佐々木蔵之介と深田恭子の人生最大のピンチって?
映画『超高速!参勤交代』のスタッフ&キャストが再結集した続編『超高速!参勤交代 リターンズ』に出演した佐々木蔵之介と深田恭子が、これまでの人生で最も大きなピンチをいかに切り抜けたかを語った。
本作は、金も時間も人手もない弱小貧乏藩の藩士たちが、幕府から突然命じられた参勤交代を成功させようとあの手この手の作戦で奮闘するさまを描く。
藩主・内藤政醇を演じた佐々木は、しばらく考えてから「僕自身はピンチというか……岐路に立たされたことは何度もありましたよ。まずは家業を継がず、この仕事をやるかどうか決めたとき。なんの展望もないなかでの決断でしたけど」とデビュー当時を振り返る。京都の造り酒屋である家業を継ぐためにまずは会社員をしていた佐々木が、俳優という仕事を選んだことは「ある意味、平常心ではなかったと思うんです」と冷静に分析。当然ながら親も反対するし、自分が親でも反対するだろうが、「すべてをわかった上で選んだわけで、責任のすべては自分にある。そしてその責任はキチンと果たさなければいけない」という姿勢で俳優という仕事と向き合ってきたと告白する。
平常心を覆すほどの芝居への想いがあったのか尋ねると「いや『まだ終わらせたくなかった』という程度です。だからいまだに『まだ終わらせたくない』状況が続いている」というから、それは静かに燃えるタイプの「熱」のようだ。そう語る姿は、映画のなかで明るく楽しく、お人よしである政醇とは違うように思える。しかし「この仕事、自分には向いてないなあと思うこともしょっちゅうですが、他の俳優さんを見て、その才能をうらやましがってはいけないと思うんです。自分にはきっと、自分にしかない力があるのだから」と俳優としての矜持を見せるさまは、殿の威厳と重なった。
一方の深田は、人生最大のピンチについて「新しい役をいただく度に自分に出来るかな? と毎回思うんです」と打ち明ける。年齢を重ねるごとに女優としての新しい魅力を切り開いているように見えるが、「最初に台本を読んだときは遠い存在だった役柄が何度も読むうちに近いものになって。そうして撮り終えても作品が完成するまでは、本当に大丈夫だったのかと不安で。私にとってはそれがいつでも『人生最大のピンチ』です」と語った。
20年ほどのキャリアのなかで様々な役を務めても、役作りの方法論が固まったり慣れたりすることはないという深田は「お芝居に関しては、経験や知識が積み重なるわけではないのかなと思うんですよね」と苦笑い。ある意味で不器用なこの向き合い方こそが、いつでも彼女から女優としてのフレッシュな魅力を引き出しているようだ。(取材・文/浅見祥子)
映画『超高速!参勤交代 リターンズ』は全国公開中