苦情が殺到した『テッド』のセス司会のアカデミー賞、視聴率と世論は比例せず
第85回アカデミー賞
第85回アカデミー賞授賞式は、視聴率と世論は必ずしも比例するものではないということを示す興味深い結果で終わった。
全米で約4,030万人が視聴し、3年ぶりに4,000万人の大台を突破した第85回アカデミー賞授賞式。一方で、司会を務めたセス・マクファーレンが飛ばした人種や性に対する辛口ジョークには、一般視聴者はもちろん、人権団体からも抗議や苦情が多数寄せられ、セスのジョークが広くは受け入れられなかったことが明らかになっている。
例えば、NYTimes.comによると、アカデミー会員で、授賞式のプロデューサーを務めたニール・メロン、クレイグ・ゼイダンと旧友でもあるローレンス・ターマンは、「自分はリベラルな考えの持ち主だと自負しているが、そんなわたしでも、正直に言って顔をしかめた」とコメント。特にリンカーン暗殺に関するセスのジョークが受け入れられなかったことを明かしている。
しかし一方のニールとクレイグは「アカデミー賞は創作の自由を祝うイベント。内容に関して後悔の念はない」と胸を張っているという。それもそのはず、視聴率は大幅なアップを記録し、テレビコマーシャルのターゲット層とされる18歳から34歳までを対象にした視聴率では、前年比20%増を記録したことが発表されている。
今年の授賞式中のコマーシャルには、30秒で165万ドル(約1億4,850万円 1ドル90円計算)から180万ドル(約1億6,200万円)の値が付けられていた。これは、2008年の170万ドル(約1億5,300万円)と並ぶ高値だったが、全ての枠がソールドアウトに。アカデミーにとっても間接的な利益につながるうれしい結果となっていた。
司会を務めたセスは、「僕のネコいわく、良い出来だったって」とツイートしたものの、「今回は、とても楽しかったけど、来年は、ノーだね」と司会続投の意思はないことを明かしている。(文・ロス取材:明美・トスト / Akemi Tosto)
「第85回アカデミー賞授賞式ダイジェスト」は3月3日(日)午後4時20分よりWOWOWプライムにて放送