がんから復活!ソウル歌手シャロン・ジョーンズ、回復後ライブの不安を激白
1960年代~70年代のブラック・ミュージックを再現するソウル歌手シャロン・ジョーンズが、自身を題材にしたドキュメンタリー映画『ミス・シャロン・ジョーンズ!(原題) / Miss Sharon Jones!』について、バーバラ・コップル監督と共に7月26日(現地時間)ニューヨークのアップルストアで行われたイベントで語った。
【場面写真】バーバラ・コップル監督『MY GENERATION』
ブルックリンに拠点を置くソウル・アンサンブルグループ「ザ・ダップ・キングス」のボーカルを務めるシャロン・ジョーンズは、2013年に胆管がんとすい臓がんが発覚したものの、強い意志でパフォーマンスを続けていたが、体力的な限界から一度は入院する。だが、化学療法を受けて奇跡的な回復を遂げ、彼女は再びステージに立つ。
撮影初日は、シャロンががん治療のために頭をそった日だった。「撮影カメラが来ることは事前に知らされていて、バーバラはカメラの後ろに居たけれど、わたしが感じていた当時の悲しみをくみ取って撮影していたわ」とシャロンが答えると、バーバラは「彼女はあの日、ユーモアのセンスも同時に見せてくれた。彼女が頭をそってから、さまざまなカツラを試して冗談交じりにかぶっている姿を見て、わたしたち撮影スタッフは笑いをこらえるのが大変だったの」と笑顔で答えた。
ニューヨークのビーコン・シアターで行われたカムバックライブについて、シャロンは「何か月にもわたり化学療法を受けて、身体中にさまざまな変化が起きていたの。実際に舞台裏に立って準備していたとき、全く違った姿になった自分に自信がなくて、体が疲れてしまって、座り込むかもとか、パフォーマンスを進められないかもとか思って緊張していた。もともと健康的な時も緊張気味だけれど、あの夜の緊張は全く異なっていたわ。なぜなら化学療法を受けると、忘れることが多くなったりして、新しい曲の歌詞を忘れるかもと不安に思ったの」と振り返った。
アーティストとしてどのような伝説を残したいのか、との質問にシャロンは「時間をかけて、一生懸命仕事を続ける必要がある。近年の若いアーティストたちは、わずか1、2年でミリオン歌手としてスターになるけれど、彼らの多くは、その後何をして良いのかわかっていない。でも一生懸命仕事を続けていると、全てに感謝することができ、(ヒットすることが)当然だとも思わなくなる。最終的には、アーティストは人々に(能力を)認めてほしいだけ」と語った。彼女の圧倒的な声量は多くの人を魅了した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)