インディペンデント映画を守れ!おバカ映画専門会社トロマがカンヌで大暴れ!
第66回カンヌ国際映画祭
華やかに開幕した映画祭で沸くカンヌの地に、緑色のペイントを施した集団が突如出現、「インディペンデント映画のために戦おう!」と拡声器で叫び、映画祭のメイン会場であるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ前を練り歩いた。
トロマの代表作!映画『悪魔の毒々モンスター』フォトギャラリー
彼らの正体はトロマ・エンターテインメント。アメリカインディーズ界の巨匠ロイド・カウフマンが設立し、低予算の独立系作品に特化した映画を発表し続ける製作会社だ。とにかくくだらなくておバカな内容ながら、鋭い社会的なテーマを織り交ぜた作風は一部に熱狂的なファンを持ち、1984年の代表作『悪魔の毒々モンスター』は、現在何とアーノルド・シュワルツェネッガー主演によるリメイク企画が進行している。
「アメリカだけの問題じゃないかもしれないけれど、映画界は今や金を持っているテレビ会社や、大手の配給会社ばかりが台頭している」という彼らは、「ヤツらが作るのはジャンクフードのような映画ばかりさ。僕らはインディペンデント映画を存続させようと思って、カンヌに来ている人々に向けてこういう活動を毎年続けているんだ」と過激なパフォーマンスの理由を語る。
どんなにいい映画を作っても、大きな看板や、テレビの広告枠を買って宣伝することはできない。そんな低予算映画の数々を応援したいという彼らの信念は熱い。「最近の映画界にはとても危機感を持っているよ。どの映画も、3D映像や技術を駆使してばかりで中身がない作品ばかり。日本もそうじゃないのかな? それに(映画祭の)オープニングで上映した『華麗なるギャッツビー』もそうだけど、リメイクや小説を映画化したものじゃなく、オリジナルの映画がもっと世に出てきてほしい」と訴えた。
ネットを通じて支援者からの寄付を募る、クラウドファウンディングで集めた資金を元手にカンヌを訪問したという彼らは、映画祭のマーケットで最新作をアピールしているとのこと。「日本の配給会社と取引きできるよう願っていて!」と日本のトロマファンにメッセージを送っていた。(編集部・森田真帆)