『バケモノの子』細田守監督がトロントでサイン攻め!感激のあまり泣き出しそうなファンも
第40回トロント国際映画祭
映画『バケモノの子』のインターナショナルプレミアが現地時間13日、カナダで開催中の第40回トロント国際映画祭で行われ、細田守監督が出席。Q&Aを終えてロビーに出ると『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』など過去作のDVDやチラシを持ったトロントのファンが殺到した。監督は小さな子供から大人までその一人一人にキャラクターの絵を書くなど丁寧に対応し、若い女性の2人組は「夢がかなった! 信じられない」とほとんど泣き出しそうな顔で感激していた。
『バケモノの子』は、細田監督3年ぶりの新作にして最大のヒット作となっているオリジナルアニメーション。人間界とバケモノ界が存在するパラレルワールドを舞台に、奇妙な師弟関係を結んだ孤独な少年・九太とバケモノ・熊徹の修行と冒険の日々が描かれる。
上映中は九太と行動を共にする不思議な小動物が登場するたびにそのかわいさに声が上がっていただけあって、現地の観客とのQ&Aでは真っ先に「あの白くて愛らしい丸い生き物は何なのですか??」と男性が質問すると、細田監督は「何なのでしょうね?(笑) 人によっては(九太の)お母さんの生まれ変わりに見えるようですよ」と笑顔で回答。
これまでの作品では現実ではない世界を描くための記号として「赤いアウトライン」を使っていたが、本作ではそうでないことについてコアなファンから聞かれると、「その通りで、この映画ではバケモノたちの世界がシーンとして長いのでどうしようかと考えたんです。世界を分けるべきか、分けないべきか。人間の世界とバケモノの世界の両方で成長していくという連続性を考えてあえて一緒にしました。日本画には、神様を描くときに赤いアウトライン使って分けるという伝統があるんです。そういった意味でバケモノたちを赤いラインにする意味はあったのですが、それよりも映画的なテーマを優先しました」と説明した。
また、熊徹と、同じくバケモノの猪王山の戦いでは「刃物で戦わないようにしたいなと思ったんです。死んじゃうかもしれない、という戦いにしないようにするために、わざわざ刀をさやの中に入れて戦うんです」と細田監督。「この作品の戦いというのは、お互いが憎しみ合って戦うんじゃなくて、神様たちの神事っていうのかな。お祭りなんです。日本のお相撲が、どっちが強いかを確かめる勝負じゃなくて神様にささげるお祭りとしてあるように、それと同じようにしたいと思ったんです」と日本の文化を紹介しながら作品を解説した。
小さな女の子からの「熊徹が熊なんだけどおおかみに見えるのはなぜですか?」というかわいい質問に、細田監督が「ああ、そうか~。でも熊のつもりで描いているんだけどな(笑)。前作のイメージを引っ張ってしまったのかもしれない。熊は優しいイメージが一般的にあるんだけど、それをもっと強くて怖く描いてみたかった。そうするとちょっとおおかみっぽくなっちゃったんじゃないかな」と応じると会場は大笑い。なお、彼女は「熊はそうでもないがおおかみは好き」だといい、熊徹は気に入ったという言葉に細田監督は笑顔で胸をなで下ろしていた。(編集部・市川遥)
映画『バケモノの子』は公開中
第40回トロント国際映画祭は現地時間20日まで開催