“フィリピンのざわちん”が最優秀男優賞に!日本勢は受賞ならず
第29回東京国際映画祭
第29回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが3日、六本木の EX THEATER ROPPONGI で行われ、ドイツ・オーストリア合作の映画『ブルーム・オヴ・イエスタディ』が最高賞の東京グランプリ/東京都知事賞に輝いた。また、最優秀男優賞は“フィリピンのざわちん”と話題を集めたパオロ・バレステロスが受賞した。日本からコンペティション部門に出品されていた『アズミ・ハルコは行方不明』(監督・松居大悟、主演・蒼井優)、『雪女』(監督&主演・杉野希妃)は受賞を逃した。
【写真】今年の受賞者一覧&黒のファッションで決めてきた小池百合子都知事
『ブルーム・オヴ・イエスタディ』は、ホロコーストのイベントを企画する頑固な男が、風変りなフランス系ユダヤ人の女性と出会い、調査を続けるうちに意外な事実に行き当たるさまを描く人間ドラマ。審査委員長を務めるフランスのジャン=ジャック・ベネックス監督によってグランプリが発表され、舞台に上がったクリス・クラウス監督はベネックスとがっちり握手すると、受け取ったトロフィーを掲げ、「非現実的でシュールな気分です。ずっと作品を観ていたベネックスと同じ舞台に立てるなんて夢がかないました」と喜びを語った。
最優秀男優賞には『ダイ・ビューティフル』(フィリピン)で、美女コンテストで優勝するも突然死してしまうトランスジェンダーを演じたパオロが選ばれた。パオロはフィリピンのバラエティー番組の司会などで活躍している人物で、ビヨンセなど数多くのスターのものまねメイクを自身のInstagramで公開したことも話題に。また彼が授賞式に出席することはその場にいた監督にすら知らされていなかったようで、ゴールドのドレスで現れたパオロは「サプライズです! レッドカーペットを歩くだけだと思っていたので、ドレスを着てきました」と会場を驚かせていた。
グランプリ発表時にはスペシャルプレゼンターとして、小池百合子都知事も黒のハット姿で登場。「これからも東京国際映画祭をきっかけとして、ますます日本の文化が世界中に届きますことを願っております」と語った小池都知事は、「東京都が東京国際映画祭に支出した予算は去年より増えていると聞いています。“必要なところ”にはお金をつけています」と笑いを誘っていた。(編集部・中山雄一朗)
第29回東京国際映画祭受賞結果は以下の通り
■東京グランプリ/東京都知事賞
『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(ドイツ=オーストリア)
■審査委員特別賞
『サーミ・ブラッド』(スウェーデン=デンマーク=ノルウェー)
■最優秀監督賞
ハナ・ユシッチ『私に構わないで』(クロアチア=デンマーク)
■最優秀女優賞
レーネ=セシリア・スパルロク『サーミ・ブラッド』(スウェーデン=デンマーク=ノルウェー)
■最優秀男優賞
パオロ・バレステロス『ダイ・ビューティフル』(フィリピン)
■最優秀芸術貢献賞
『ミスター・ノー・プロブレム』(中国)
■観客賞
『ダイ・ビューティフル』(フィリピン)
■WOWOW賞
『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(ドイツ=オーストリア)
■アジアの未来 作品賞
『バードショット』(フィリピン=カタール)
■国際交流基金アジアセンター特別賞
アランクリター・シュリーワースタウ『ブルカの中の口紅』(インド)
■日本映画スプラッシュ 作品賞
『プールサイドマン』(日本)
■SAMURAI(サムライ)賞
マーティン・スコセッシ監督、黒沢清監督
■ARIGATO(ありがとう)賞
新海誠監督、高畑充希、妻夫木聡、ゴジラ