ヒトラーにポストカードで立ち向かう夫婦…エマ・トンプソン&ダニエル・ブリュール出演作とは?
第66回ベルリン国際映画祭
現地時間15日、第66回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出されている映画『アローン・イン・ベルリン(原題) / Alone in Berlin』のエマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ヴァンサン・ペレーズ監督らが会見を行った。
原作は、身内の戦死をきっかけに、ポストカードでナチスドイツへの体制批判を始めたハンペル夫妻の実話を基にした小説「ベルリンに一人死す」(ハンス・ファラダ著)。喪失感を埋めるように「戦争反対」「ヒトラーは悪」などと書いたポストカードを人知れず公共の場に置いて回る夫婦を、エマとブレンダンが年輪を感じさせる演技で見せる。
それを追う刑事役がダニエル。ナチス親衛隊との板ばさみで苦しい立場に追いつめられ、当時の息苦しい雰囲気を伝える。ダニエルは「現代にも関連する問題だと思います。人種差別やファシズムはまだ人々を毒しています」と語った。
悪口を書いた紙をこっそり置いて回るという軽微な犯罪が、当時は見つかれば重罪となる命がけの行為だ。悲劇的とも思える結末について、エマは「この結末は、どう死ぬかについてでもあります。わたしは満足感を持って、と言えばスマートですが、安らかに死にたいと思います。結末が死なのは完璧だと思います」と最後のシーンで見せる落ち着きを物語るような解釈を示した。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
第66回ベルリン国際映画祭は2月21日まで開催