オダギリジョー「主役やりたくない」と嘆き節?
俳優のオダギリジョーが21日、都内で行われた映画『オーバー・フェンス』トークイベントに山下敦弘監督と共に登場し、「数字(興行収入)が小さいと僕が叩かれる不幸な立ち位置にいる」と嘆き、「主役をやるのは本当に気持ちが重いんですよ。責任を負わなければいけないので、あまりやりたくない仕事」と本音をぶちまけた。
本作は、北海道の函館を舞台に、生きることに希望を見出せず、惰性に暮らす白岩(オダギリ)と、キャバクラで働く風変りなホステス・聡(蒼井優)の幻のような一瞬の夏を描いた男女の物語。『海炭市叙景』(2010/熊切和嘉監督)、『そこのみにて光輝く』(2014/呉美保監督)に続く、作家・佐藤泰志さん原作の函館三部作の最終章で、前作の『そこのみにて光輝く』を超えるオープニング成績で大ヒットスタートを切ったほか、第21回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門に出品された際には、チケットが即完売する人気ぶりだった。
そんな快挙にオダギリは、「(他の)2作と比べられ易いから嫌なんですよね」と言いつつも「ヒットしていると聞いて安心しました」と安堵の表情を見せ、キャストやスタッフを労って「この作品に関われてよかった」としみじみ。そして、「作りたいものを作っているだけじゃなく、それが誰かに伝わっていることが感じられる」と語り、本作を受け止めてくれた観客に向かって「本当にありがとうございました」と感謝して一礼した。
また、来年秋公開予定の主演映画『エルネスト』で8月15日にキューバ入りしていたため、主演ながら9月17日の初日舞台あいさつに登壇することが叶わなかったオダギリは、Yahoo!ニュースで舞台あいさつの様子を取りあげた記事を見たときに、「ホッとした」ことを告白。というのも、その日はオダギリの写真パネルがステージに設置され、それは松田翔太の提案だったそうだが、オダギリが「面白いからいいよ」と快諾して手紙も書いたそうだ。しかし、「そこで滑ると全責任が僕にくると思い、リアルタイムで(舞台あいさつの様子を)感じられなかったので内心ドキドキしていた」のだとか。オダギリにとって本作は、緊張と責任に悩まされる作品だったようだ。(取材/錦怜那)
映画『オーバー・フェンス』は全国公開中