広瀬すず、撮影現場からの逃走を考えた…極限状態を激白
映画『怒り』の LINE LIVE プレミア上映会が14日、都内で行われ、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、宮崎あおい、綾野剛、妻夫木聡と、メガホンを取った李相日監督というそうそうたるメンバーと共に登壇した広瀬すずが、李監督のあまりの厳しさに撮影現場からの逃走を思い描いたことを明かした。
本作は、現場に「怒」という血文字が残った未解決殺人事件から1年後の千葉、東京、沖縄を舞台に、前歴不詳の3人の男と出会った人々が、その正体をめぐり、疑念と信頼のはざまで揺れる様子を、3つのストーリーで紡ぐミステリー仕立ての群像劇だ。
今月10日(現地時間)に行われた第41回トロント国際映画祭でのワールドプレミアに、宮崎、李監督と共に出席した渡辺が「重いものを預けられたという感じが、(トロントでは)見終えたお客さまにあったけど、今日は妻夫木や綾野が壇上に立つと歓声が上がったので、ホッとしています」と場を和ませ、トークはスタート。「皆さん全員の演技がすばらしかった」とさっそく会場から感想が飛び出すと、松山は千葉の漁協職員を演じた渡辺について「謙さんが漁協の衣装でフォークリフトに乗っていたら、魚の買い付けに来た人が『今日は何時から?』ってマジで聞いていましたから。謙さんのオーラを、フォークリフトが全部吸収しちゃった(笑)。というか、全員のイメージが崩れるような、他ではない演技を皆さんがされている」と本作の特別感を笑いを交えて説明。すると渡辺も「衣装を着て街をフラフラしても、誰も声をかけてくれなかった」と苦笑してみせる。
さらに客席から「李監督は、本当にこわいんですか?」とストレートな質問が出ると、自らオーディションで役を勝ち取り、スパルタで知られる李監督の指導に耐え抜いたことも話題の広瀬は「結構、戦いで。思う存分苦しみました。共演の宝くん(佐久本宝)と『大丈夫?』ってお互いに意識があるかどうか確認しながら。船に乗るシーンが多かったので、逃げられるんじゃないか、ここで逃げたら、監督はどうなるんだろう? って考えた」と、極限状態を激白。それに対して李監督が「(自分が乗っていた)こっちの船の方が速いからね」と返すと、森山に「やっぱり、こわっ!」と突っ込まれて、会場は爆笑となった。
また「自分以外の役をやるとしたら、誰の役がやりたい?」という質問に、渡辺は、妻夫木との夜のシーンもある直人(綾野)と即答。すると妻夫木が「僕が謙さんと……結構大変ですね」と不安な表情に。渡辺は「違うよ。精神世界としてすごくすてきだと思うってこと。そんなに拒絶しなくても」と必死に反論し、綾野が「年齢差は関係ない世界ですから」と渡辺を気遣う場面もあり、終始和やかで楽しいムードに包まれていた。(取材/岸田智)
映画『怒り』は9月17日より全国東宝系にて公開