カンヌある視点部門監督賞・黒沢清、深津絵里&浅野忠信に「最大の感謝を」
第68回カンヌ国際映画祭
映画『岸辺の旅』で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の監督賞に日本人として初めて輝いた黒沢清監督が現地時間22日、授賞式後に取材に応じ、主演の深津絵里&浅野忠信に「最大の感謝をささげたい」と語った。
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『岸辺の旅』は、湯本香樹実の小説を原作に、死んだ夫と旅をする妻の姿を描いたラブストーリー。本作を観たフランスのジャーナリストから「新鮮な驚きを感じた」と言われたという黒沢監督は、「これまで僕の映画はある事件を描くことが主眼だったのですが、今回初めて人生を描けたかなと。“こういう事件が起こった”というのではなく、ただ“こういう二人の人生があった”ということが初めて映画にできたのかな、と今は思っています」と分析する。
妻と死んだ夫という夫婦を演じた深津と浅野には「ありがとうございました、という一言ですね」。「お二人の力があったから“人生”を描くことができたのだと思うので、最大の感謝をささげたい」と感謝の言葉を惜しまなかった。
同部門の審査員長イザベラ・ロッセリーニからも授賞式後、「母(女優のイングリッド・バーグマンさん)は随分前に亡くなったのですが、今でも彼女がいつもそばに居るような気がしているんです。それは自分だけの特殊な経験なのかと思っていたので、あなたの映画を観て驚きました」と声を掛けられたという。黒沢監督は国を越えて作品が届いたことに感銘を受けている様子だった。
また、7年前に『トウキョウソナタ』が同部門に出品された際は夫人が病気だったためカンヌに一人で赴き日本にとんぼ返りし、審査員賞を受賞したものの授賞式には出席できなかった黒沢監督。「今日、会場でびっくりしました。『え、こんなに華やか、というか大げさなセレモニーなの』って(笑)。面食らって緊張しました。こういう授賞式の場に妻と来られてよかったです」と少し照れくさそうに口にしていた。(編集部・市川遥)
第68回カンヌ国際映画祭は24日まで開催
映画『岸辺の旅』は10月1日よりテアトル新宿ほか全国公開