たった3人で撮影!? 13歳で鷹匠になったモンゴル少女のドキュメンタリー
今年のサンダンス映画祭で注目されたドキュメンタリー映画『ジ・イーグル・ハントレス(原題) / The Eagle Huntress』について、少女アイショルパンと彼女の父親、およびオットー・ベル監督が、10月20日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
本作は、モンゴル西部にあるアルタイ山脈付近に住む13歳の少女アイショルパンが、これまで男性だけの世界であった鷹匠になるべく、父親の教えを受けながら厳しい訓練をし、毎年開催される鷹匠の大会を目指していくというもの。映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のデイジー・リドリーがナレーションを務めた。
製作経緯について「アイショルパンが父親の鷹で、モンゴルのアルタイ山脈で鷹匠になる訓練をしている写真をBBCのニュースで見た。それがまるで絵画のように美しく見えた」とベル監督が語る通り、映画内では壮大な山脈と美しい空の下、雪山で訓練するアイショルパンの姿が見事に映し出されている。
撮影について「この映画は3人のフィルムクルーと僕の貯金で製作された。僕らは(鷹が飛ぶシーンのために)ドローンを使用したり、バッグに入る折りたたみ式のクレーンを使用したりした結果、まるで30人ぐらいのスタッフがいるような映像になった。毎年開催される鷹匠の大会やアイショルパンが子供の鷹を親から盗むシーンは、できる限りの(さまざまなアングル)映像が欲しかったために、全て僕ら3人がゴープロ(小型・防水のウェアラブルカメラ)やレッドカメラを持って撮影していた。父親はアイショルパンに対して、まるでブートキャンプのように、何度も繰り返して鷹を使った訓練をさせていたため、その間に、僕らは毎回別のアングルで撮影していた」とベル監督は答えた。
アイショルパンへの訓練について父親は「わたしは娘にこの伝統を受け継いでほしかった。モンゴルでの鷹匠の伝統は2000年も続けられていて、撮影中はこのような反響を後に受けるとは思わなかったが、モンゴルのアルタイ山脈で暮らすわれわれカザフ族を、世界中の人々に見てもらいたかった」と撮影を引き受けた理由を明かした。
最も困難だった訓練についてアイショルパンは「訓練の部分は、それほど難しくはなかったけれど、(鷹匠として獲物をとるために)雪山を馬で登った時だった」と答えた。馬の脚が雪山にとられ、自ら馬を引っ張っていた時が最も大変だったそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)