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小津安二郎『彼岸花』&中村登『夜の片鱗』がベネチアで上映!若者を中心に大盛況

第70回ベネチア国際映画祭

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若者を中心に大盛況!
若者を中心に大盛況!

 第70回ベネチア国際映画祭クラシック部門で、小津安二郎監督作『彼岸花』(1958)のデジタルリマスター版と中村登監督作『夜の片鱗』(1964)のニュープリント版がそれぞれワールドプレミア上映された。会場はいずれも満席となる人気ぶりで、客層は両監督作に初めて触れるという若者が中心だった。

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 『彼岸花』は、小津監督が今年で生誕110年・没後50年になることを記念して、松竹と東京国立近代美術館フィルムセンターが共同でデジタル修復作業を行ったカラー4作品の中の1本。本年度のベルリン国際映画祭で『東京物語』(1953)、カンヌ国際映画祭で遺作『秋刀魚の味』(1962)が上映されたのに続き、小津監督にとって最初のカラー作品である『彼岸花』がベネチアでお披露目となった。

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 上映前、配給の松竹映像本部映像ライツ部の森口和則部長が舞台あいさつを行い、小津作品の特徴である「赤」について解説。「“小津の赤”は皆さんが想像する赤とは異なります。『彼岸花』の撮影助手で、今回の画像修復を担当した撮影監督・川又昂氏によると、理想とした赤はこの色だそうです」と赤青2色鉛筆を取り出して見せた。

 また、小津監督が残した言葉として「何でもないことは流行に従う、重大なことは道徳に従う、芸術のことは自分に従う」と読み上げると、観客から笑いと感嘆の声が沸き起こる一幕も。森口氏の巧みな前説もあって、上映中は小津作品の小気味良いセリフの応酬に会場からは何度も笑い声が起こり、上映後は天国の巨匠にささげるかのような大拍手に包まれた。

 一方、『夜の片鱗』のニュープリント版は、中村監督の生誕100年の特集上映を行う映画祭「第14回東京フィルメックス」のサポートで製作された。ここでも森口氏は前説を行い、街中で隠し撮りをするはずが、中村監督が「よーい、スタート!」と大声を発したことから周囲に気付かれてしまったという、巨匠の愛らしい一面を披露し観客の笑いを誘っていた。

 この2作品に加え、今年のクラシック部門では大島渚監督の代表作『戦場のメリークリスマス』も上映された。改めて当時の日本映画界の層の厚さを世界に印象付けたといえそうだ。(取材・文:中山治美)

第70回ベネチア国際映画祭は現地時間9月7日まで開催
『彼岸花』デジタルリマスター版は、東京・神保町シアターで開催される「生誕110年・没後50年記念 映画監督・小津安二郎」(11月23日~2014年1月13日)の中で上映
『夜の片鱗』ニュープリント版は、第14回東京フィルメックス(11月23日から12月1日)の「特集上映:生誕100年 中村登」の中で上映

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