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全身がんの樹木希林、生も死も成り行き

第28回東京国際映画祭

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『わが母の記』上映に出席した樹木希林と原田眞人監督
『わが母の記』上映に出席した樹木希林と原田眞人監督

 女優・樹木希林原田眞人監督が26日、第28回東京国際映画祭「Japan Now」部門の特集上映「原田眞人の世界」の1作、『わが母の記』のQ&Aセッションに登壇。会場の東京・新宿ピカデリーの観客を前に樹木は、出演を引き受けた際のエピソードや、自身の死生観などを語った。

 本作は、「天平の甍」などで知られる文豪・井上靖の自伝的小説が原作。母親との断絶を埋めようとする小説家・伊上(役所広司)と、老いて記憶が消え行きつつある母との強い愛を描く。樹木は伊上の実母・八重を演じた。

 「最初は(自分の役は)八重さんじゃなくて、撮影もすぐ終わると思っていたんです」と話し始めた樹木。その後、原田監督が役を代えたいと言い出したときは「断ろうと思った」というが、「撮影を井上(靖)さんの旧ご自宅でやると聞きまして、すぐ『やります』と返事したんです」と振り返る。「そこに住んだ人の思いが見えるお宅を見るのが好きで。井上宅は撮影のために取り壊しを待ってもらっていたんです。あの立派なお宅が撮影後、すぐに取り壊されてしまったのを見て、時の中で物事はこうなるのかと、自分の収穫になりました」

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 一方、この発言に原田監督は「それは僕の記憶と違う」と対応。「樹木さんは、代えたいと言った次に会ったとき、もう八重さんの役に入っていた」と振り返り、「お互いに、八重さんみたいに記憶が曖昧になってきている」と笑いを誘った。

 またこの日は観客から樹木に、「なぜ、死を上手に演じられるのか?」という質問が投げ掛けられる場面も。「生も死も、わたしには境がないからでしょう」という樹木が、「がんを抱えていますし、生も死も成り行きと思って、劇的には演じられないんです」と答えると、会場からは大きな拍手が起こった。樹木は2013年に全身がんだと明かしていた。(取材/岸田智)

第28回東京国際映画祭は10月31日までTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて開催中

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