ヒッチコックが語る映画の面白さ、音声公開 巨匠の映画術に迫るドキュメンタリー
『サイコ』『鳥』などの巨匠アルフレッド・ヒッチコックの映画術に迫るドキュメンタリー『ヒッチコック/トリュフォー』(12月10日全国公開)から、ヒッチコックの肉声をおさめた特別動画が公開された。
本作は、ヒッチコックとヌーベルバーグの名匠フランソワ・トリュフォーとのインタビューから生まれ、世界中の映画人に影響を与えた書籍「定本 映画術」(晶文社)に基づいたドキュメンタリー。マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイター、黒沢清ほか現代に生きる10人の映画監督へのインタビューをまじえながら、巨匠の映画術に迫る。
公開された映像は、ヒッチコックが自らの言葉で映画制作について語る貴重なシーン。トリュフォーによるヒッチコックへのインタビューが行われた、1962年当時の貴重な音声を使用したカットになっている。
「私の最大の満足は映画が大衆に受けたことだ。それが私にはいちばん大切なことなんだ」というヒッチコック。スター俳優の演技や原作の面白さでははかれない、純粋な「映画の面白さ」について語る言葉は、現代にも通じる貴重な発言といえるだろう。
この音声は、トリュフォーが映画1本分にあたる情熱と製作費を使って挑んだといわれるインタビューを記録したもので、本作を手掛けたケント・ジョーンズ監督も、初めて聞いた際、伝説的な映画監督同士のエモーショナルで人間的なやりとりに興奮したと証言。本作のオファーについても、この音源を聞いた思い出があったからこそ、即答で承諾したという。音声に合わせて『サイコ』の有名なシャワーシーンのフィルムが次々と映し出されるなど、ヒッチコック映画の神髄に迫る本編への期待が高まる仕上がりになっている。(編集部・入倉功一)
映画『ヒッチコック/トリュフォー』は12月10日より新宿シネマカリテほか全国順次公開