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今年のアカデミー賞の行方を占う

第87回アカデミー賞

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作品賞最有力といわれている『6才のボクが、大人になるまで。』だったが……
作品賞最有力といわれている『6才のボクが、大人になるまで。』だったが…… - (C) 2014 boyhood inc. / ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

 昨年末から繰り広げられてきた全米の賞レースも、いよいよ大詰め。クライマックスとなる米アカデミー賞の発表があと十数時間後にされる。果たして今年は、どの作品が栄冠に輝くのか?

 前哨戦の中でもっとも注目度が高いゴールデン・グローブ賞は、ドラマ部門で『6才のボクが、大人になるまで。』が、ミュージカル/コメディ部門は『グランド・ブダペスト・ホテル』が、それぞれ作品賞を受賞し、アカデミー賞に向けて前進。とりわけ前者はゴールデン・グローブ賞までの映画賞でも結果を出し、一時は最有力候補とも言われた。が、この後潮流が変化する。全米製作者組合賞と全米監督組合賞は、いずれも『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を支持したのだ。この二つの賞は、過去の傾向からもアカデミー賞の作品賞とリンク率が極めて高いので、同作がもっとも受賞に近い作品とみてよいだろう。

 下馬評の流れがゴールデン・グローブ賞の発表を境にして変わるのは珍しいことではない。近年でも2009年の『アバター』、2010年の『ソーシャル・ネットワーク』がゴールデン・グローブ賞を制してアカデミー賞でも本命視されたが、潮流の変化に逆らえずに受賞を逃した。なぜ、ここで流れが変わるのか?

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 そもそもゴールデン・グローブ賞までの賞レース前半戦は、マスコミや批評家が選出する映画賞がメイン。それが後半戦に突入すると、ハリウッドで実際に映画作りにかかわっている人々が選んだ賞が主体になる。アカデミー賞に投票するアカデミー会員もハリウッドの映画人なので、それらの投票者が含まれる。全米製作者組合賞と全米監督組合もしかりで、アカデミー賞に直結するのも必然的と言えるだろう。

バードマン
前哨戦以後、潮流はこちらに……『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』-(C) 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

 その他の主要部門についても言及しておこう。作品賞とリンクしやすい監督賞は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・G・イニャリトゥが最有力だが、昨年のアルフォンソ・キュアロンに続いてのメキシコ人監督の受賞が敬遠された場合は、『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイターにも受賞の可能性が出てくる。俳優部門は賞レース期間中どの部門も比較的安定しており、主演男優賞のエディ・レッドメイン、主演女優賞のジュリアン・ムーア、助演男優賞のJ・K・シモンズ、助演女優賞のパトリシア・アークエットは、いずれも下馬評どおり本命視。ただし、勢いのある『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の出演者たちにも逆転の可能性がありそうだ。(相馬学)

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