婦女暴行罪で16歳のとき逮捕…有罪判決覆るも…真実を追うドキュメンタリー
Netflixドキュメンタリー「殺人者への道」で取り上げられたスティーヴン・エイブリーのおい、ブレンダン・ダッシーの有罪判決が覆された件で、ウィスコンシン州検事総長が不服申し立てをしたと The New York Times などが報じた。
同シリーズは今年のエミー賞で6部門でノミネートされ、最優秀ドキュメンタリー番組を含む4部門で受賞。クローズアップされているのは、1985年に身に覚えのない婦女暴行罪で有罪判決を受け18年間服役した後、DNA検査で無実であることが判明し、2003年に釈放されたスティーヴン・エイブリー。彼はその2年後に新たな殺人事件の第一容疑者となり、有罪判決を受けている。映像では、彼の家族の言葉や突然主張を翻した彼のおいブレンダンの裁判、検察による職権乱用、証拠改ざん、証言の強要などが映し出され、えん罪か否かという物議をいまだに醸し続けている作品だ。
当時16歳のブレンダンはスティーヴンの共犯者として警察に尋問されたが、ドキュメンタリーで公開されたビデオ映像には、未成年であるにもかかわらず、親も弁護士も同席させずに警察が尋問し、証言を強要している様子が映っていた。
ブレンダンはすでに10年を刑務所で過ごしており、90日以内にウィスコンシン州が再審手続きを開始しなければ、釈放されることになっていた。しかし、今回の上訴より、決着がつくまでブレンダンは刑務所内で過ごさなければならないという。
州検事総長ブラッド・シメルは「証言は強要されたと判断し、有罪判決を覆した裁判官の事実判断および法の判断は間違っている」とし、問題とされた警察の尋問の仕方も憲法上容認できない手法ではなかったとしている。
殺されたテレサ・ハルバックさんの家族は不服申し立てをすることを知らされており、州が今後もテレサさんのために正義を追及し続けることを心からサポートしているとシメル氏はコメント。Netflixは、「殺人者への道」の新エピソードを製作することを7月に発表している。(澤田理沙)