釜山映画祭オープニング作品会見に名作『モンガに散る』監督&主演コンビ登壇
第19回釜山国際映画祭
第19回釜山国際映画祭(BIFF)のオープニング作品『パラダイス・イン・サービス(原題)/ Paradise in Service』の記者会見が2日に開かれ、『モンガに散る』の主演俳優イーサン・ルアンらメイン・キャストと監督が登壇した。今年のBIFFには、79の国と地域から314本の映画が出品されている。
『モンガに散る』のニウ・チェンザー監督とイーサン・ルアンが再タッグを果たした今作は、かつて台湾・金門島に実在した、国民党軍の慰安所をモチーフにした群像劇。イーサン演じる「831部隊」で慰安婦の世話係となった主人公が、男たちの純情やさまざまな事情を抱えた女たちの悲哀を見つめていく。製作総指揮を、台湾の巨匠ホウ・シャオシェンが務めている。
ニウ監督は、「開幕作品に選ばれたことは、苦労をかけたスタッフへの最高のねぎらいとなるでしょう」と喜びを語りつつ、「けれどわたしには格別の感慨があります」と自身のキャリアを述懐。さらに「歴史に翻弄(ほんろう)されてきた中華民族と韓国の方々は今作で描かれる痛み、登場人物たちの思いを共有できると思います」と続けた。
また監督は、エンディングに登場する兵士と慰安婦の3組のカップルの写真について、「幸せな人生、幸せな未来を願う気持ちの表れですね。生きづらい世の中を生きる、現代の人々への自分なりのプレゼントかもしれません」と語り、コワモテの下に秘めた登場人物たちへの優しい視線を覗かせた。
清純派のイメージを一新するセクシーな演技で新境地を開いたアイビー・チェンとワン・チエン、そしてチェン・ジェンビンが、会見の前日に発表された第51回金馬奨(台湾のアカデミー賞)の助演女優・男優賞にそろってノミネート。興奮を隠しきれないアイビーは「物語や役の設定上、肌の露出は必要不可欠。下着姿の演技にも抵抗はありませんでしたし、監督の演出に応えたいと思って必死に頑張りました」と笑顔で振り返った。(取材・文:柴田メグミ)