綾野剛、妻夫木聡との共同生活は「愛おしい時間」
俳優の綾野剛と妻夫木聡が14日、都内で行われた映画『怒り』のジャパンプレミアに出席。本作で2人は同性の恋人同士を演じ、撮影前から共同生活を送るなどして仲良く役づくりに励んだそうで、綾野が「妻夫木さんとの生活はとても愛おしい時間でした」としみじみコメントすると、会場からクスクスと笑い声が起こるも、これを「ん?」と一蹴し、「スタートから2人で役づくりし、マイノリティーとして生きた時間は素晴らしかったです」と感想を述べた。
本作は『さよなら渓谷』などの原作者・吉田修一のミステリー小説を映画化。現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉・東京・沖縄を舞台に、そこに現れた謎の男の存在から生まれる3つのストーリーを紡いだ群像劇。壇上には主演の渡辺謙をはじめ、森山未來、松山ケンイチ、宮崎あおい、広瀬すず、そして本作のメガホンをとった李相日監督も登場した。
試写をすでに観終えた綾野は「こんなに体温があって、愛おしい涙を流したのは何年ぶりかと思います。それを皆さんとこれから共有できるのが嬉しい」と感慨深げ。綾野は東京編で突然現れた住所不定の男・大西直人を演じているが、「(劇中)直人がああして存在できたのは妻夫木さんのおかげ。過言ではなく、心からそう思います」と感謝を伝える。
妻夫木も、綾野のキャラクターと同居するエリートサラリーマンの藤田優馬を熱演。「東京編が撮影のスタートでした。最初でつまずいてはいけないなって」と共同生活での役づくりの裏側を明かすと、「僕も剛がいたから優馬でいることができた。その姿をきちんと収めてくれたスタッフのおかげもあって、いいスタートが切れました。ちょうど一年前のことですが、思い出のようによみがえってきます」と笑顔。
妻夫木は「(試写を)観終わった後は立てなかった」とも話し、「あおいちゃんの隣で観ていたけど、みんな立てなくて……。この思いをどうすればいいんだろうって。生きている中スルーしていることを、もうちょっと受け止めなければいけないという大切なことを教えてくれる映画。自分にとって一番大切な人と観てほしい。その人がどれだけ自分にとって大切な人か、その意味を知ることになると思います」と客席へ呼びかけていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『怒り』は9月17日より全国東宝系にて全国公開