カンバーバッチ、早くも今年のオスカー有力候補か
第39回トロント国際映画祭
ベネディクト・カンバーバッチ主演の映画『ジ・イミテーション・ゲーム(原題) / The Imitation Game』が第39回トロント国際映画祭で上映され、さっそく主演のカンバーバッチがオスカーにノミネートされるのでは、といううわさが立ち始めている。
今作で彼は、実在のイギリス人、アラン・チューリングを演じている。チューリングは、第二次世界大戦時にドイツの暗号を解読し、イギリスを勝利に導いた天才数学者。英雄であることは間違いないのだが、彼がホモセクシャルだったために、ほとんどの教科書には明記されておらず、一般的にはあまり知られていないのだ。今回の役について質問されたカンバーバッチは、「こんな素晴らしいヒーローがゲイだからという理由で紹介されていないことに怒りを覚えた」と答えていた。
トロントで行われた記者会見においては、シャーロック・ホームズにスティーヴン・ホーキング、ジュリアン・アサンジ、そして今回のチューリングとなぜ天才ばかりを演じるのか? という質問があり、「うーんと、それは監督や友達に聞いてほしい。もちろんすごくうれしいし、僕はそういう役を演じられてラッキーだと思っているんだ。実はその質問をいつもされるから、もう答えるのにも疲れているんだけど」と苦笑した。
作品が良いばかりか、カンバーバッチの演技が素晴らしく、ニューヨークポスト紙をはじめ、各メディアはカンバーバッチがオスカーにノミネートされるのではと書き立てている。実際、トロント映画祭は、オスカーの前哨戦が始まる場所として知られており、その可能性はなきにしもあらずだ。
一般客のためのプレミア上映で行われたQ&Aは、「あなたのおいしさを味わわせてください」とお願いするファンが出るほどの熱気。カンバーバッチは丁重にお断りしていたが、今年はさらなるカンバーバッチ旋風が吹き荒れるかもしれない。(取材・文:中村明美)
第39回トロント国際映画祭は14日まで開催