド映画『エンペラー(原題) / Emperor』は松竹株式会社、さらにレオス・カラックス監督の新作『ホーリー・モータース(英題) / Holy Motors』をユーロスペースが購入。現地の業界誌などからは、日本の配給会社が洋画を購入したというニュースが連日配信されていた。
また、今年の日本のバイヤーは、マーケットが始まる前から、プリバイ(作品が完成する前に購入を希望する)を精力的に行っていたようだ。マーケットの前半戦、ハリウッドスターが出ている中規模作品については、すでに日本のバイヤーが購入を決めていたケースが多々あった。ここ数年、日本では邦画が好調で、若い観客の洋画離れが加速したこともあり、日本の配給会社やバイヤーは映画マーケットで買い控えをしていたようだが、今回のカンヌで、過去数回のマーケットや映画祭などで目をつけていた作品の契約が爆発する結果になったと見られる。
一方、日本映画の売りに関しては、ここ近年にないほどの低調さを見せている。中国や香港、台湾のアクション映画や3Dアニメ映画などに押され、日本の中規模ドラマなどの需要は低かった。今年の映画祭で日本映画の出品が少なかったことも、海外における日本映画の注目度の低さを表しているのかもしれない。
また、タイのエロティック映画『ジャン・ダラ(英題) / Jan Dara』が初お披露目された途端、マーケットで世界数か国との契約が決まったことも現地ニュースになっていた。さらに、タイのロイヤルファミリーもカンヌに参加して大規模なパーティーを開催。これまで厳しかった、タイの映像業界に対する性描写に対する検閲が少しずつ緩くなってきたこともあり、東南アジアの映画産業が世界規模に力をつけてきていることが、今年のカンヌで顕著になったことの一つであろう。(記者:高松美由紀)